第9話「保健室で詩音先輩が目覚めたらしい」
今回は、詩音先輩が保健室で目覚めます。
詩的体力不足(?)による倒れ込みからの、なぜか回復ポエム大爆発!
病室でもやっぱり彼女は絶好調。
午後の授業中。こっそりと教室のドアを開ける音がした。
振り返ると、そこに立っていたのは保健委員の白鳥こより。
「詩音先輩……また保健室で詩を詠んでるらしいの」
「また?」
佐倉まどかと風見さつきが声を揃える。
「今日3時間目、体育の時間に『詩の呼吸法を試す』とか言って、思いっきり貧血で倒れたって」
こよりが心配そうに言う。
「でも、なんで倒れてんのに保健室で活動開始してんのよ……!」
3人は授業が終わるとすぐに保健室へ向かう。
するとそこでは――
「このベッドは、思索の舟……我が言葉を運ぶ波の上」
夜凪詩音、包帯を巻いたままベッドに寝そべり、**“詩的療養”**なる新ジャンルを開拓していた。
「回復中に詩を書いてるんですか…?」
さつきが半分あきれて聞く。
「いや、むしろ負傷してこそ、詩は真に輝くのだ」
詩音はベッドの天井を見つめながら静かに語る。
「いやいや、現実見て!? 今日の体育、ただのラジオ体操だったからね!? 一曲分で倒れたってもう“体力詩人”じゃん!」
まどかがすかさずツッコむ。
詩音は体温計を片手に、さらに一句を詠んだ。
「熱という 情熱宿す 我が詩脈」
「もう詩脈とかいうな!」
「それ病気っぽいから!」
こよりがタオルを替えつつ、「でもちょっと、元気そうで安心したよ」と笑った。
詩音はふっと笑みを浮かべて言った。
「ありがとう、こより。君の優しさは、氷枕のように清らかだ」
「詩で返してくるタイプの患者さんめんどくさいよぉ~!」
こよりが笑いながらタオルをかぶった。
その後、先生が来て怒られるまで、
3人と1人の“静かすぎる”詩的な保健室タイムが続いたのだった。
今日の一句:
「病んでなお 詩に命を 注ぎ込む」
たとえ倒れても、詩人魂は揺るがない。
次回も、どうぞお楽しみに!