第五章-名前でいちいち騒ぐのは未熟な証拠
長らくお待たせしました。今年初めての投稿です。
藤森・・・・・林檎・・・・・選ばれた・・・・?
進歩は呆然とした。
「ええ・・・・突然呼んでしまいごめんなさい。あ、あなた達は、『真☆恋愛オンライン 亜羽都学園』というページにアクセスしましたね?」
あああああ!!!!!そうそうそう。そんなページだった!そんなページだったよ!進歩はこう思ったが、他の三人もそう思ったに違いない。
「・・・・・・・・・・それで・・あ、一度、みなさん、学園内にはいって下さい!説明はそこでします!では、案内して差しあげなさい!」
ハッ!とヤク・・・ごめんなさい・・・黒服を着た男達は気持ちよく返事し、こちらへ、と進歩達四人を案内しようとする。
少なくとも進歩はこのヤ・・・黒服を着た男達がヤクザ(結局使ってしまった)とは思っていなかった。どっちかというとボディーガードっぽい感じだった。藤森さんとやらはいなくなったが、さっさと学園内とやらに入ってしまわれたようだ。
と、いうわけで学園内とやらに入った進歩たちだったが、確かに「学園内」以外の何物でもなかった。いつしか漫画で見たようなあの清楚な感じのある風景である。歩く右側に数々の扉ドア、左側はガラス窓が平行して並んでいる。進歩が通っている学校もそんな感じのはずだが、決定的に違うのだ。正しく、端的に言うとすれば、「パラレルワールド」だろうか(ちがうと思う)。
と、進歩はこれに似たようなことを考えて歩いていると、遠くの方で声がする。わめく声ような叱るような声だろうか。そして進歩たちはその部屋の前に来て、そこにとまった。それには「校長室」と書かれていた。すると、
「手荒なお連れ方はするなとあれほど言ったでしょう!!?」
「申し訳ございません!」
というような会話が聞こえた。叱っているのはさっき進歩たちを迎えたあの女性に違いない。すると案内してくれた黒服の男の一人が、
「失礼しますぅ。」
とノックをする。
そして進歩たちはそのまま通された。
入り際に部屋から出て行く黒服の男たちとすれ違った。叱られていたに違いない。
「減給1割はきついな〜」
「俺なんか減給プラストイレ掃除までだぞ」
「俺にいたっては減給プラス・・・・・うあああ怖くていえない!!!」
という声が聞こえたが(特に三人目のセリフは)聞こえなかったことにしたい。
今、目の前にはデスクを構えて座っている、さっきの女性、藤森 林檎さんがいた。
「えー、おほん。みなさん。突然お連れしてすいませんでした。私たちがここにお連れしたことにはわけがございます。」
すると健八が、
「身代金がほしいのかい、青森さん。」
「藤森です。まあ・・・一言で申し上げますと、あなた方はここ、『亜羽都学園』に入学していただきたいのです。」
入学!?え、入学!?乳我苦!?いやいや入学ですとおおお!!!!
「あれは・・・・あのサイトで入学していただいたのは・・・・・いわば入学手続きの様なものだったんです。」
また健八が、
「しかし、あれはONAMIの公式ページじゃなかったのかい、森永さん。」
「藤森です。それは、有名会社公式という形のほうが、人を怪しがらせずに誘導させることができるからです。要は見かけだましなんです・・・恥ずかしながら・・・」
「ん・・・・・・じゃあ、なんでそんな強引な方法をしたんだ?少子化?少子化か?そんなに生徒集めんの困ってんの、安永さん?」
「藤な・・・じゃなくて藤森です。もう原型なくなってるじゃないですか。えーと。実はこの学園・・・・・女子校なんです!」
ええ女子校!!??えええええ女子校!!!?えええええええええ恕死昂!!!!!???・・・・・・いやいや落ち着け。ちなみにこれらの心の叫びは進歩のものである。
それにかかわらず健八はマイペースに
「で、なんで女子校なのに俺ら男を入れることにしたの、大統領?」
「藤森です。いや、ある意味間違ってはいませんが。それはですね、私たち亜羽都学園は、学園の名をかぶった・・・というのはおかしいのですが、インターネットを利用して諸悪機構をつぶす組織なのです。」
すると鳴りを潜めていた登魯が、
「え?何?天国いんメイドさんのあの組織みたいなもの?」
「ちがいます。というか、君なんでそんなゲーム知ってるんですか?あなた当時何歳だったんですか?いや、そのゲームを知ってる私も私ですけど。で、インターネットはある意味最強のシステムです。内閣、国会、裁判所、マスコミの四大権力についで第五権力となりつつあります。うまく利用すれば、世界中の情報を操作できるのです。それで、私は数年前からこの組織を立ち上げ、あなた方のと似たような方法で生徒を集めましたが、あえて女子限定にしました。こんな言い方、失礼と思いますが、女性のほうが頭の回転が速く、こういう犯罪にも敏感かな、と思っていたんで。」
