第45話「詩音先輩、図書室で“静かなる俳句バトル”を開始」
今度の舞台は図書室。
詩音先輩、まさかの「俳句バトル」で静かに、しかし激しく勝負します。
ある昼休み、図書室に張り紙が貼られた。
《本日開催:静かなる俳句バトル》
――詩は叫ばずとも、火花を散らす
「……静かなのに火花ってどういうこと!?」
「ていうか“俳句バトル”って何!? 音読? 投げ合い?」
「詩音先輩のイベント名、毎回語感のインパクトすごすぎる……」
とりあえず行ってみると、図書室の一角がまさかのリング風に仕切られていた。
“観客”には、国語教師、図書委員、そして言葉に飢えた詩人系(自称)生徒たち。
対戦ルールはこうだ:
その場でテーマが提示される
10秒以内に五七五の俳句を考える
小声で詠みあげ、静かに拍手で勝敗を決める
詩音先輩は白いしおりを構え、対するは“図書委員の謎の俳句女子”――通称「俳句ちゃん」。
テーマ:「昼休み」
詩音先輩:
「パンの列
静かに進む
僕の恋」
俳句ちゃん:
「昼の鐘
机に残る
汁のあと」
「おおおお……どっちもすごい情景力!」
「“汁のあと”って、めちゃわかる……! 胃袋が感情を持ってる……!」
次のテーマ:「図書室」
詩音先輩:
「閉ざされた
棚にひそむは
恋の声」
俳句ちゃん:
「指さきで
ページめくれば
息が鳴る」
「はああぁあぁ!? どっちも文学的じゃない!??」
「こより、語彙力落ちてるよ!」
「だって脳内ポエム過積載なんだよぉぉ!」
最終テーマ:「詩音」
――え、まさかの本人テーマ!?
詩音先輩(即答):
「やらかして
また詩を詠んで
生きている」
「うわあああああああ詩音先輩セルフでまとめてきたああ!!」
「タイトル回収してきたああ!!!」
「完全にこの回のラスボスや……!」
静かなる拍手は、詩音先輩に集まった。
けれど、俳句ちゃんもにっこり笑って言った。
「負けてもいい。
だって俳句は、読む人の心が勝つんだから」
静かな戦いのあと、図書室には
しん…とした空気と、ちょっとした余韻が残っていた。
今日の一句(図書ver):
「小声でも 心は叫ぶ 五七五」
次回、詩音先輩――体育祭の応援合戦で“詩的応援コール”を作詞!?
リズムに乗せて爆発する、言葉と運動会魂!




