猫の旅:シュメール編
男は隊商の頭を探していた。二頭の馬が引く幌のかかった馬車が三輌、替え馬が二頭という移動速度が速く守りも固そうな隊商だ。遠くカスピ海沿岸まで何か大切な荷を届けるのだろう。
「あ、あのぉ、す、すいやせんが」
男は、隊のメンバーだと思われる偉丈夫におずおずと声を掛けた。
こんな立派な隊商だ、メンバーはシュメール大神殿の委託を受けて旅をする特別な階級の人々だろうから。
「何だ、何か用か」
その偉丈夫は背が高く、日除けのための布の被り物を着け、頬骨の高い顔はもみあげから続くカールした髭が顎まで覆い、スカート型の革の腰布の上から旅路の埃避けに腰までの袖なしチュニックを纏っていた。筋肉の筋が浮かび上がる太い腕とふくらはぎ、足には足首で縛るタイプの革製の履物という、隊商としては破格と言っていいほど立派な風采だ。
まるで兵団の輜重隊のようだ、と男は思う。
男は内心怯えていた。だが、どうしても尋ねなくてはならないことがある。
「へえ、申し訳もござんせん、誠にお許しいただきたいことでござんすが」
上目遣いに隊商の男の顔を見る。
「申してみよ」
「は、はい。道中で猫を拾いまして」
「うん?」
なぜ猫を拾ったことで自分が話しかけられているのか、偉丈夫は内心首をかしげた。
「へえ、それが道端で疲れ果てた様子で蹲っておりまして。
あ、あの、水飲み場がある休憩所で三輌の馬車をお見掛けしやして、同じ隊商様ではなかろうかと。 猫をお連れだったかと、はい、それでその一匹が乗り遅れて追いかけていたのではなかろうかと……」
偉丈夫は驚いたようだった。
「うん? 遅れたのがいたのか、気が付かなかったな。 ちと待っておれ」
そう言って偉丈夫は馬車の方に行きかけたが、すぐに振り返って言った。
「いや、猫の数を数えるより、その拾ったというのを見せてもらおう。その方が早い」
なるほど。男だってそうしてもらった方が早いと思う。
「へえ、さようで。 どうぞこちらへ、へえ、どうぞおいでなすって」
男は偉丈夫をロバが引く荷車へと案内した。
「どうぞ、ご覧くだすって」
擦り切れた皮を縫い合わせた覆いを半分ほど捲り、蹲っているキジトラ猫を見せる。
偉丈夫は、瞬きして猫を見る。
「ペピ? ペピか」
猫は、ニャーと声を出そうとしたが、かすれて音にならない。猫は本当に疲れ切っていた。
偉丈夫はペピと呼んだ猫を見ながら、しばらく考える。そして太い指で小さな頭を優しく撫で、親指と人差し指で耳をクイクイといじり、顎から首の周りをやさしく搔いた。
ペピは安心したのか、強張ったからだから少し力が抜け、指に顔を擦り付けようとする。
偉丈夫は男の方を見て話しかけた。
「名を聞こう」
「は、はい、カルガにございやす」
「そうか。 何を運んでおる」
「へえ、あっしは神殿のご用で、透明な葡萄のお神酒をお預かりして、あっしの地元の町まで」
「ふむ。 これか」
偉丈夫はカルガの荷車に載せてある革袋の方へ顎をしゃくる。指は猫を撫で続けている。
「そちらは普通の葡萄の酒でして。
お神酒は、あっしの爺が工夫した特別な入れ物で運んでおりやす。革袋ですと臭いが付くとやらで。 爺のおかげさまで親父もあっしも神殿のご用で月に一度」
「そうか、焼き物の壺か。 無事に運ぶのは大変だろう」
「へえ、爺と親父の工夫で、なんとか運ばせてもらっておりやす」
素焼きの壺で、本当に僅かな量しか醸成しない白ワインを運ぶとなると、間違っても壺が割れるなどということがあってはならない。それは清らかな神酒として大神殿でお祓いを受け、各地の神殿に少しずつ下賜される。
本来なら革袋が用いられるのだが、このカルガという男の祖父は、この特別な役目を手に入れるために、白ワインを土器で運ぶというアイディアを実現したのだった。
