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第3話 決闘を申し込まれました

新登場キャラ、爽やか+腹黒。

「貴様、昨日はよくも言いたい放題してくれたな」


 朝からグロッキーです。


「俺が王族だと知らなかった訳ではあるまい?」

「存じてますよ、王太子様」

「ほう、よくもぬけぬけと」


 いつも通り図書室で本を読んでいたら放送で呼び出しを食らい、現所在地生徒会室。

 ねちっこいですよバ会長、ヒロインちゃんに嫌われますよ。

 フられて再起不能になれ。


「会長、もう許してあげましょうよ。この子も反省してますって」


 庇うように私の前に出た水色髪。

 生徒会書記の爽やかです。


 一見ただの爽やかイケメンで何の面白みもない方ですが、実家は暗殺業を営んでいます。ちなみに王家直属。

 爽やかは長男なので後継者です。

 しかし心優しい(笑)爽やかは実家を嫌っています。

 幼い頃から暗殺訓練を積みつつ、良心に反することをしている自分と実家に葛藤を抱いていた時に、ヒロイン登場。

 「先輩は優しいんですね。だったら、そんな悪いこと止めさせればいいんですよ。説得すれば分かってくれます」と甘言を囁かれ、陥落。

 チョロい、チョロすぎる。


 まず、王家直属ってところで辞めるなんて無理だと理解しましょうよ。バカですかバカですね。

 必要があるから、暗殺一家があるんですよ。

 浅はかな。

 視野の狭い方は嫌いです。

 まぁ、それとは別に、個人的な理由で嫌いなんですけどね。


「気は済みましたか?では、HRがありますので失礼します」

「待て、逃がす訳がないだろう。貴様は…」


 うざい。

 イライラが積もって爆発寸前なのを、なけなしの理性で抑えつけます。


「何ですか。貴方はただ自分が気に入らない反応をした下級生を甚振りたかっただけでしょう。なら、もう用は済んだ筈です」

「っ、この…たかが男爵家の令嬢が!この俺にどこまでふざけた態度を取るつもりだ!貴様の家を潰してやってもいいんだぞ!!」


 …………ふぅ。

 そうですね、昨日の時点で目はつけられました。

 だったら、開き直ってもいいでしょう。


「ふざけているのはそちらでしょうが、このアホ王太子が」

「な?!」

「この際ですので言っておきますが、私、貴方のこと大嫌いです。嫌いなら、別に態度悪くても構わないですよね?社交場ならいざ知らず、ここは格を気にしなくてもいい“国立”学園ですから」


 国立ということは国王または王族、上層部の意思があるということ。

 俺様はそのことを理解しているんですかね。していないんでしょうねぇ、この様子ですから。


「貴様ぁ…、この俺にそんな口を利いて、ただで済むと思っ」

「思ってます。私にとって、貴方は価値がありませんから」


 キッパリと言い切ります。

 それにしても芸のない方ですね。昨日も同じようなセリフを聞きましたよ。


「これ程の無礼、許せん!貴様に決闘を申し込む!」

「…ふむ。少し待ってください」

「何だ、逃げる気」

「もしもし、ティモールですが。ああ、すぐに終わります。あのですね…」


 俺様がまた何か言っていたような気がしますが、無視です。

 私は携帯念話――魔法で動いているだけで要は携帯電話です――をポケットから取り出し、ある方に掛けます。


「いいですか?では遠慮なく。はい、では。…よろしいですよ、お受けいたします。日は?」

「今日だ。放課後、闘技場にて」


 放課後…。

 コイツは一体どれだけカルロさんとの時間を奪えば、いやでも今日を乗り越えたらもう絡まれることは……仕方ありません。


「了解しました。では今度こそ失礼させていただきます」


 ベルが鳴る5分前にようやく私は生徒会室を出られました。

 二度と来るか。




「キャロラインちゃん!」

「ティモールです」

「……」


 教室に入った途端、尻軽が名前を呼んできました。

 親しくなった覚えはありませんし、鳥肌が立っているので名前呼びは断固として拒否させていただきましょう。


「ティモールちゃん、かいちょーに呼ばれたでしょ?大丈夫だった?あの人、気に入らない奴には容赦しないから」

「貴方に話す理由が?」

「う、それは…」

「邪魔ですから去ってください」

「で、でも」

「しつこい方は人に好かれませんよ」

「……」


 尻軽は撃沈しやすくて楽なんですがね。

 俺様は逆上するからいけません。


 私は周りからの視線を一切無視して、1限目の仕度を始めました。




「すみません、ティモールさんはいらっしゃいますか?」


 一 体 何 な ん だ !

