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12話 121~130日目

 121日目。

 虫研究馬鹿のロッグが俺を尋ねてきた。

 何でも、前にやった白金貨20枚を使い潰したらしい。

 バカかこいつ? 普通の家庭の10カ月分の月収だぞ?

 食費だけに絞ったら2年は暮らせるぞ? 慎ましやかに暮らせば、3年は行けるぞ?

 ロッグに何しやがった、って聞いたら、渡り蜂の研究に全部使ったらしい、

 冒険者を雇い、渡り蜂がどこに行くかなどの調査依頼を出して、金が無くなったのだとか。

 日記を読み返すと65日目に金を渡している。約二か月で白金貨20枚を使い潰した計算になる。あほくさ。

 せめて、それで渡り蜂の研究を完成させればいいのだが、雇った冒険者が使えないやつだったとかで、研究があまり進んでいないらしい。

 竜人を見習え、あいつは頭の中が狂っているが結果は出していたぞ。この前なんて超強力重力磁場発生装置とか作っていて、ぶっ壊したばかりだ。

 何でもこれがあれば、新たなる星を作れるらしい。勿論地上で使えば、この星が潰れる。

 俺はロッグがまた姉にたかるのも忍びなかったので、白金貨20枚を渡した。

 今度冒険者を雇う時は、俺に話を通してからにするように、と釘を刺しておいた。

 そうしたら、明日には雇いたいといわれた。そもそもこの白金貨は大食い大会でロッグが食費を姉上にたかっているのが発覚して渡した金だ。

 食費以外に使うんじゃねぇよって言いたい。

 明日はロッグと一緒に冒険者ギルドに行く。ああ~、なんで俺がこんな奴に付き合わなければならないんだ。姉上が惚れていなかったら、ぶっ飛ばしていた所だ。


 122日目。

 午後、町の冒険者ギルドにロッグと向かった。

 今回の依頼は渡り蜂の生態調査。マーキングした渡り蜂をストーキングし、どこに行くかを調査するという物だ。

 報酬は白金貨5枚にするとか、いきなりロッグが言い出したので、ぶん殴る。

 普通の家庭の月収が白金貨2枚とかだぞ。蜂を追いかけるだけなのに、そんな金を出せるか。

 それに依頼の出し方がアホだ。成功失敗に関わらず報酬を出すって、そりゃ適当な奴が食いつくに決まっている。

 俺は依頼製作補助サービスをギルド員のお姉さんに頼み、お姉さんと一緒に依頼書を作った。このサービスの銀貨1枚をロッグが渋っていたが、元々俺の金ということで黙らせた。

 とりあえず依頼書は作られ、1日で金貨2枚で依頼を出した。

 これでうまく行けばいいのだが……。ロッグはちょいちょい監視しなければいけないかもしれない。アホだからな。


 123日目。

 謎の神の彫像にお供えして、掃除をしてきた。

 今回供えたのは、ミックスジュースだ。

 本当はミックスジュースの酒をお供えして飲みたかったのだが、俺にはまだ早いとかで魔王がミックスジュースの酒をくれなかった。

 なので今日はミックスジュースを供えて飲んだ。

 旨い。冷やして飲んで、さらに旨い。魔王に聞けばミックスジュースは23の果実を調合しているらしい。すごいな。

 収穫祭の屋台でミックスジュース屋でもやってみるか。


 124日目。

 家の庭で寝ころんで昼寝した。

 偶には青空の下で寝るのも気持ちよくていい。

 今は初夏の手前ぐらいだからな、気温も丁度良かった。

 これから暑くなるだろう。

 あと、寝起きに虹色の小鳥が飛んでいるのを見た。

 今回も見たのは俺だけらしい。得したな。


 125日目。

 森で、歩ているダイコンとニンジンを見た。

 カップルかよ。

 でも歩くダイコンとニンジンってホラーじゃない? 

