6‐12勘違いってのは恐ろしい
「露木!?」
露木は俺の存在に気付くと、180度方向転換して逃げだした。
「おい!!待てよ!!」
いきなり逃げるとは思ってなかったので、焦って追いかける。
男子の方が一般的に女子よりも走る速さが速い。
この状況でもその一般性を損なわない。
すぐに追いついて露木の肩をつかむ。
「放してください!!」
「カタコト直ってるぞ」
「あっ、……放してくださイ!!」
「いや、もうフォロー無理だから」
「…………」
黙りこくってしまった露木。
お前は小向か。
「まあ、カタコトの話は後に回すとしてだな…、なんで今日休んだ?」
今はこれが一番の問題だ。
「…………(躊躇)」
「だから小向かってお前は。ちゃんと話してくれ。割とマジで。それと、とりあえず昨日はごめんなさい」
「? 昨日っテ?」
「だからチャットでだなあ、日本にずっと住んでんのになんでカタコトなのかって小向と話してて、ちょっと露木が傷つくような事を書いてしまっていたからさあ……」
「何のハナシ?」
「何の話って、お前昨日過去ログ見ただろ?」
「見たけド…そんなこと書いてなかったヨ」
は?
「マジで?」
「一昨日までの過去ログしか残ってなかったヨ」
もしかして、ないしょボタンを使ってたのか?
……。
小向ィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!