「ほう。で、なんで急に男が必要になったんだい、禁固10年大統領。」
「藤も・・・いや、いいです。それは、思ったより成果が上がらなかったのです。考え直してみたんです。やっぱり頭の回転の速い女子もいいんですが、やっぱり男の人の、こう、強い度胸というか、行動の早さも大事と思うんです。協力しないといけないと思うんです。両方の力があってこそ凶悪犯罪を未然に防げると思うの。」
ふ〜ん・・・・・と進歩たちは聞きほれていた。
「だけど、よく運よく男ばっか集まったな〜。大丈夫だったのか?後、誰でもよかったのか、ええと・・・もういいや、藤森さん?」
「藤も・・・あ、あってるか。それについてはですね、ある特定のIDのパソコンしかアクセスできないように設定していたんです。過去にインターネット上で脅威の技をやってのけた方のIDを調べ上げたのです。たとえば・・・・君、chln107君ですか?」
と、登魯を指していった。
「へっ!?僕?え、そう・・・だけど?」
「なるほど・・・・・で、あなたは確か、あらゆるセキュリティの張られたページやパソコンにハッキングしたことがありますね。」
「ん・・・・ま〜・・・その通りだけど・・・・」
「リストはすべて挙げられますよ・・・そうそう、『1株 600万円』の株価の表示を『600万株 1円』と切り替えたのもあなたですし、防衛庁、現防衛省のコンピューターにもハッキングして情報の一部をネットに流したのも君でしたね。」
えええええええええ!!!!!すご!すご!つーかやばすぎるだろこいつ!
進歩は愕然とした。なんとあのニュースの犯人はおめーかよ!と思った。
「で、本名を教えてください。」
「山口 登魯っていいます・・・・」
すぐに彼女は続ける。
「次に、あなた、丸木怒君ですね?」
と、健八のほうを指す。
「あ〜・・・そうですよ青森さん。」
「帰結しちゃいましたね。あなたは9年6ヶ月16日にかけ、数万単位ものサイトをぼろぼろに荒らしましたね。あなたは知らないかもしれませんが、あなたの荒らしのおかげで、パソコンがトラウマになった人は1000万人を下りません。」
「何だってええええええええええええええ!!!!!!」
進歩はまたしても驚愕した。なんと12月ごろにやっていたオンラインゲームで、
ド・KILL魔:るせーんだよ てめーでなんとかしろこのキモオタク(切)
と、書き込みやがった張本人がここに現れたからだ。
「てめーかあああ!!!てめーなのかああああ!!!!」
進歩は当然のように怒り、健八に殴りかかった。
「せーなっ!!今はそれどころじゃねーだろ!小銭握りこんだグーでなぐるぞ!」
「ケンカは後にしてください! ・・・・・・・で、本名は?」
「沖田・・・健八。」
「わかりました。で、君。『坂本 真九郎』君ですね。」
「あ・・・そうきに。」
「本名を教えてください。」
「え・・・・・今、言ったきによ・・・」
「え・・・・いや本名って・・・・ま・・・・まさか、君、ユーザーネームのとこ、本名入力したの!?」
「『ゆうざあねえむ』ってなんね?」
「えええ・・・・・あなた・・・・そんなことも知らないで、なんでうちに接続したの!?」
「いや〜〜〜アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。なんやかん・・・」
その言葉を聴いた瞬間、進歩の手が真九郎の肩にのびる。真九郎は青ざめた。
「いや・・・・じゃなくて・・・・その、わしの父ちゃんがな、『これからはコンピューターの時代じゃ』ゆいて、『こんぴゅうたあ』を買っての〜。で、わしちょっといじくっちょったらなぜか住所やら入力せいて書いとるからその通りに従ったきに。名前も書いたけど・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「私・・・・何が間違っていたのかしら・・あ、で、君は『ヘルまんだむ』君ですよね?」
やっと進歩の番である。
「はい。本名は、近藤 進歩です。『進歩』って書いて、『すすむ』。」
「・・・・・・・・・・ええと・・・・ひとつ言っておきたいことがあります・・・・その・・・近藤君と坂本君に・・・」
「?」
「ええと・・・・その・・・・君たちには・・・・特に脅威の技をやってのけたという・・・・記録がないのです・・・・!!!」
次回で、「ログインの手続き」編完結です!(小説自体はまだまだ続きます。)