ネガティブにイきましょう

１‐１章 ネガティブにプロローグ

１‐６無駄な能力

「そういや名前を聞いてなかったわね。私は笹ヶ峰実(ささがみねみのり)」

「名波真夫です」

「女っぽい名前ねぇ」

「止めて下さい。意外と傷付くんですよ…。この名前で良かった事がないから…」

　歯医者なんかで名前を呼ばれる時もちゃん付けをされたことなんて星の数ほどの回数がある。

　この名前でオトコオンナって言われたりな。

　本当に散々だったよ。

「いや、男から女に戸籍を変える時とか名前変えなくても違和感がないから良いじゃない」

「性転換するような男に見えましたか!?」

　これでもレッキとした男である。

「例えばの話よ、例えばの。それとか、女性限定のアルバイトに参加する時に偽名を名乗らなくてもいいとか」

「有り得ないシチュエーションでの利点はあるだけ無駄です」

　空から降ってくる女の子を１００％キャッチできる能力とかな。

　降ってくるのだったら降ってきてほしいがな。