第44話「詩音先輩、理科室で“元素記号ポエム”を発表」
まさかの理科室ジャック!?
詩音先輩、今度は元素記号を題材にしたポエムで化学の教科書に革命を起こす!?
放課後、理科室に奇妙な黒板が出現していた。
その黒板には、色とりどりのチョークでこう書かれている。
《本日開催:元素記号ポエム朗読会》
――詩音、再び詠みます。
「……え、元素で詩!?」
「酸素とか鉄とか、そういうアレよね?」
「ついに詩音先輩、理科の領域にも進出してきた!?」
理科準備室の椅子を丸く並べた“即席サロン”。
そこにいたのは、理系の生徒と詩音先輩、それに好奇心のかたまりである我ら3人娘。
「では、最初の詩を――」
詩音先輩が静かに朗読を始めた。
「炭素(C)はただの黒き塊
でもその姿を変えるとき
宝石になる
人もまた然り――」
「おおおっ…なんか、いきなり道徳入ってきた!」
「炭素で人間賛歌ってくるスタイル!? さすが詩音先輩!!」
続いての詩。
「ヘリウム(He)は軽やかに
声を変えて 笑い誘う
でも 本当の声を 誰も知らない」
「風船の中に切なさが詰まってる!?」
「やだヘリウム、儚い……なんか泣きそう……」
そしてトドメはこれ。
「鉄(Fe)は強く
さびてなお
誰かを支えるもの」
「強さの概念が詩的すぎるうう!!」
「それにしても“Fe”って言い方かっこよすぎでは?」
「普段の理科プリントで見る“鉄”が、今めっちゃ重みある!!」
理系男子たちはうなずきながら手を挙げ、
「次はウラン(U)とかやってほしいです!」
「いや、詩音先輩がウラン詩読んだら爆発するから!!」
その頃、理科教師は隅で“詩的エネルギーにより授業侵食されてる”と記録をとっていた。
最後に詩音先輩はこう締めくくった。
「元素は言葉を持ちません。
けれど、私たちが彼らに“意味”を与えられます。
それは、科学と詩の――共鳴、なのです」
……こうして、理科室という最も“理屈”に満ちた空間が、
一時“詩情”に染まった。
科学の目と詩の心が交差した、とても不思議な放課後だった。
今日の一句(元素ver):
「構成は 原子と詩心で できている」
次回、詩音先輩――図書室で“静かなる俳句バトル”を開始!?
詠みあう声はささやき、でも内容はガチ。勝敗の行方はいかに!?




