第8話「図書室に、謎の『詩音ゾーン』出現中」
今回は、図書室で詩音先輩が“領地拡大”!?
謎の空間「詩音ゾーン」が巻き起こす、静かなパニックをお楽しみください。
昼休みの図書室。静寂のなか、ページをめくる音だけが響く――
……はずだった。
「……あれ、なんか変なスペースできてない?」
佐倉まどかが、図書室の隅に目を留める。
「うん、あそこだけやたら荘厳な雰囲気…」
風見さつきが小声で言った。
「なにこれ? クッションとかラグとか持ち込まれてるよ〜」
白鳥こよりが首をかしげる。
3人が近づくと、そこには**「詩音ゾーン」**と手書きの立て札。
その真ん中には、言うまでもなく――夜凪詩音。
彼女は上座に座り、古びた詩集を抱えていた。
「来たね、君たち。ここは、魂が詩に還るための静寂の祭壇――詩音ゾーンだ」
「またやってる!!」
まどかが思わず声をあげた。
「ここ、図書室ですよ? 公共の場ですよ?」
さつきが律儀に注意する。
「だからこそ、詩の波動を高める必要がある」
詩音はまるで納得していない。
そのとき、司書の先生が恐る恐るやってきた。
「あの、詩音さん……ここ、ちょっと…あの……」
「ご安心を。ラグは持参、音も立てておりません」
にっこり。
「いや、でも空気が重いんですよね!? なんか“場”の支配力が強いというか…!」
まどかが抗議。
「それは詩の結界のせいだ。解除は……できない」
「じゃあ何のための説明!?」
結局、「詩音ゾーン」は午後まで残り、
静かに本を読もうとしていた数人の生徒が、プレッシャーで退出する事態に。
「今日も詩音先輩は平常運転だったね…」
こよりが呟く。
「詩って、そんなに圧かけるもんだっけ…」
さつきはため息。
「いや、もう“詩的威圧”って武器でしょこれ」
まどかがバッサリ斬り捨てた。
今日の一句:
「ラグ敷いて 本の海にも 聖域を」
詩音先輩、どこにいてもマイワールド全開です。
次回もお楽しみに!