まずは壺を作る。そして、その形通りに柔らかな丸太を刳って壺を衝撃から守る容器を作る。その木製の容器を神殿の好みに合うように砂で磨き上げて葡萄の葉の彫刻を施した。壺を柔らかな革で保護して容器に入れ、さらにガマの穂を詰めた箱に籠めることで衝撃を緩和、ロバが引く荷車で日をかけてゆっくりと運ぶという手間と時間のかかる方法だ。
これによってカルガの祖父は、大神殿のお神酒を運ぶ御用を預かることができ、隊商町で一定の尊敬を受けるようになった。
偉丈夫はカルガを見、荷車を見、ふたたび猫の首回りを掻きながら考えていた。
「カルガとやら、地元はどこだ。 神殿のあるところだな」
「シルにございます」
「おお、シルか、それはよいな」
「へえ……?」
「うむ、カルガ、このまま待っておれ。隊長と話してくる」
「お待ちいたしますです」
ウンもスンもなかった。命じられればその通りにするしかない。シルでは少しばかり尊重されるカルガではあるものの、外に出ればただの荷運び人に過ぎない。威厳を漂わせている偉丈夫相手に、否は言えない。
偉丈夫は、もう少しその場に立ち止まって猫の背をそっと撫でながら、大変に珍しいことだが、カルガにこう説明した。
「我が隊は、大神殿と東の神殿を結ぶ通商路の安全を確認、確保すると同時に神殿間の連絡を承る大神殿東方面輸送隊である。カルガよ、保護してくれたのは、我が隊に大神殿から下賜された、ペピという名を戴いている神使である。ご苦労であった」
「へ……へい、そりゃまた……」
驚いた表情に固定されたカルガを残して、輸送隊の偉丈夫は隊に向けて歩いて行った。
キジトラ猫・ペピは、ジッグラド(神殿)で生まれた。エンの住む大神殿だ。
大神殿には、エンと呼ばれる最高権力者、すなわち大神官がいて、神の代理人として多くの族長を支配下に置き、多数の族民を治め、現代風に言うなら“政教一致の施政”を敷いている。
大神官はもともと族長会議メンバーのひとりだったが、あるとき「神託を受けて」神の代理人、「エン」となった。
エンとなった族長の族民のうちの有力者は、エンの手足となり、また頭脳となり、支配地域の食料生産と、主に交渉で時として武力で外威を退ける役割を負っていた。現代風に言うなら、王“直属”の「貴族」階級と言えるだろう。
各族の代表者である族長は、変わりなくその支配地と氏族の長であり、族長会議も実施されている。現代風に言うなら、領地貴族と貴族院会議というところか。
エンは各族長の娘を妻に迎え、妻の産んだ子はエンと族長の血を引く者として、族長の支配する地域の神殿に母とともに“派遣され”、神官長となる。そういう支配システム、統治手法だ。
ペピは大神殿で神殿の食料や備品を守る、神聖なる神使(神の手足となって働く動物)の仔である。
神殿には、封印された甕で厳重に保存される備蓄穀物だけでなく、密封まではされない多くの食品、一日中お供えされている神への供物がある。
また、履物や衣服を始めとした多数の皮革製品、縫製される前のなめし皮がある。
そして、農耕で多くの民の生活が成り立つ温暖で比較的湿度が保たれている気候の場所だから、ネズミを始めとする害獣や、キガネムシのような害虫が非常に多い地域でもある。
猫は、人間が十分に対応することができない害獣・害虫から食料を始めとする奉納の品々や税として納められる穀物を守ってくれる、神殿になくてはならない「益獣」なのだった。
ペピは大神殿の供花台の裏で生まれた。
母猫は神使の中の神使、供物台を守る最上位の猫であり、ペピは母猫の三回目のお産で生まれた五匹の仔猫のうちの一匹だった。
