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10話 101~110日目

 101日目。

 天空都市を強化したいと竜人が言って来た。

 今の天空都市は、世界のどこに敵がいても撃ちぬけるレーザーしかなく、勿体ないとのことだ。

 なので、竜人と協力して、天空都市を強化した。

 サーチ機能、転移機能、六属性魔導術式、無限アイテムボックス、記録、修復機能、魔力生成機能、連絡機能、これらを世界規模で実現した。

 その結果、円盤型だった天空都市がスフィア型になった。

 透明になっているから、別に関係ないけど。

 竜人は強化された天空都市を見て、感涙していた。

 夢の一つが叶ったらしい。技術の粋を重ね、無敵の要塞を作るのが夢だったのか。

 天空都市はランクに表せばSSSランクは確実とのことだ。

 やばいもの作ったな。王国に見つかったら、消されるんじゃないかと思ったが、無傷で消し返せることに気付いた。やばい……やばい……。


 102日目。

 日記を書いた後に寝てたら、変な夢を見た。

 綺麗な女の人が俺に話しかけてくる夢だ。

 その女の人によると、新たに魔王が生まれた。

 魔王は勇者にしか倒せない。あなたは勇者パーティの一人として魔王を倒すのです。

 貴方は大賢者で、他にも竜騎士と聖女の仲間がいる。

 選ばれし勇者があなたの元にいずれ訪れるので協力しろとのことだ。

 変な夢だった。

 魔王にその夢のことを話したら、時期的に新たな魔王が生まれてもいい感じだって言ってた。

 俺の夢は女神様の神託らしい。取りあえず、半信半疑で覚えておくことにしておこう。


 103日目。

 兄上が悩んでいた。

 何を悩んでいるのか聞いたら、第二夫人をそろそろ娶れと父上に言われたそうだ。

 うわっ、これは悩むな。

 兄上はギルエマさんと仲がいいし、ずっとイチャイチャしてる。

 兄上もギルエマさんもお互いを愛し、そこに第二夫人の入る隙は無いだろう。

 もし兄上が第二夫人を娶っても、第二夫人が蚊帳の外というのは容易に想像できる。

 嫁に来た第二夫人がかわいそうだ、と兄上も言っていた。

 それで父上に反論したら、だったらさっさと子供を作れ、とのことだ。

 うちは貴族だからなぁ。早く血筋を継いだ子供が欲しいのだろう。

 兄上ももう父親になるのか、感慨深いな。

 十五歳だし、一応は成人なんだけど、それにしても早いよなぁ。

 俺が叔父になる日も近いかもしれない。

 

 104日目。

 父上に将来何になりたいか聞かれた。

 適当に魔導士と言っておいた。

 金を稼ぐだけなら、オリハルコンを売ればいくらでもできるんだけどな。

 将来は面倒くさそうだ。

 

 105日目。

 森を歩いていたら、ウサギがいた。

 魔王にローストにして貰おうと狩ろうとしたのだが、死を覚悟した。

 いきなり突撃してきて、胸を貫通して穴を開けられたからだ。

 聖の魔石を胆石にしていなかったら、それで死んでいただろう。

 そもそも俺のよく行く森に魔物はいない、それはウサギだろうと例外ではない。

 ウサギがいた時点で俺は気を引き締めるべきだったのだ。

 俺は壮絶な死闘を繰り広げて何とかウサギに勝利した。

 ぶっちゃけ天使もどき軍団よりも強く恐かった。

 天空都市の神罰全部躱すし、眼球とか抉られたし、挙句の果てには俺の全力を受けて生きてるし。

 たぶん、俺とウサギの全力がぶつかって対消滅してなければ、この星は消えていただろう。

 それぐらいやばいやつだった。

 俺の中でウサギが恐怖の対象になった。

 竜人の仕業かと思ってウサギのことを吐かせたのだが、竜人のせいではなかった。

 何らかの異常により発生したウサギらしい。

 あんなのが異常とはいえ発生するとは世界は恐い。

 二度とウサギを見たくないと思った。


 106日目。

 ウサギの戦いで負ったトラウマがフラッシュバックして、碌に寝れなかった。

 寝起きは最悪、ずっと眠くて勉強の内容が頭に入ってこなかった。

 おかげで明日は午後まで勉強だ。あ~あ~。


 107日目。

 今日は家でずっと勉強と稽古だ。

 面倒アンドつまらない。

 書くこともない。


 108日目。

 天空都市を介して、竜人からテレパシーが来た。なんでもウサギのことが分かったから、地下都市に来てほしいとのことだ。

 俺はウサギという単語を聞くのも嫌だったが、後学のため聞きに行った。

 竜人からレポートを渡され、二時間ほどウサギについて談義をされた。

 何でもあれは、俺の魔力の残留から生まれたウサギらしい。

 正確には俺の魔力の残留がウサギに注ぎ込まれて生まれたのだとか。

 十年ほどの歳月の魔力の残留の結晶らしいので、そうそう発生するものではないのだとか。

 ただ、それは裏を返せば、この調子で魔法を使っていれば、10年後にウサギみたいのが発生するって事だ。

 やべぇ。どうにかしてくれ、と竜人に泣きついたところ、魔力の残留を回収する機能を天空都市に付けることになった。

 これがあれば、世界中から魔力を吸収できるらしい。ああ、天空都市がまた一歩、やばいものになった(もう手遅れ)。

 そしてついでとばかりにこの森の研究レポートを渡され、談義された。

 前々からこの森に魔物がいないのが気にかかっていたのだが、強力な魔物避けの結界が地下から張られているらしい。

 天空都市で調査したところ、地下に埋もれた超古代文明の要塞があり、その機能らしい。

 へぇ~、ちゃんと理由があったんだなと俺は感服した。

 でもこの要塞の結界は、Sランク以上の魔物とかなり魔力が小さい物には機能しないらしい。なるほど、Sランク以上の魔物ばっかり出会うのは、結界が効かないからなのか。

 じゃあ、俺がよくSランク以上の奴と出会うのは? って聞いたら、不運って言っていた。

 不運……。不運なのか……。

 まぁ、俺には対抗手段があるから問題ない。

 今日は竜人の談義で一日が潰れた。

 午前から地下都市に行き、勉強と稽古をサボったので、明日は午後まで勉強と稽古だ。

 ああ~、ちくしょう!


 109日目。

 勉強と稽古のワルツ。

 楽しくねぇ。

 

 110日目。

 魔王がミックスジュースという物を作った。

 様々なフルーツを混ぜてジュースにした贅沢な品だ。

 魔王いわく、何度も調合して試行錯誤し、神の比率を手にしたという。

 ミックスジュースの色は、濁った白でドロッとしている。

 飲んだ感想は、非常にうまい! まさに神の飲み物だ。

 フルーツの甘さ、酸っぱさ、それらが完璧に調和している。凝縮された旨みが俺の好みだ。

 冷やして飲むと、もっとうまいと言われたので、冷やして飲む(冷気を発する鉱石で冷やした)。

 俺は感動で涙を流した。この世にこんなうまい飲み物があったとは……。

 涙を流す俺の姿を見て、魔王がびびっていた。

 俺は魔王に感謝し、何かほしい物がないか聞いた。

 魔王は今の生活を満足しているので、欲しい物はないらしい。

 強いて言うなら、珍しい植物が欲しい、勿論育てれるもの、と言っていたので、今度探そうと思う。


主人公「ウサギ、ウサギがあああああああ!! ぐあああああ!! ウサギぃいいいい!!」


姉上「どんだけうなされてるんだ。いったい、ウサギと何が……」


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