第六章-痴話喧嘩は自重しろ
続きの投稿が非常に遅れて、申し訳ありませんでした。なんとか書き上げました。こちらの勝手な事情で長くお待たせしました。失礼ながら、まだ一章あります。
小説を楽しみになさってた方々に、深くお詫び申し上げます。
な・・・・・何もやってのけてないだと・・・・・
進歩はある意味驚愕した。というか落胆した。なぜって、そりゃさっきこの人、「選ばれた人間」って言ったじゃん!あの二人だけじゃん!「選ばれた人間」って!一体どういうことなの!
「オ、オレと坂本君は、何もないんですか?本当に何もないんですか!?」
「ええ・・・・・IDから探っても、過去15年間のデータに少しも存在しません。何が間違ってたんでしょうか・・・やっぱり新システムを導入するのは・・・・」
「ちょいと、先生。」
「何?坂本君?」
「わしはカツオを素手で捕まえたことが・・・」
「それとこれは関係ないです!すごいですけど!」
すると、扉が開く音がした。
「失礼します、校長先生。」
女生徒らしき人が二人、入ってきた。一人が四人の少年達を見てあっ、となった。
「せ、先生!とうとうやってしまったんですか!私は反対していたのに!」
その女生徒は割りと短髪で、髪留めもつけずにおろしている、おまけにツリ目である。
ここで校長藤森、
「あ、その、神楽坂さん。申し訳ないわ。もう決定しなきゃいけなかったの・・・」
「決定って、そもそも女子校である我校に男子をいれるなんて言語道断です!」
なかなか強気だ。進歩たちは肩身が狭くなっていることは言うまでもない。すると、もう一方の女生徒が口を挟んだ。
「まあ、まあ、そんなにヒスにならなくても。」
茶髪で、髪の毛の後ろを小さく縛っており、アホ毛が特徴的なこの女生徒は、神楽坂という少女とは舎弟のような関係なのだろうか。
「美琴・・・・・お前は黙って・・・」
「男なんて、もういるじゃないでスか。」
「そりゃ、窓先生とかはそうだけど、あれは・・・」
「鈍いでスね。神楽坂さん。鏡を見ればわかりまスよ。『嫌というほど』。」
大概の人は、美琴なる少女の真意を理解出来ただろう。
「ほう・・・・それはどういう意味・・・・?」
「神楽坂さんがおと・・・」
「コノヤロオオオオオオオオオオオウ!!!!」
ケンカが始まった。二人の性格、および正しい関係が理解できる瞬間である。
そこで、なんとなく止めに入ろうとする進歩だが、
「ちょ、お二人さん、ケンカはや」
「うるさい!!」
「おぶう!!」
進歩は殴られた。ちなみに進歩は親父にも、とこの辺まで書いておいて続きのわからん奴はいないだろうから保留する。
こんな痛みを受けるのは・・・・別れちまった彼女に
「私、オタクな生き物は嫌いだから。」
と言われた時以来だろうか・・・・・と進歩は思った。
しかし、すぐに殴った本人がこう言う。
「あ、そうだ。こんなことしてる場合じゃない。校長先生!またウチのオンラインであいつが!」
「何ですって!?」
緊張が走った。進歩も心当たりがあるのかハッとなる。そして口を挟んだ。
「あの、もしかしてそのオンラインの名前って・・・・」
次に健八、
「あれだな・・・・俺たちの行ってた・・・・」
藤森もそれに合わすように
「そう・・・・・・」
これは三人同時だった。
「WILD LAND ONLINE-ワイルドランド・オンライン!」
「もしかしてそいつ、『チーターマン』っていうプレイヤーですか!?」
「そう。しばしばうちのオンラインに来ては、マナーよく使っている、罪なきプレイヤーたちを狩って行くのです。それもとてつもないステータスなの。通常のプレイでレベル10で攻撃力5000のステータスなんてありえないわ!」
進歩と藤森の会話である。
