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第8話 新たな友情

ヒロイン登場…?

「うふふっ、あたしってば、ちょーかわい〜。みんながあたしを愛すのも納得だわ!みんなみーんな、あたしのことを愛してくれてる。あんなイケメンたちが!あたしを取り合ってくれる!まぁ当たり前よね!あたしはこぉんなに可愛いんだから!それにみんなのこと理解してあげてるしぃ〜。でも、やっぱリェチル先輩だけは難易度高いな〜。まだ落ちない〜。他は二ヶ月以内に落とせたのにぃ!悔し〜!ぜぇったい落としてやるんだから!それでもイベント回収も順調だし〜逆ハーエンドも遠くないよね!イベントといえば…会長の決闘、あんなイベントあったっけ?まっ、あれのおかげで会長を慰めて好感度アップ出来たんだけど!ん〜、よし!化粧直しバッチリ〜。早くみんなに可愛いあたしと話させてあげなきゃねっ!」



 ………。

 ………。

 ………。


「……独り言、多いな」


 私、只今トイレの便座に座っております。

 このようなところから大変失礼。

 先程のマシンガントークは、噂のヒロインちゃんです。

 ナルシスト属性ビッチ属のヒロインだったとは…。あの子絶対友達いない。

 盗み聞きではありませんよ。個室に入っていたら、ヒロインが入ってきて勝手に喋って出て行ったんです。お陰で出るに出れませんでした。

 独り言を聞いていた限り、彼女も転生者のようです。

 そんな小説もありましたから、別段驚きませんが…、もっとマシな子が良かったです。

 自分がヒロイン、自分が世界の中心、と思っているような子は破滅ルート以外知りませんよ、私。


「勝手に破滅するのは構わないんですが…」


 その場合、私の大切な方々が苦労することになるんでしょうね。

 それは望むところではありません。

 面倒ですね。


「とりあえず、逆ハーは無理ですよ、ヒロインさん」


 だって、もう絶対洗脳にかからない方がいますから。




「キャリーちゃん、おそ~い。早くお昼食べよ~」

「…ブロウ、眉毛に虫ついてるよ」

「えっ、ウソ、ホントに!?取って取って!」

「嘘だよ」

「なっ!キャリーちゃん、また嘘ついた~」

「反応が面白すぎるのが悪いと思う」

「えっ、僕が悪いの?」


 簡潔に言いましょう。

 尻軽改めブロッサム・リェチルと友人になりました。




 遡るは今日の朝。


「カルロさん、おはようございます!」

「おはよう、キャリーちゃん。最近暑くなってきたね」

「そうですね。熱中症には気をつけなくちゃ」

「水分補給をしっかりするんだよ?」

「はい。カルロさんもですよ?」

「ははっ、わかったよ。妻にも言われているしね」

「あ、奥様のお誕生日サプライズどうでした?」

「とても喜んでくれたよ。喜び過ぎて泣き出しちゃってさ。可愛かった…あ、いや、ゴホンッ!…素敵なアイデアをありがとう、キャリーちゃん」

「私は大したことしてませんよ」


 こちらこそ、カルロさんの照れた姿が見れて眼福です。ありがとうございます。

 まぶたの裏に照れ顔を焼き付けて、カルロさんとそこを離れました。

 いつも通りの流れで、教室に入りました。


「きゃ…ティモールちゃん!」


 学習しましたね。


「今日こそは教えてもらうからね!」

「……うーん、迷うなぁ」

「へ?」


 これまで何度も打ちのめしてきたのに向かってくる不屈の精神と弄りがいのある素直な性格。

 ぶっちゃけ、好み。

 あ、人間としての好みですよ?

 憧れとしてはカルロさん。

 結婚するのはウェルです。

 話がズレました。

 私、周りからよく容赦ないと言われるような性格ですので、打たれ強い方でないと友人付き合いが出来ないんですよ。もしくは共に容赦ない方。

 非常に惜しい。

 ウェルに相談したら、私の好きにしたらいい、と言って下さいましたし。

 …簡単にそう言うんですよ?マジイケメン。

 なので。


「ちょっと来て下さい」

「う、うん…?」


 空き教室に連れ込み、直球に訊きます。


「どうして私に構おうとするんですか」

「えっ、えーと、それは…」

「ちゃっちゃと潔く答えなさい。正直、私は気が長くありません」

「うん、それは知ってる」


 でしょうね。


「えっとね、多分ティモールちゃんは覚えてないだろうけど、4月の始めにティモールちゃんが話し掛けてくれたんだ」


 はて?

 いつ何の用があったんでしょう?


「僕の男色(こと)は、表面上は保っても内心は引くのが普通の反応でね?僕も仕方ないって思ってたんだけど、ティモールちゃんはホントに、ホントに普通に話しかけてくれてさ。内容は先生からの伝言だったんだけど…、凄く嬉しかったんだ」


 尻軽はとても嬉しそうな顔で言いました。良かったですね。


「生徒会の役員たちは業務事項とか入り用の時で話すけど、本心では気持ち悪がってる。かいちょーなんて、ストレートに気持ち悪いって言ってきたし」


 あの野郎…。

 人のこと言えるのかよ、自分を省みろ。お前の方が気持ち悪いわ俺様とか!


「それで、ティモールちゃんに興味を持って、しばらく観察してたんだけど、普通だったのは興味ないだけなんだなって分かった」


 正解。


「それから、ティモールちゃんに興味持ってもらいたい、もっと話したい、と思って…、毎日しつこく話しかけてました…ごめんなさい」


 成程。

 知らず知らず私はイベントをぶち壊してた訳ですね。

 …ということは。


「貴方、生徒会の人たちが夢中になっている一年の女生徒のことをどう思います?」

「へ?あの子?…嫌い」

「どうして?」

「なんか、わざとらしい。気持ち悪い僕が言うのも何だけど、気持ち悪い」


 よし。

 それが聞けたら行動するのみ。

 その後、調きょ……付き合い方を教えればいいでしょう。


「私、貴方と仲良くする気は全くありませんでした」

「ぅ、うん」

「いつもしつこく話しかけてきて、殴っても暴言を吐いても、毎日向かってくる」

「ごめんなさい」

「その姿はとても魅力的でした」

「ごめ…、え!?」

「……私が仲良くする気がなかった理由、興味がなかった以外にもう一つあるんですよ。分かります?」

「?」


 呆けた顔をする尻軽に私はニッコリ笑った。




「あっ、リェチル様だわ!」

「今日も素敵!」

「リェチル様ぁー!!」


 黒髪に桜色の瞳をした美しい男子生徒に、女生徒たちが黄色い声を上げる。


「みんな、おはよ〜。今日もかわいーね〜」

「あ、ありがとうございます!」

「キャー!」

「褒められましてよっ」


 男子生徒はニコッと笑って、歓喜の悲鳴を上げた女生徒たちに言った。


「僕を見て、喜んでくれるのは嬉しいんだけど〜、騒がしくするのは淑女のすることじゃないよね〜?それに〜周りの子に迷惑だから、止めようね〜」

「ぇ、ぁ、はい!」

「申し訳ありませんっ」

「分かってくれたらいいんだよ〜。ほかの子にも言っておいてくれる〜?」

「「はいっ」」










『アンタらイケメンがいると、周りがうるさくて不愉快なんだよね』



うるさいのが嫌いな主人公。

尻軽の話し方が変わるのは、周囲用の仮面と本当の姿。



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