なんでもない日常
朝。 窓からのぞく暖かくなり始めた日差しに、少しの期待感がこもった朝。何一つ変わらない朝。今日はブレザー着なくてもいいなって思った。
「綾音ー!ご飯できてるよー!! 早く降りて来なさーい!」
あぁ…今日もそろそろ学校行く準備の時間だな…。
このあいだ始業式を終えこの春から高校3年生になった私、三島綾音はたいした夢もなくとりあえず大学行けばいいでしょ、と若さを無駄にする宣言をして日々を楽しんでる。
本当にこうやって日々が過ぎていくんだろう。
周りの子みたいに、
好きな人ができて
彼氏ができて
結婚して子供ができて。
私は好きな人すら出来たことがない。
だってみんな友達も好きなんでしょう?何故、特別にその人を愛したいと思うのか私には理解できない。
「えー彼氏いそうなのにー"もったいない"」
…"もったいない"って何?
高校上がってから3年間クラス替えするたびに新しいお友達ができて、誰か1人には言われる。そんなに彼氏がいない私は可哀想ですか?こんな考え方してしまう私はきっとどこか周りとずれてるんだろう。
今日だってそうだ。周りとずれてるから窓の外から見える屋根に"知らない女の子"が寝ているように見える。普通こんなこと有り得ないのだ。そうそう、あり得ない。
「よーし。そろそろ起きて準備するか。」
「綾音ー!まだ寝てるのー?いい加減にしなさーい!」
…一旦深呼吸をする。
そして、無言で駆け足でとにかく急いで階段を降りて朝ごはんを食べる。
さっき見たのは、私が寝ぼけてたからであって、だからそう、夢の続きが、寝ぼけて、続いてただけであって、ヤバイヤバイヤバイなにあれ。考えると頭パンクしそう。見た目、私と同い年くらいで黒髪の綺麗なロン毛で綺麗な顔してた。
でも1番にヤバいのは、
その女の子が全裸だったことだ。
きっとお母さんに言っちゃ、お母さんもパニックになって事件になる。そうやってこの平凡な日常を壊すのは嫌だからとりあえず朝の支度終わらせてから考えよう。
「お母さん、もうあんた出るの待てないから先に仕事出るよ。戸締りちゃんとしてね」
「分かった。いってらっしゃい」
そう、いつも通り。
いつも通りに徹してればいいのだ。