7‐14対決
そして、放課後。
屋上に行く前に装備を確認しよう。
右手、バール。OK。
左手、つるはし。OK。
頭、ヘルメット。OK
服、作業服。OK。
よし、これで存分に戦える。
ケンカをする事は初めてだが、これくらいの装備を固めていたら、相手もビビって逃げるだろう。
では、早速屋上に行こうじゃないか。
と、屋上への階段を一気に駆け上がり、ドアを勢い良く開いた。
すると、そこには。
「あっ、来てくれた、ノ……?」
露木が立っていた。
ん?
俺が予想してた展開と違うぞ?
……そうか。
「なるほど、露木は俺とタイマンをして勝って俺を奴隷化したいんだなぁ?」
「全くなるほどじゃなイのだけド、というかその格好はナニ? 工事のオッチャンのコスプレ?」
「今、俺が集められる最強の装備だ」
「……いヤ、今日ココに呼び出したのはタイマンをする為じゃなくテ、あのネ」
と、呆れた顔で言う露木。
「なんだよ? そうやって油断させて俺を倒そうって魂胆だろ? 人間のする事なんて高が知れてんだよ」
「マサルッ!!」
「!?」
「話を、聞いてほしいノ」
露木がいつになく真剣に語りかけてきた。
「あんだよ、それならさっさと言えよ」
「ええと、その……ゴメンナサイ」
「?」
「今までの事、ヲタクの趣味を押し付けていた事、すべテ。本当にゴメンナサイ」
「…………」
「あノ、もしよかったラ……これからも友達デ……いてくれますカ」
ああ。
そういう事か。
俺に謝るために。
ならこちらからも言う事がある。
「俺もゴメン!!」
「?」
「俺、前にみんな友達だって言った。だけど、それは違って、単なる部活仲間なんだ、友達じゃないんだ――――そう思うようになっていた」
「…………」
「みんな、その場の空気を読んで行動してるだけで、俺だけがみんなを友達だと思ってて。みんな、俺の事なんてどうでもいいんだろ――――なんて考えてた」
「…………」
「でも、それは違った!! 露木、言ったよな。『これからも友達でいてもらえますか』って。それは今までも友達だと思ってくれてたってことだよな」
「そうヨ」
「『これからも友達でいてもらえますか』は、こっちの方だよ。本当に、本当に、今までゴメン!!」
「…………」
「…………」
沈黙が俺たちを包む。
「…………じゃあ、そういう事だから」
沈黙に耐えられなかった俺は、屋上から逃げ出した。