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その1

「佐藤 祥也様。あなたは亡くなられました。」

女神様の声がします

「でも、私が異世界に転生させてあげましょう。」


き……


「異世界転生物、キターーー!!! ついにこの世の春が来たぜ! 俺にな!」


やばい、ちょっとテンション上がりすぎだ、俺。

相手は女神様、つまり神様です。払うべき敬意というものがあるはずです。

冷静さを取り戻そう。

冷静、だぞ? 俺。


「あ、あのぉ……」

申し訳無さそうな女神様の顔が見えた。


「でも、転生特典、何にすっかなー」

「いや、そんな物用意してなくて……」


あれ?


「あ、わかった! 転生特典もう決まってて選べない系っすね?」 

「何系っすかぁー? 雑魚く見えるやつで無双物? それとも無双能力もらえる系?」

「何なんですか、「系」って……」


あ、あれ?


「あ! わかった! 俺になにか秘められた才能が……」


「だ・か・ら!」


女神様は言った。

「あなたは! 普通の人間として生まれ直して、で。」


「この世界に根付く「地」使いの魔王」

「及び「火」、「水」、「風」の三天王を倒してほしいんです。」


「ち、チート能力は?」

「ありません。」

「秘められた才能も……?」

「ないです。」


む、無理ゲーすぎ。


女神様は言った。

「では、祥也様。ご武運を。あと、私は基本干渉せず、安全圏から応援してますので」

「ちょ、待っt……!!」


プチュン。

なにかの音がして目覚めた。

ここが異世界、だろうか。


……


知ってる天井です。


「これ、自宅じゃねーか。」


……寝よ。


女神様の声がした。

「祥也様。寝られては困ります。」


……ううん。

いいや。


「ちょ、しょ、祥也様。」

「こ、困るって、ま、マジ?!」


俺は吐き捨てるように

「なんすか! もう。」

「どうせ、これも夢でしょう?!」


女神様は慌てながら言った。

「空想とか、妄想とかじゃないし! 頭がおかしくなったわけでもありません! たぶん。」


「……本当に魔王、いるんでしょうね?」

女神様は困り顔で言った。

「ええ。本当にいるから困ってるんです。今、貴方様にお願いしているんです。」


話半分で外に出た。

どっから、どう見たって現実でしかないんだけどな……


町並みも風景も、見慣れたものだ。

それ以上でも、それ以下でもない。


さっきまでテンションが上っていた自分が馬鹿みたいだ。


はぁ。

あ。


「わかった! 実は2000年ぐらい経ってて、でも文明滅びて」

「で、同じように見えるだけのパターンだな?!」


その可能性に気づき、俺はよろこび勇んで、ホームセンターで武器、「サバイバルナイフ」を購入(定価1880円。)

で、魔物を探し回った。


「魔王がいるなら、魔物。いるでしょ?!」

「どーせほら、スライムとかさ?」


探し回りました。

回り続けましたとも。


で、


「スライム1匹いねーじゃねーかよ!」

「どーやってレベル上げんだよ! ゲームシステム壊れてんのかよ!」


カァーカァー

カラスが鳴いていた。


「あ、魔物に限らなくても、あるいは動物でも」

……野良猫、野良犬。

「いや、いるかよ。そんな簡単に。」

「あ、じゃあ虫。蟻なら?」


ぷちぷち。

ぷちぷち。

ナイフの柄を使い、蟻を潰した。


通りがかった親子。

「ママー? どうしてあの人は平日の昼間から、公園でアリさんを潰してるのぉ?」

「しぃ。見ちゃいけません! ほら、行くよ!」


……

うん、あれは向こうが正しい。

通報されないだけ、ましだね。


で、レベルすら上がらんのですが、


カァーカァー

カラスが鳴いていた。


「あ、カラス。鳥ならそこら辺に!」

えい、とカラスに駆け寄りナイフを振った。


バサバサッ!

カァーカァー

カラスに、逃げられました。


「殺せるかい。ナイフで、鳥を。」

石でも投げて、当てろってか

飛ぶ鳥を落とす勢いで、出鼻くじかれまくってるんですが……


「あ、そうだ。」

女神様は思い出したかのように

「この世界、魔法があるので。」

「あ、あと死んでももう生き返れませんので、お気をつけて。」


さ、

「最初からそれ言えよ!!!!!!!!」

ナイフを地面に叩きつけた。

返してください。俺の大事な1880円


……魔法、覚えるか。




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