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18話 171~180日目

 171日目。

 実家が貧乏だったフューリはあまり勉強や稽古をさせて貰えなかったらしく、俺の家で勉強や稽古が始まった。

 午前の勉強や稽古もフューリとなら楽しめた。

 フューリは筋が良いと先生に褒められており、この調子なら半年もあれば俺に追い付くかもしれないとこのことだった。


 172日目。

 フューリをモデルに絵を書いた。俺をモデルにフューリにも絵を書いてもらった。

 フューリが書いた俺の絵は俺にそっくりで、フューリの絵の上手さに驚愕した。

 俺の書いた絵はサウロモネみたいな作品になり、失敗した。

 絵を焼き払おうとしたところ、父上に見つかり、俺の書いたフューリの絵は別館行きとなった。

 なんか、悔しい。


 173日目。

 珍しい物が売ってないか、街中を探索。

 すると、見たこともないものを売っている行商人に出会った。

 見たこと無い物を買ったというのは分かるのだが、詳しいことは覚えていない。

 店主の容姿も覚えてないし、町のどこらへんに店を出していたかかも覚えていない。

 何を買ったかも覚えてないし、いつの間に買い物を終わっていたのかも覚えてない。

 しかも、買ったものが見つからない。どうなってんだ、これ。

 狐にも化かされたのだろうか。金も減ってないし、夢だったのかも知れない。


 174日目。

 姉上がエメラルドパピヨンという虫の本を出版。エメラルドパピヨンはその名の通り、エメラルドの宝石の様な羽を持つ蝶で、ゴールデンスタッグと同じく研究が進んでいない虫だった。姉上はこの希少な虫の研究を終え、出版した。

 内容はエメラルドパピヨンが肉食だという意外な事実に始まり、エメラルドの羽が光る条件や、繁殖の方法などをまとめたものだ。

 エメラルドパピヨンが載っている本は出版されているが、図鑑程度だ。姉上の本はゴールデンスタッグの時のように、また虫研究家の界隈を揺るがすに違いない。

 それに比べてロッグは渡り蜂の研究をまだ終えていないらしい。

 差が激しいな。


 175日目。

 今日は勇者との定期連絡の日だったので、連絡。

 勇者と竜騎士は聖都という場所に行きついたらしい。ここには聖女がいて、パーティに加わってもらおうと、会いに行ったのだとか。

 だが、聖女の聖なる力は本物でも心は聖なるものではなかった。金にどん欲で、旅について来てほしくば、白金貨1000枚渡せと言ってるらしい。

 聖女って、性格が美しいとかそう言うのではないんだな……。

 俺は余裕をもって白金貨2000枚分のオリハルコンを勇者に送った。白金貨で送ろうかと最初は思ったが、手持ちに白金貨1000枚もなかったのだ。

 とにかく、これで聖女を仲間に出来るだろう。

 俺は付いていかないけど、金銭面は任せてくれ。無限に出せるオリハルコンで勇者パーティが強化されるならそれでいい。

 その後、竜騎士にオリハルコンをねだられたので追加して、今日の通信は終わった。勇者は苦労してそうだ。

 声に力がなかったぞ。何せパーティが子供(金だけ送ってパーティに参加しない)、女(大食いで脳筋)、女(お金にどん欲ってレベルじゃない)だしな。

 苦労もうなづける。魔王を倒した暁には、地下都市に来てもらって療養して貰いたい。


 176日目。

 今日は農民が大収穫で忙しく、半ばイベントのように俺も参加した。

 土魔法を使ってもいいのだが、一応隠しているので使わないでおく。決闘らへんで、化けの皮が剥がれたような気もするが、家族からは特に何も聞かれていない。

 もしかしたら、自分の土魔法のことも家族はとっくに気づいていたのかも知れない。

 大収穫は、育てた小麦などを一斉に収穫する。俺も麦を刈り、収穫に貢献した。

 フューリも大収穫を手伝い、収穫に貢献。実家の領地では大収穫できるほどの畑がないので、新鮮だと言っていた。

 収穫祭の終わりには、麦粥を食べるのが通例となっている。

 俺は麦粥よりパンの方が好きだが、収穫で汗をかいた後の麦粥は美味い。

 存分に味わい、今年の大収穫は終わった。収穫を記念して、もう少ししたら、収穫祭も行われる。

 その日は領主である兄上が豪華な料理を領民に振る舞う。普段食べられない料理が食べられるかもしれない。楽しみだな。


 177日目。

 酒の熟成を進める魔法を竜人が開発。魔王との共同開発だった。

 これさえあれば、さっき作った酒を10秒立たずに100年物に出来る。

 とりあえず、100年物と1年物のワインを比べてみようとしたが、魔王に止められた。

 物凄いケチだ。俺のまえでこれ見よがしに飲んでおいてそれはないだろと思った。

 父上や兄上が美味しそうに飲んでるし、俺も飲んでみたいんだけどなぁ。

 フューリはそういう酒などに興味はあるようだが、分別はちゃんとしている様だ。

 

 178日目。

 布団が古くなったという事で、家の布団が一新された。

 地下都市にも布団はあるが、安物だ。魔王たちが寝るのに使っている布団は適当に集められたもので、地下都市クオリティからかけ離れている。

 なので布団を作ってプレゼントすることにした。

 布の材料となる植物はすでに地下都市で育てているらしいので、俺の土魔法で布団を作る。

 細かいチェーンを組み合わせた布団や、糸の細いコイルを合わせたタワシの様なマットが完成した。

 うん、こんなので寝れるわけがない。床で寝るより、悪い。チェーンの方はずっとしゃらしゃら鳴るし、タワシマットはごわごわしてたまに背中にささくれが突き刺さる。

 速攻でお蔵入り位になった。

 布団類はやっぱ布だね!


 179日目。

 フューリと森を歩いていたら、ドラゴンシャークに遭遇。

 ドラゴンシャークは竜と鮫が合体した魔物である。フューリは出会った時、死ぬほど驚いていた。俺が瞬殺して、さらに驚いていた。

 ドラゴンシャークはコラーゲンとやらがたくさん含まれているらしく、食べた俺とフューリの肌、ぷるぷるもち肌になった。

 家に帰った時、母上が俺とフューリを見て、どうしたのか聞かれまくったので、素直に話した。

 天空都市の機能でドラゴンシャークの肉を呼び寄せ、コックに渡して夕食に出してもらう。

 夕食が終わった後、皆の肌はぷるぷるもち肌になった。


 180日目。

 竜人と吸血鬼が自室に引きこもってばっかりなので、健康のためにも運動させることにした。

 やる運動はキャッチボール。これなら簡単にできる。

 最初はスローなボールを投げ合っていたのだが、だんだんスピードが上がっていった。

 そして、偶然ボールが身体にあたったが最後、キャッチボールはデッドボール大会になった。

 最終的に、ボールが時計塔にめり込み、芸術品を壊すなと吸血鬼がブチギレてお開きになった。

 時計塔にボールをめり込ませたのは俺だったので、時計塔を直した後、吸血鬼の作品作りに協力した。

 ちなみに作ったのは裸婦像だ。10歳にやらせるんじゃねぇ。

 


主人公「平和な日常だ。これほど素晴らしいものはない!」


ドラゴンシャーク「」


フューリ「(目をそらしながら)うん、そうだね!」

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