 そう思っている内に、ダイコンとニンジンは消えていた。

 やっぱ、ホラーだ。


 126日目。

 いつもの変わった物を持ってきてくれる行商人がやってきた。

 今回は異国のお菓子、マシュマロを持ってきてくれた。

 マシュマロは独特な柔らかさと甘みを持っており、ほいほい食べれる。

 袋に入っていたマシュマロはあっという間になくなってしまった。

 その後に、焼いて食べる焼きマシュマロなるものを商人に教えて貰い、もう一袋買った。

 ついでにレシピも教えて貰った。 

 ただゼラチンってなんだ? 何から作れるんだ? 魔王に聞いても知らないらしい。

 くそぅ。残ったマシュマロは俺が焼いて食べた。

 チョコを掛けて美味しそうだと気が付いたのは、食べ終わった後だった。

 行商人には白金貨20枚を渡しておいたし、また変わった食べ物を食べれるだろう。

 まったく、ロッグとは大違いだな。


 127日目。

 ロッグが青い顔をして、俺を尋ねてきた。

 何でも騙されて白金貨20枚を全部なくしたらしい。バカじゃねぇの? さらには借金として白金貨50枚を負ったらしい。

 そしてこのことが、ギルエマさんにばれた。

 家の庭で話していたのだが、俺の客人という事でギルエマさんが茶とお茶うけを持ってきてくれたのだ。そして聞かれる会話……。

 ギルエマさんに詳しく話を聞こうか、と俺とロッグは睨まれ、俺達はビビりながら経緯を話した。

 俺が姉上にたかるロッグに見かねて金をあげたこと、ロッグが金を使い潰したこと、そして今回の騙されて金を無くした話だ。

 ロッグの騙された経緯はバカだった。何でもお前の研究に感動した一緒に研究したい、などと言われ、怪しい人物と意気投合。そいつが良い話があるとかなんとかで、ロッグが金を渡す。さらには、これがあれば研究が進むとそいつからインチキ商品を購入。全部酒の席の出来事だった。

 ギルエマさんはそれを聞いて憤慨。般若の顔のギルエマさんの怒号で、家の人間が集まり、そこには姉上の姿も……。

 夕方まで、ギルエマさんのロッグへの説教は続いた。ギルエマさんを怒らせるとどういう事になるかという勉強になった。兄上がギルエマさんを見て怯えていた。兄上……夫婦喧嘩になったら、絶対勝てねぇな。

 取りあえず、ロッグの借金は俺が肩代わりすることになり、俺がロッグに白金貨50枚を渡して、ロッグは何とか助かった。

 兄上に白金貨50枚何て持っているのか? って聞かれたが、実は近場の森で収穫していたものを売って貯金があるっていう事にしておいた。兄上が俺を訝しんでいたが、何とか誤魔化した。

 借金を肩代わりしたことで、ロッグの借用書が俺にわたり、ロッグが俺の従者になった。ぶっちゃけいらねぇ……。

 ロッグは強制労働行きになり、当分は実家の宿屋でこき使われるそうだ。まぁ、仕方ないね。

 姉上はこれを機会にもっとマシな男を探すと言っていた。そう言ってくれただけで、今回の出費は意味があったという物だ。

 その後、俺はギルエマさんに、知らないロッグにむやみにお金を渡していけません!と怒られた。

 ロッグみたいな悪知恵の働かない奴だったから良かったものの、俺を利用しようとする人間だったら、どうするんだと言われた。確かにそうだ。

 でもごめんね、ギルエマさん。行商人にも、デベエロにも投資してるんだ。

 もっと言えば、魔王や竜人とかにもある意味投資している。たぶん、この投資癖は治らないと思う。

 罰として明日の勉強と稽古が増えた。

 ああ~、ちくしょう! ロッグめ、恨むぞ!


 128日目。

 剣術の稽古で魔力無しでギルエマさんにしごかれた。

 ハード過ぎて吐きかけた。兄上が、柱の影から俺見て戦慄していた。

 下手したら、これが兄上の身に起こるからな。頑張れ、兄上。そして助け船が切実に欲しかったぞ、兄上。

 

 129日目。

 今日は雨、やることがない。

 母上とゼロックスをして過ごした。母上には一回も勝てなかった。ちくしょう。

 

 130日目。

 今日は吸血鬼と地下都市の微調整をした。

 ミリ単位の土魔法はやはり慣れない。

 神経を使ったからか、すごく疲れた。その分、地下都市が良くなったので、良しとする。

 


兄上「今度、ギルエマにプレゼントでも贈ろう。うん、それがいい」


主人公「もう尻に敷かれてるね、ぷぷぷ」


兄上「そろそろお前も婚約ぐらいしていいんじゃないか?」


主人公「!!」

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