半年間大切に育てられ、母猫が次のお産で四匹の仔を生むと、しばらく母の傍で弟妹の世話を手伝った。それは、自分がお産に臨むときに必要になる大切な経験だ。ペピは神殿から下賜されることになっていたので、このように母のお産と育児に関わるように配慮された。
弟妹猫たちが自力でエサを確保できるようになったころ、ペピは母と弟妹に別れを告げた。神殿の御用で大神殿と遠くカスピ海沿岸の最東の神殿を往復する、大神殿直属馬車隊の荷馬車を守る神使として、馬車隊に下賜されたのだった。
ペピが下賜された馬車隊には、八頭の馬と五人の男が所属していた。五人は戦闘訓練を受けた神殿兵の中から選ばれた、身体強靭で忠誠心篤い精鋭である。馬は現代のサラブレッドのような姿をしていない。小柄で、人が乗れば足が地面までの中半に垂れ下がるほどの体高しかない。鞍も鐙もない時代だから、騎乗するとすれば厚手の布を掛けて腹帯でずれを防ぐくらいしかできない。
五人の隊員は、主従の別なくローテーションで三人が御者を務め、二人が馬に付き添って歩く。
馬車隊は全部で四隊あり、大神殿の指示に従って各地の神殿へと祭具、暦、命令書、極秘の伝言などを運び、返り荷には大神殿への特別な供物や正式報告文書(楔形文字を書いて焼いた粘土板で、重いし割れたり欠けたりする可能性がある)を載せてくる。
荷には、隊員の食料、供物、革製品も載せられている。
この時代にまだ貨幣はなく物々交換で、食料も革製品も主として各神殿で補給するから、とくに保存食は輸送隊の生命線だ。猫が神使として同乗しているのも、輸送隊の運ぶ物品が非常に貴重だからでもあり、隊員の食料や革や布の道具各種を害獣・害虫から守るためでもある。
ペピは着任して半年、最初のお産が終わると、叔母に当たる猫の引退を受けて最高位神使の娘として大神殿輸送馬車を守る神使一族の長となった。荷車を住処とし、三年・五度のお産で、二十匹以上の仔を生み三輛の馬車に分乗した一族により荷駄は固く守られてきた。
六度目の妊娠で、ペピは疲れ始めていた。
荷駄に紛れ込もうとした鼠を追い、捕獲して馬車隊に帰ろうとした時、馬車は出発しようとしていた。口にくわえた鼠を捨て、必死で追ったが、追いつくことができなかった。
疲れ果てて道端に座り込んでいた時、幸運にも大神殿とシルの間を月に一度往復するカルガに助けられた。長く神殿の御用に仕えたペピには、エンの守りと天佑があったに違いない。
大神殿東方面馬車隊の長は、最高位神使である雌猫からペピを”授けられた“。
母猫からペピを受け取る時、大勢の神官と神使を育成・保護する役目を負う官人たちに見守られながら、その前に膝をつき右手の平を差し出して、ペピを大切に守ると約束した。神官から恭しく渡されたペピを抱き上げ、不安な声をあげる猫の首回りをやさしく掻きながら馬車隊に連れて行った。
ペピから見れば母の妹、叔母に当たる猫に引き合わせたのも隊長だった。
隊長も隊員も、雌猫は三年ほどでお役目を交代することを知っていた。移動する馬車での生活は、人間のみならず猫にとっても過酷な環境だ。まして、出産と授乳をする雌猫ともなれば。
ただ、メスを求めて生まれた場所から離れていく傾向が強い雄猫より、住まいを定めてそこで生涯を送る傾向が強い雌猫の方が馬車隊にとって望ましい。雄猫はしばしば休憩所や宿泊所で行方不明になるが、雌猫は安定している。また、狩りも上手い。
ただ、本来七年ほどは生きる猫も、馬車隊で生活すれば三年ほどで死を迎える。だから、その前に若い猫と入れ替えて引退させてやる。
馬車にはすでに、ペピにとって妹に当たる若い猫が来ていて、ペピの優れた経験を学びつつあった。
隊員からペピの窮状を聞いた隊長は、これまたうーんと考え込んだ。
