第42話「詩音先輩、保健室で“心の処方箋ポエム”を配り始める」
今度は保健室ジャック!? 詩音先輩の新たな活動は“処方詩”!
心の薬は、詩の中にあった…かもしれない!
午後の授業中、突然教室のドアが開いた。
「失礼します。こよりさん、すずさん、ゆいさん――至急、保健室へ」
「え、私たち何もケガしてませんけど……」
「お昼の五七五放送で精神的ダメージ判定されたとかじゃないよね?」
「むしろ詩音先輩の副作用だよね、それ」
とりあえず保健室に向かう3人。
ドアを開けたその先には――
白衣姿の詩音先輩、眼鏡をかけて登場。
「お待ちしておりました。
本日より、“心の処方箋ポエム”の無償配布を開始します」
「は??」
どうやら詩音先輩は、保健室のベッドの一角を“詩の診療所”に改造し、
訪れる生徒たちに「あなたに必要な詩」を短冊にして処方しているらしい。
「気分が沈んだらこの詩を、
イライラしたらこの詩を――」
「それただの詩の押し売りでは!?」
こよりたちも試しに“診察”されることに。
◆すずの診断結果:「なんかずっと眠い」
→詩音処方:
「まぶたより 夢のほうが 軽くなる」
「うわ…すごい…眠くなった……」
「それ効いてる!?逆に寝ちゃわない!?」
◆ゆいの診断結果:「テストの点が微妙」
→詩音処方:
「満点を 取れなくたって 笑ってる」
「……これ、答案に貼りたい……」
「それで許されるかは微妙だぞ」
◆こよりの診断結果:「放送で詠まれて動揺してる」
→詩音処方:
「照れるなら それだけ誰かを 照らしてる」
「うわああああやめてええええ!!!」
「詩音先輩!完全にこよりの感情を解析してる!!」
ちなみに、他の生徒たちからも好評らしく――
・失恋した生徒には「涙の味を知る者は、優しくなれる」
・部活で失敗した子には「汗の数だけ、拍手が待ってる」
など、“詩の処方箋”が続々と渡されている様子。
保健の先生も最初は苦笑いだったが、
「最近、生徒が素直に話してくれる」とまんざらでもなさそうだった。
「言葉は薬です。
でも時には、毒にもなります。
だから私は、効きすぎない詩を処方したいのです」
そう言って、詩音先輩は今日もまた
優しい短冊を一枚、そっと手渡した。
今日の一句(保健ver):
「効きすぎず 効かないわけじゃ ない詩です」
次回、詩音先輩――購買で“食レポポエム”を始めて売り切れ続出!?
パンの棚が空になるまであと15分。急げ、詩人たち!




