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勇者殺しちゃった  作者: 小丹枝鷹宏
第1章
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学校なんてやめてしまえ-4

「えっ?レベルの上限がないってどういうことですか?」


「そのままの意味だよ。私たちにはレベルの上限がない。つまり、いくらでも成長できるってこと。」


それっていいことだろと言おうとした矢村を遮るように木本がとても小さな声で


「……ない。」


「えっ?なんですか隊長。」


「死ねない。そう、暗殺者という輩は成長しすぎて死ねないんだよ。」


木本は全てを悟ったかのように静かに矢村と清水に言った。


「死ねないことはいいことなんじゃないんですか?」


「君は考えたことがあるかい?2千、3千年も死ねずに、ひとりで、周りの仲良くなった人がどんどん死んでいく状況を。暗殺者は遺伝じゃないから家族が、友人が、配偶者が!君は想像できるか‼︎そんな状況が!自殺しようとしても暗殺者の契約により自殺ができないんだ!なりたくてなったわけじゃないのに家族に恨まれながら死なれた状況が!」


死神は枷が外れたように泣き叫んだ。


「なんかすいませんでした。死神さんの境遇を考えずに発言してしまいました。」


「あぁ、別にいいんだ。こいつは初対面に人にはいつもこうだから気にすんなって。」


木本が死神の背中をさすりながら気の毒そうに言う。


「そうなんですか。」


「あぁ、そうだ。死神、とりあえずトイレ行ってこい。」


「はい。」


そう言われ死神は近くのトイレに向かう。


「あ!死神さん、そっちは女子トイレですよ。」


「うん、そうだよ。」


「えぇ、だから女子トイレですって。」


会話が噛み合っていない二人に木本が


「矢村くん、死神はね、女子なんだよ。」


「………えっ」


矢村は信じられないという顔をし、清水のほうを見るが、さも知っていたかのように見つめ返す清水に対し、


「…えっ、お前知ってたの?」


「ああ。まぁ、胸の膨らみとかで。」


「いや、でも死神さん厚着だし。」


「そこはまぁなんとかなるだろ。見てすぐにわかってるもんだと思ってたよ。」


矢村は死神が女子ということよりも清水が知っていたことが驚愕だった。


「矢村くん、私が女子だったら何か悪いの?」


そう言った死神の顔は死神そのもののような顔だった。


「いや、死神って言われてるぐらいだから男なのかなと勝手な偏見です。」


ヤバい、殺される。きっとそんな目だった。


「そ、まあよく間違われるからいいけどさ。いっつもこんな格好だし。」


「でもお前、薄着でも男に間違えられるよな。お前貧乳だからな。」


と、木本が笑いながら言った。


「ちょ、隊長。それは…」


空気が変わった。ほんわかしていたのが一気に背筋がピリピリとした。何もされていないのに矢村と清水の足が恐怖によって震え始めた。


「隊長、命乞いはさせません。」



フッ



と死神の姿が消えたと思う前に死神の拳が木本のほおを捉えていた。


死神は音を少しだけ置いていった。


「えっ…早すぎません?」


初見の二人だったが、ほかの三人も驚いていた。


「ちっ、あいつまた速くなりやがった。ラユーク、お前は捉えられたか?」


「ギリギリだな。レベルの低さを感じさせられるぜ。だが、そんなこと思っていない奴が約一名いるみたいだぜ。」


そいつは音速を超える拳を受けていたにもかかわらず微動だにしていなかった。笑みを浮かべ


「これがお前の最速か?ハエが止まるような速さだな。暇すぎたから少しイタズラしといてやったよ。」


ふぁさっ


音と同時に死神が下着姿になっていた。


「きゃ、きゃーー!この変態!」


「うお、なんて官能的な姿してるんだお前。誰がやったんだ?」


「ラユークさん、それマジで言ってます?」


ラユークのボケがどうかわからないものにコンセがつっこんでいたが、


「そんなことより私の服…返してよ!」


ごもっともだ


「いや、服脱がしたんじゃなくて、爪で切っただけだから。下見ろ下。」


死神は全く気づいていなかったのか、より顔が赤くなった。


「調節大変だったんだぞ?下着だけ残すのも大変なんだな。」


うんうんとうなづく隊長を汚物を見るような目で死神が睨んでいた。


「それが遺言でいいですね?」


死神がさっきよりも速くなった。完全に音を置いていった。


が、その音速を超える拳も虚しく木本を捉えてはいなかった。


「だから、お前は遅すぎるんだよ。」


そう言った木本の声は全方向から聞こえたように思えた。


「これだからあいつの教育は賛成できんのだよな。」


矢村たちが周りを見回すと木本が100人ほどに見えた。


「これが、レベル999のスピード…格が違う。こんなのが俺たちの隊長なんて嫌だねぇ。」


初めて聞く声が話した。


「あの、あなた誰ですか?」


矢村は当然のことのように謎の人物に聞く。

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