ペピは隊長にとっても大切な猫だ。よく一族を牽引し、尊敬を受けている。ペピのちかくを通る猫は、必ず体をこすりつけて敬意を表す。だが、すでに疲れ果てているようすのペピを隊に戻すことは馬車の上で死なせることだ。
隊長は、カルガに声を掛けられた隊員を供に連れ、ペピの後を継ぐ三歳違いの妹を抱いた。そして隊員に黒猫を抱かせて、カルガの荷馬車を訪れた。
ふたりの偉丈夫が近づいてくるのを見て、カルガはドキドキしていた。ふたりとも猫を抱いている。さっき、助けた猫をペピと呼んだ男が黒猫を、もうひとりの、ものすごく立派な体躯で、着ているチュニックも赤く染色してあり、怖いほど威厳がある男は、キジトラ猫を抱えている。
カルガは、うっ、と息が詰まるような緊張状態になりながらも、腰を低くして迎える。
「カルガ、でよいか」
キジトラを抱える威厳ある男が話しかけた。
「へえ、さようにごぜえます」
「この度は、ペピを助けてくれたとのこと、礼を申す」
「と、とんでもござんせん、神使をお助けできたとは、神殿の御用を承る者の誉にござんす」
隊長の日に焼けた厳つい顔が僅かに緩んだ。
「そうか、そのように敬虔な男に、頼みたきことがある」
「へ、へえ、なんなりとも」
カルガはビビっていた。ビビり尽くしていたと言っていい。三輌の馬車、八頭の馬を支配して、神使に荷を守らせる隊長……これまで会ったどんな人間よりも地位が高い。
「ペピは、我が隊の神使の長を務めてきた。大神殿神使の長の娘だ」
「へえ」
話が大きすぎて、カルガには想像することすら難しい。あの、大神殿の、最奥の、エンがご祈祷なさる場所の、神使の長、そのお仔……。
「長く仕えてくれていて、一族の信頼も篤いが、この旅を終えたらお役目から引くこととなっていた。
だが、見るところこれ以上お役目は果たせないだろう」
「へえ、そのようにお見受けいたします」
「そうだ、無理を押して馬車隊を追ったのであろう、このまま馬車に連れ帰れば死は免れられぬ」
「仔がおなかに……」
「おそらくは。その体で馬車を追って走ったのだろう。疲れ果てるのも無理はない。 よく見つけてくれた。
そこでだな、カルガ、おまえにペピを預けたい」
「……へ?」
隊長は再び頬を緩めたように見えた。カルガのような身分の者にとって、神使を預かるなど考えてみたこともないだろう、それは隊長にもわかっていた。
「わたしは、ペピを大切に預かるとペピの母に約束した。その約束は神使の長への誓いであり、破ることはできない。いま、ペピの命に係わる時、この誓いを守る時である。
サイベル、リピを」
カルガが最初に声を掛けた偉丈夫は、サイベルと言うらしい。サイベルは抱えている黒猫・リピにペピを見せ、リピが行きたがるのを確認して、ペピの傍に降ろした。リピはさっそくペピを舐めはじめた。大切な母が弱っているのがわかるのだ。
「カルガ、この黒猫はリピという。ペピの娘だ」
「へえ、神使の長様のお孫様で」
「そうなるな。 我々、神使を預かる者は、神使を引退させるとき決してひとりにしないことにしている。必ず娘をつけ、互いに頼り合うことができるよう計らう。
今回もそうしたい。 カルガ、ペピとリピを預かってほしい、どうだ、頼めるか」
「は、はい。もちろん、もちろん」
カルガは強く頷いた。神使の一族をお預かりできるなど、考えたこともないほどの幸運、名誉である。
隊長は満足げに髭を撫でた。左手にはまだキジトラを抱えている。
「シルの神殿に立ち寄り、カルガという者に引退する神使を預けたと伝える。
ペピがキジトラの雌猫を産んだら、神殿に伝えるがいい。 報奨を与えられ、その猫はシルの神殿が引き取るであろう」
「へ、へえ、そのような?」
