学校なんてやめてしまえ-6
「どうも、ご紹介に預かりました。木本隊隊長の木本美静と申します。」
さあ、この人たちをどうやって説得するか見ものだなと思っている二人だったが、清水の父、士郎の一言で済まされた。
「康夫、明夫君、この人たちに付いて行ったら絶対強くなれるぞ。父さんは賛成だな。」
「「…⁉︎」」
矢村と清水はその言葉の意味はわかったが、何故それが清水の父がわかったのかが理解できなかった。
「おいおい、士郎。母さんたちや子供にもわかりやすく説明してあげなきゃダメだろ。そこの魔法使いさんはわかっているみたいだけど。」
「そうだな、テル。」
「やめろ。俺をそんな風に呼ぶんじゃない。もう、昔の名前だぞ。」
矢村父と、清水父が昔二人で冒険していたことと関係があるのだろうかと矢村は思った。
「すまん、明照。えぇ、わかりやすく説明すると、魔法使いはある程度のレベルまでいくと、自分以下のレベルの人の全てのステータスを見ることができる。意識してみようと思えばだが、」
「ちなみに、俺たちはそこの木本さんの以外は見れる。」
ということは、清水と矢村の父は死神さん少なくともレベルが上だということがわかる。
まだ、喋りたいのか清水父が口を開く。
「えーと、とりあえず俺の前にいる盗賊と、明夫君のとなりにいる…ほー、これこれは珍しい。暗殺者か、は、子供と母さんたちに見えるようにしてあげなさい。」
「これはこれは、あなた方は透明化まで見えていますか。これほどとは予想していませんでした。」
父親と木本のみの会話しか成り立っていない状況に耐えかねたかのように清水母が口を開く。
「えっと、お父さんたちは、康夫たちがこの人たちに付いていくのは賛成だと言いたいの?」
二人の父親は一度目を合わせ、確認するようにうなづき、
「「そうだよ。」」
「そうですか。あなたたちがそういう風に言うんだったら母さんたちも賛成です。ねぇ?矢村さん?」
「もちろんですよ。明夫、頑張ってきなさい。」
心配性の母親がそう言っているのであれば文句は全くないと思っている矢村だが、一抹の不安があった。
「あの、父さん、母さん、俺たちの学校は?」
これだけは聞いておきたかったかのように、清水も口を開く。
「そうだよ。母さんだって学校の学費だって馬鹿にならないし、高等教育を受けて、国家公認魔法使いになって欲しかったんじゃないのか?」
「うーん、そうなんだけど…。」
「父さんたちもなんか言ったらどうなんだ?」
止めて欲しかったんじゃない、心配をしてほしかった清水は必死に訴えた。
「あぁ?学校なんてやめてしまえ!学費なんてどうにでもなるわ!むしろ有り余ってるぐらいだしな。」
出ました。本日二度目の学校やめてしまえ宣言。しかも実の親に言われては清水も黙らざるを得なくなり、無事矢村と清水は木本隊の一員になった。