「しかもそいつ、ほかのプレイヤーの所持金データ、装備データも破壊するの!アクセス制限もセキュリティもまったくきかなくて、もうどうしようもないのです!」
間違いない、と進歩は確信した。あのとんでもないやつだ。そういえば進歩の所持金も消えていたのだ。
今は、全員、主要コンピュータルームへ急いでいる。
「ハア、ハア・・・・ここよ。主要コンピュータは。」
そこはすご過ぎるところであった。重そうな金属製の扉は、周りに監視カメラがついている。おまけになにやら液晶画面や数字パネル、マイクまで取り付けられている。横には、「校長、及びその認可を正式に受けた者以外の立ち入りを固く禁ず」の張り紙がある。
「特別にあなたたちの入室を許可します。」
と、いうが否や、数字パネルにパスワードを入力し、なにやらマイクにぼそぼそと話しかけ、その後、人差し指を液晶に当て、扉が横に開いた。この間、わずか2秒である。
そして、入らされた部屋の中も別世界であった。ニュースでよく見る株式市場の映像を思わせるパソコンの量と並びである。そして、部屋の奥には巨大な機械の城があった。
「さ、早く、時間がないわ。」
そしてその城へと進歩達は行く。
校長藤森はさっきの要領でパソコンへとアクセスした後、すぐに「WILD LAND ONLINE-ワイルドランド・オンライン」を開ける。
すぐに、進歩と健八には見覚えのある映像が映った。また、進歩はあの忌まわしい記憶が脳内に蘇った。
藤森はすぐにその犯人を見つけ出す。間違いない。「チーターマン」だ。
彼女は必死に説得と警告を行う。しかし、相手はあのような鬼畜な行動をするやつだ。従うはずがない。そこで、実力行使を行った。
藤森は必死に指を動かし、キーボードをたたいている。タイピングゲームどころではない。キーボードを破壊せんばかりの勢いだ。おそらく追い出すためのプログラムを送っているのだろう。また、いつの間にか神楽坂と、美琴なる生徒も別のパソコンについてたたいている。
三人とも懸命に戦った。しかし、
「だめ・・・・もうどうしてもできない・・・・」
「ど、どうすればいいんですか!このままじゃうちのオンラインが!!」
進歩たちは黙って見つめるほかなかった。しかし進歩はとても黙っていられる状況じゃなかった。どうしてもあのひどい輩を懲らしめたかった。とはいえ、自分はそいつには勝てなかった。絶対に無理だろう。自分じゃどうしようもない、そう進歩は思った。すると、
「俺、やります。」
と、健八が名乗り出た。
「僕も、協力してあげてもいいよ?」
登魯もまた、力になろうとしてるようだ。
「え・・・・いや・・・でも・・・そんな・・・・あなた達には・・・」
「何言ってんだ。あんた、男の度胸や、行動の早さ、そういうのも必要なんだって、いってたろ?」
「・・・・・・・・」
「それに、今の状況じゃ何も変わらないことは明らかだ。俺らが二人加わって、良くなるか、悪くなるかはわからない。むしろ悪くなる可能性の方が強いとも考えられる。だがな!今の状況じゃ、悪くなっても、良くは絶対ならないじゃねーか!!こうなったらわずかでも、1%、いや、それよりも低い賭けでも、やるっきゃないだろう、若林さん!」
この瞬間、進歩は殴られたような衝撃が頭の中に走った。進歩は、自分に「何か」がなかった、自分では無理なのではない、ただ腰の抜けたギャルゲオタク「だった」のだ。進歩はもう決めた。もう戻れない。
「藤森、よ。」
そして数秒の沈黙の後、続ける。
「わかりました。さあ、二人とも、時間はないですよ。」
もちろん、すぐ後に、あるギャルゲオタクの叫びがあった。
「待った!僕も、協力します!」
次でいったん終了します。しかし、すぐに新章が始めますので、そちらのほうをお楽しみにください。