第49話「詩音先輩、美術室で“抽象画ポエムの解釈会”を主催」
目には見えない“気持ち”を、絵と詩で語る時間――
詩音先輩がまたしても独自の解釈会を開きます。芸術とは自由、でも自由すぎ。
昼休み。
「今日は静かに過ごしたいな〜」という願いをこよりがつぶやいた瞬間、放送が流れた。
「美術室にて“抽象画ポエムの解釈会”を開催中。
感情で見る美術、言葉で触れるアート――」
「……あ、詩音先輩だ」
「やっぱり今日も何かやらかしてた!!」
「てか“言葉で触れるアート”ってどういうこと!? 絵を朗読すんの!?」
とりあえず美術室に突撃すると、そこには――
・壁一面に貼られた謎の抽象画(謎の色と線)
・その下に貼られた詩的コメント(手書き)
・中央に立つ詩音先輩(画家のようなベレー帽装備)
「ようこそ、“感じる解釈会”へ」
「今日は、目で見えない“気持ちのかたち”を、絵と詩で共有します」
「まずベレー帽の主張が強いんですけど!?」
「というか、“気持ちのかたち”って言い方、もう何言ってるかわからん!!」
詩音先輩は、赤と黒のうねった線だけの絵を指差した。
「この絵のタイトルは“怒りとアイスクリーム”です」
「……どういうこと!?」
「誰がそんなタイトルつけたの!? 芸術って自由すぎない!?」
さらに詩音先輩は、その絵の下に貼られたポエムを朗読。
「溶けてゆくのは
甘さか 感情か
手のひらが ベタつく午後」
「ちょっとわかる!!」
「怒ってるときにアイス食べると、逆にイラつく感じする!!」
続いて、青一色の丸だけで構成された絵を紹介。
「タイトルは“孤独な水たまり”」
「空を映したくて 丸くなった
けど誰も 足を止めなかった」
「うっ……さっきまでギャグ回だったのに、急に心にくるやつきた!!」
さらに、参加者たちにも自由に詩を書いてもらう時間が。
ゆいの作品:
「帰り道 濡れてる靴に 気づかないくらい
あたしは今日を 急いでいた」
「えっ、ゆい、詩の才能あるんじゃない!?」
「やめて、なんか泣きそうになるじゃん!!」
最後に、詩音先輩が言った。
「言葉と絵は、どちらも見えない気持ちを
見えるようにする、心のレントゲンです」
「……いや、上手いこと言った感じでまとめたな!!」
「でもちょっと納得しちゃった自分がくやしい!!」
こうして、今日も詩音先輩は文化の波を起こし、
美術室に“感情の絵の具”をまき散らして去っていった――。
今日の一句(美術ver):
「赤い線 怒りじゃなくて アイスだった」
次回、ついに第1期最終話!
詩音先輩、全校朝礼で卒業生に“贈る詩”をぶちかます!?
ラストにして最大の“やらかし”、まさかの感動回!




