20話 191~200日目
191日目。
森を歩いていたら、ダンデライオンという、タンポポの鬣を持つライオンに出会った。
綿毛の鬣が可愛いがれっきとしたSランクモンスターだ。
その可愛さと裏腹に返り血で鬣を染めてきた凶悪モンスターである。
実際、俺が出会ったやつも鬣が所々赤に染まっていた。
そして俺の一撃で自分の血で鬣を染めることとなった。
192日目。
久々にゼロックス大会優勝者であるファイン君を街中で見かけた。
ファイン君は両手に花で、二人の女の子に腕を組まれて町を歩いていた。
羨ましいと思わなくもないが、ファイン君の様子を見るとあんまり羨ましくない。
なぜなら、女の子たちはファイン君を取り合い、目線で火花を飛ばし、ファイン君は困ったような顔していたからだ。
あれは苦労するな。モテる兄上を見ている気分だった。自分と同い年である10歳なのに、女性関係で困るとは。俺はフューリ一筋だから大丈夫だな!
193日目。
地下都市で飼っている鯉の赤と白のコントラストが素晴らしい。
いい鯉は白金貨で値段が付くと言うが、この地下都市の鯉は白金貨10枚でも売れそうだ。
自慢できるレベルである。無作為に生まれたコントラストのありようの何と美しい事か。
眺めていても10分ぐらいなら、飽きない。餌をやったりして鯉を愛でて遊んだ。
194日目。
ドラゴンの卵が屋敷に運ばれた。
卵をどう料理するかで意見が分かれた。
卵焼き、目玉焼き、プレーンオムレツ……。
母上がプレーンオムレツを食べたいといい、ゼロックスで決めようと言ったが、卵焼きを食べたいとフューリが言ったことによってゼロックスでの決着は無くなった。
そしてじゃんけんで料理を決めることになった。
激戦……という事もなく、あっさり二回目でフューリが一人勝ち。ドラゴンの卵は卵焼きになった。
味は濃厚で美味い。願わくば目玉焼きが良かった……。
195日目。
勇者との連絡の時間なので、連絡することに。
勇者は他の二人と共に、四天王を倒しに行ったらしい。
四天王は魔王の城を守護する結界の要である。四天王そのものが結界にリンクしており、全員倒さないと結界を解除できないらしい。
最初の四天王は土の属性を司る人牛。泥と砂を操る強敵で、勇者が真の力とやらをつかうほど強かったらしい。
最初から大丈夫か? と思わなくもないが、倒せたなら大丈夫だろう。
魔王は当然、四天王より強いだろうが、天空都市とメビウスゴーレムがあれば大丈夫だろう。楽観的思考だけど、たぶん大丈夫。イケるイケる。
勇者が竜騎士の飼っている竜のせいで、食費がーと嘆いたので、白金貨20枚を送っておいた。がんばれ、勇者。俺はいつも応援してるぞ。応援だけだが。
196日目。
竜人が暗闇をもたらすカーテンとかいうのを作った。
このカーテンは周りから光を吸収し、あたりを暗闇にするのだと言う。
しかも魔力などを使っているのではなく、そういう素材で構成されているのだとか。
試しに、見てみるとカーテンが見えないほどあたりが暗くなる。
しかし、フューリがこれはカーテンの意味がないのでは、という冷静な言葉を放つ。
確かに、カーテンの便利なところと言えば明るさの調整が出来るところだ。
ずっと暗くなっては意味がない。
そんな訳でカーテンは実用に至らず、違う用途で使われるようになった。
簡単に思い浮かぶ用途は兵器転用。相手の陣地に暗闇をもたらす物質をまき散らし、攪乱するよう用途だ。
この物質は強い光も吸い取るらしいので、簡単には対応できないだろう。
そんな訳で、暗黒物質をばらまく爆弾が作られたが、封印された。
危なっかしすぎる。竜人は危険な物ばっかり開発するからな。
197日目。
本屋に新刊が入って来た。
