誰なの
母親が家から出たあと、私は家に1人残された。
私の家は父と母と兄がいて、みんな社会人だ。社会人の朝は早く、母がたまにパートの時間が遅い事があってそういった日は一緒に出る。
まあ、大体最後に家を出るのは私。
さて、朝食も食べたし制服に着替えないとなあ。
制服が自分の部屋にあるので、なかなか足が重い。
「今日はやたら重力が重く感じるなあ。ハハ」
どうか部屋に行ったら、あの子がいなくなってますように。ただ私が寝ぼけてただけでありますように。
静かに祈りながら、ドアを開ける。
だかしかし、状況は何も変わってなかった。
私の家の周りがたまたま畑だから良かったものの、家が連なってるような場所なら死活問題だぞ。というか、事件になってしまう。
まだうちでよかったのか…とか考えながら、
もう無視はできないと覚悟を決め黒髪全裸の少女に声をかける。
うわあ…肌綺麗すぎるんだよなあ。
……どこかで見たことあるような顔の気もするけど、思い出せない。
そこら辺によくある顔なんだな、きっと。
とりあえず胸をつついてみる。
大体こういうのは胸からって決まってる。決して私よりバストが大きいからって僻んでるわけではない。決してバストが…
「…あの、言葉はコレであってますか?」
「キャアアアア!!!」
急に目を覚まして急に何か話し出した黒髪全裸少女。
動揺しすぎて、何て言ったかよく聞き取れなかったけど…。
てか、急に喋るなよ。ビビるんだけど。
「あ!合ってるみたい!
…
で、あなたは誰なの?」
「あやねです!」
こっちのセリフすぎて驚きなんだけど。…ここ、私の家の屋根だからね。
それでも鼓動はまだ止まらなくて完全に相手のペースに持ってかれる。
「あやねちゃん!あやねちゃんは、年はいくつ?」
「17歳だよ」
「じゃあ、私と一緒だね!」
「あ、はい。」
「あやねちゃん以外はここに誰かいる?」
「いや、今はみんな仕事に行っちゃったから、1人だよ。え、ちょっと待って。そんな事より私からも色々聞いていい?」
「なんでも聞いて!」
「うん、なんでここにいるの?」
「ごめん、よく聞き取れなかった」
あれ?なんか混乱しすぎて逆に落ち着いて来たぞ。そして確実にこの子は変わった子って言われてきただろう。
そういえばこの全裸少女と窓を開けてお話というのも如何なものか。
「まあいいや。じゃあ、とりあえず中入って。何か着替え持ってくる。」