2話 11~20日目
11日目。
森でゴールデンスタッグを見かけた。別名、黄金クワガタだ。
俺にとって黄金色というのは珍しくない。
オリハルコンを作れるんだ、黄金は鼻くそをほじっていても作れる。
今日、森でゴールデンスタッグを見たと、姉上に言ったら、姉上に何故捕まえてこなかったんだ、と怒られた。
姉上は虫研究家、という名のただの虫好きだ。女で虫が好きだなんて変だと思うのは、俺だけだろうか。
姉上いわく、ゴールデンスタッグは個体が稀で、捕まえるのも難しいらしく、研究が進んでないらしい。
明日は森に行って、ゴールデンスタッグを捕まえると、鼻息を荒くしていた。
適当に頑張ってくれ、姉上。別に応援とかはしない。
12日目。
今日は森に行かなかった。
行くと言ったら、姉上のお伴として夜中まで引きづり回されるのは目に見えていたからだ。
なので、今日は家でゴロゴロしていた。
というわけで、特に書くことはない。
13日目。
姉上が昼に帰って来た。
姉上が掲げている虫かごにはゴールデンスタッグが入っていた。
何日か、飼育して研究したのち、解剖するそうだ。
わ~お、さすが研究家。解剖とナチュラルに言ったのがマッドだった。
そして夜通し探索して昼に帰ってきたことを、母上に怒られていた。
まぁ、当然だな。
姉上は罰として、社交パーティに行くことになり、残念そうな顔をしていた。
14日目。
昨日、日記を書いた後に星空を眺めていたら、流れ星を見かけた。
流れ星は森の方に落ちて行ったので、もしかしたら流れ星が手に入るかもと森の方へ行った。
森に行ったら、アースサーチという、地面を介して地面に触れている物を探る魔法を使い流れ星を探した。
流れ星は見つかった。俺の知らない物質で出来ており、大変参考になった。
流れ星は七色に発光し、重力を緩和して、浮かぶ石だ。
俺は浮遊石と名付けた。
この浮遊石次第では、俺は空を飛ぶゴーレムを作れる。
明日になったら試すつもりだ。
15日。
浮遊石をいじくり、空を飛ぶゴーレムを作ることに成功した。
浮遊石は魔力をこめると、重力を緩和する。なので、後は羽などで推進力を与えるだけで、ゴーレムは空を飛べる。
空飛ぶ小鳥のゴーレムや、空飛ぶドラゴンのゴーレムを作ることが出来て満足だ。
俺の地下都市にもついに空を飛ぶ物体が出来たと思うと感慨深い。
後は、魔石だな。
たぶん作れると思うが、実物を見たことがないので作れない。
魔石さえ作れれば、魔法を使うゴーレムなどが作れるのだが……。
16日目。
ワインが飲みたい。俺はまだ10歳だから、ワインが飲めないのだ。
しかし、父上や15を超える兄上たちが旨そうにワインを飲んでいるのを見ると、どうしても羨ましくなる。
おつまみを相棒にワインを飲む、実に贅沢じゃないか。
だが、俺にはできないので、濃いブドウジュースと塩を振ったナッツで我慢する。
地下都市でワインを作ってみるか、と思う。
17日目。
この町に、良く分からない神の彫像があるらしい。
町を歩いていたら、その噂をたまたま聞いた。
行ってみると、確かに知らない神の彫像があった。
しかし、俺は感心した。その彫像は苔などが生えて、一見ボロボロに見えるのだが、材質がいいのか、一切錆びていない。
オリハルコンか? と思ったが、色は鉄だ。
魔法で調べてみると、未知の金属でオリハルコンより数段上の硬度を持っていることが判明した。
俺は神鉄と名付けた。
神鉄という新しい金属を知れたお礼に、神の彫像を掃除してピカピカにした
ついでに、奉納されている祠(木製でボロボロ)を神鉄で建て替えておいた。
名前も知らぬ神だが、今度お供え物でももってこよう。
今は何もなかったので、自家製ルービックキューブを供えた。
18日目。
森に行ったら、バジリスクとばったり出会った。
この森はゴブリンすらいないのに、時々こんな大物に会うから驚く。
バジリスクは下手な竜より危険なトカゲだ。目があった生物を石に変えることが出来るため、バジリスクより強い奴より勝つことも珍しくない。
俺は土魔法が得意なので、石化の魔眼を無効化した。
そのまま土魔法で止めを刺し、はぐれ竜の様に箱に入れて地面に埋めて置いた。
だが、掘り返されるとやばいんじゃないか? と思い立ち、明日にでも地下都市に運んでおくことに決めた。
誰かにとられたくもないしね。
19日目。
森でたまたま、自然薯を見つけた。
料理長の所へ持って行き、自然薯を料理して貰った。
大半を磯部揚げにして、そのうえにとろろにした自然薯を掛ける。
実に旨い。俺がとって来た自然薯だと思うと尚更うまい。
今度また、自然薯を見つけたら手に入れたい。
普通は地面に埋まっているから、全然見つけられないんだよね。
犬でも連れて、見つけさせるか……。
20日目。
久しぶりに雨が降った。
雨が降っても夜の間、とかが多かったのだが、今日は日中も降っている。
なのでずっと屋敷に居て、暇だった。
あーつまんね。
主人公「ヒロインは未だか? ラブコメは?」
姉上「そんなものはない」
主人公「ええー」
兄上「社交パーティにいけば、ラブコメが始まるかも?」
主人公「勘弁してください」