「そうだ、神使の長の孫だ。神殿は喜んで引き取る」
「さように」
「さあ、よいな、ペピの面倒はリピが見る。心配するな、かならず無事に生き延びる。 ただ、できるだけゆっくり移動してやってくれ、シルまであと二日か」
「お神酒を運んでおりやすので、その倍ほどは」
「そうか、ゆっくり行くなら、ペピも体が楽だろう。 頼んだぞ、カルガ」
カルガはしっかりと背を伸ばし、お役目を承った。
「隊長様、確かにペピ殿とリピ殿をお預かりいたしやした。必ず無事にシルまでお連れし、ペピ殿のお仔を大切にお育ていたしやす」
隊長は頷いて、荷車に接近した。腕に抱えたキジトラをペピの方に傾けた。
「お別れだ、ピノ。 姉上は引退なさる」
ペピは、ピノを認めて鳴き声を出そうとしたが、掠れて僅かに音が漏れただけだった。
ピノは、姉を見て少し不思議そうにしたが、傍らにリピがいるのを見て荷車に飛び降りようとはしなかった。
「のちほどサイベルにペピが使っていた水飲み用の器を持ってこさせよう。大神殿からペピが持たされてきたものだ。
カルガ、頼んだぞ、ペピを助けた縁を大切にしてやってくれ」
「はい、隊長様、サイベル様、お約束いたしやす」
カルガはまだ少し現実感がないような顔つきだったが、隊長から見れば、長年シルの神殿の御用を務めてきた男を信頼する以外ないのだった。最後にこう付け加えた。
「わたしの隊は、大神殿への帰り道にもシルの神殿に御用があるだろう。
その時、カルガを訪ねよう。ペピとリピに再びまみえることを楽しみにしている」
「承りましてごぜえます」
今日から族長の役目に付くピノを抱え、隊長は振り向かないで馬車隊に帰って行った。
カスピ海は遠く、役目は重い。 ただ、三年を共にしたペピが野で死ぬことなく、娘に守られて安らかにお産に臨むことができそうで、そればかりはうれしかった。
カルガは隊商の旅程なら二日のところを、五日かけてゆっくりとシルへ移動した。
ペピはカルガとリピの世話を受けてシルにたどり着き、無事に仔を生んだ。その後は仔の世話をリピに頼ることができたからか、次第に回復してリピの最初の出産に付き添って、孫猫の世話を手伝うことができた。
大神殿東輸送隊は、カスピ海方面からの帰路、シルの神殿に輸送依頼を果たしに訪れた。
神殿でペピの娘がカルガから届けられたと聞いた隊長は、厳つい顔に浮かぶ喜びを隠し切れなかった。
隊長はサイベルを連れてペピとリピを訪れ、無事な姿を確認した。ふたりの男は、顔が髭で覆われていてもはっきりとわかるほど微笑んでいた。
「ペピ、母上にそなたの無事をお伝えし、そなたがお役目を果たし、シルで娘とともにカルガという男に大切にされていると伝えよう。母上もお喜びであろう。
長い間、よくご奉仕した。一族の誇りであるぞ」
ペピはその後二度の出産に臨み、ほぼ同時に出産したリピとともに充実した引退後の生活を楽しんだが、過酷な旅がその天寿を削り五歳になるころ神に召された。
神使のお役目を担って必死で馬車を追ったペピは、娘リピとともに多くの仔と多くの孫、曾孫をシルに送り出し、その幾匹かはシルの神殿で神使のお役目に着いた。
輸送隊隊長はシルに来るたびにペピとリピに会いに来た。そして仔の中から何匹かは馬車隊にスカウトされて、遠くカスピ海まで旅をした。
ペピの仔と孫は、ペピが果たせなかった最後の旅を完遂した。
その幾匹かはカスピ海の近くで人との縁をつなぎ、新たな一族を形成した。
そして、その子孫の幾匹かは、更に東へと、人とともに旅していった。
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またお会いできますように!
2026年2月、倉名依都