もやし戦記の4巻が発売されており、俺は即座に購入した。
フューリと一緒に本屋に行ったのだが、フューリは本を買うのは初めてらしく、絵本を買っていた。
絵本のタイトルはセイウチVSトド。
なんだ、そのタイトル……。
今回のもやし戦記は状況が二転三転して、面白い。
いつも面白いが、今回も面白くて満足だ。
罠に掛けられたもやしが、犯人を見つけるという内部のごたごたの章だったのだが、色々絡んできて推理小説みたいだった。
もやしを嵌めた人物を逆に罠に嵌めるという、トリックには思わず唸ったものだ。
まだ続くようだし、これからも楽しみだ。
198日目。
皆既日食が起こる当日である今日は月祭りだった。
皆既日食は昼に起こるので昼前には外で待機。
皆既日食の月祭りは月を模した丸いパンを食べるのが恒例らしく町の人にはパンが配られていた。
広場でフューリと隣り合わせで座り、パンをかじりながら皆既日食を待つ。
皆既日食は不吉の象徴だのなんだの言われているが、普通に終わった。
昼なのに暗くなり、輪っか型に光る太陽が美しいと思う。
月祭りが終わり、いつも通り地下都市に寄っていった。
すると広場で竜人が調査器具をいじっていた、天空都市で異常な魔力周波が観測されたという。
異常な魔力周波ってなんだ? と聞いてみると、俺を元に改良した天空都市の新たなサーチ機能の結果だと言う。
この異常な魔力周波は、魔力を持ちすぎて次元が違うものを観測した時に出るもので、虹色の小鳥や歩くダイコンたちレベルの何かが出たというらしい。
皆既日食が起り始めた時に、異常な魔力周波は観測され、重なり合った時に、周波は最大値に、その後に消えたらしいが地上に次元の違う奴らが現れたのは間違いないらしい。
調査は続いているが大本の原因は分かっていないのだとか。
竜人は原因が分からないことに不安を覚えているらしく、分かるまでは調査を続けるとのこと。
これが、何かの予兆でなければいいが。
199日目。
庭の木に鷲が泊まっていた。足には手紙が括りつけられており、文通相手の手紙が来たことを示していた。
今回は自己紹介ありがとう、俺も自己紹介をするぜ! っていう内容が書かれていた。
相手は帝国の第三王子らしい。読んだ瞬間、え? となった。帝国って、この王国と長年いがみ合っている敵国だ。さらには第三王子という地位の高さ、鷲を鳩代わりにしていることから、それなりの人だとは思ったが、まさかここまでとは思わなかった。
自己紹介には帝国の第三王子、名前、好きな食べ物や好きな女性のタイプ、良い女がいたら紹介してくれ! ということが書いてあった。
ちなみに好きな女性のタイプは気の強い女だとか。心底どうでもいい。
俺は気の許せる女の子がいい、話題の合う一緒にいて良かったと思わせてくれる子がいい。
どんぴしゃでフューリのことだ。
なので、フューリのことを手紙10枚分にびっしりと書いて送った。
バイバイ、帰って来るな。
200日目。
日記もとうとうここまで来た。
母上に日記を書き続けていることを言ったら、偉い偉いって言ってくれた。
でもあの目は忘れている目だった。100日目と同じだ。
フューリに見たいと言われたので、見せた。
母上に見せないで良かったねって言われた。
ど、どういうことだ?
内容が信じられない様なものばっかりという事か、それとも……。
考えないでおこう。
フューリ(日記に私のことも書いてある……。ふーん、サウナでチラチラ見てたのはそういうことだったんだ。ふーん、ふーん)
シリアス「いちゃラブの雰囲気を感じたぞ! いちゃラブは殺す! 殺すのだぁ!」
主人公「オラァ! 神罰術式!」
シリアス「ぐあああああああああ!!」