 何ですか、精神攻撃ですか、バッチリ効いてますよ、反動でその綺麗な顔面を焼きたいと思うくらいに。


「あれ、ふくかいちょー。ティモールちゃんに何の用なの?」

「貴方には関係ありません。ティモールさんは?」

「みんなして僕の扱い酷すぎない…?」

「答えないなら退きなさい。暇じゃないんですよ」

「きゃんっ」


 優雅に尻軽を蹴り退けた後、教室内をぐるりと見渡し、灰色の目を一点に固定した。はい、私ですね。

 美貌の副会長サマが何の用ですか。

 目と同色の髪がサラサラ靡いてカッコ良さげだけど腹黒の時点でアウトですよ!


「少しお時間宜しいですか」


 疑問符が付いていませんよ。

 あぁ、私の昼休み…。



 そして連れて来られた空き教室。


「すみません、呼び出しみたいになってしまって。ですが、こちらの方が確実だったもので」

「そうですか」


 キラキラ笑顔に淡々と無表情で返します。

 副会長=腹黒という方程式を知っている私にはキラキラ笑顔は効きません。


「どういったご用件ですか?」

「ティモールさん、貴方今日の放課後、会長と決闘するとか」

「はい」


 いきなり本題ですか、回りくどく始めるより好感が持てますよ。変わらず嫌いですが。


「事実でしたか。はぁ、会長も何をやっているんだか」


 あれ、苦労人の影が見えました。

 益々好感が持てますが、腹黒ってこんなキャラでしたっけ?

 腹黒はテンプレな副会長系です。

 常時笑顔を貼り付けて、騙される周りを見下して、誰も私の本心に…私の心に気付かない!と悲劇のヒロインごっこが大好きな方でして。

 ヒロインが「嘘の笑顔なんてしないでください。笑いたくないなら無理して笑うことないんですよ」と、これまたテンプレセリフですが、陥落。

 俺様並みに難易度が低いと思われる。

 そんな胡散臭い笑顔の美人で、苦労人ではなかった筈なんですけど。


「悪いことは言いません、今からでも取り消しなさい。あんなのですが力だけはありますし王族です。何かあったら責任を問われることになるやも…。危険ですよ」


 一体どうした腹黒先輩。

 突然変異かそれとも私たちと同じ転生者とかいうオチですか。


「………ドラ○ンボール」

「はい?何です?」

「何でもありません」


 違いました。そうそう居ても困りますが。


「棄権するならば、私も一緒に説明しますし」

「お心遣いありがとうございます。ですが無用です。決闘は了承した瞬間に契約となって破ることは勿論、棄権することも難しいですし、何よりアレをボコれる機会を逃したくない」


 きちんと許可も得ているんで心配もいりません。


「そ、そうですか?」

「はい、大丈夫です」

「なら、もう何も言いません。こんな所まで連れて来てしまってすみませんでした」

「いえ、お気になさらず。では失礼します」


 はぁ、早くカルロさんに会いたいです。




 そしてやってきました放課後。


「ふん、逃げずに来たようだな」


 俺様のセリフがどこぞの雑魚キャラな件について。

 というか放課後までに色んな先生や見知らぬ先輩方に頑張れよ、無理はするな、一発お見舞いしてやれ、など激励を貰ったんですが。

 コイツどれだけ人望ないんだ。


「両者が揃ったのでルールを説明する!勝利条件は相手の場外、降参、試合続行不可能とみなした場合とする!敗北条件は勝利条件を己が満たした場合に加え、禁忌魔法の使用とする!」


 へぇ。


「決闘では申請した武器、契約精霊、最上級以下の魔法のみ使用可能とする!」


 私、武器ってあんまり得意じゃないんですよね。

 無難なナイフにしました。


「それでは!2年A組キャロライン・ティモールと3年S組デュランダル・ラリアンシルの決闘、開始!」


 俺様の名前が無駄にカッコ良くてムカつく。


腹黒が腹黒っぽくなくなった。

何故。



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