第38話「詩音先輩、屋上で“雲に名前をつける詩的天気予報”を始める」
今回は屋上で“詩的天気予報”が始動!
雲ひとつで人生を語る女、それが詩音先輩です。
昼休み、こよりたちは購買でパンを買って屋上へ。
しかし扉を開けた瞬間、見慣れた詩人が風になびいていた。
「……詩音先輩、屋上で何してるんですか」
「今日は“空の詩観測会”。別名“雲に名前をつける会”です」
「またワケわかんないこと始めたーーー!!」
詩音先輩は手に手作りの天気図、じゃなく“空想天気詩ノート”を持っていた。
「見てください、この雲は“ふわふわ彼氏(仮)”。
寄ってきそうで来ない、でも見てると安心します」
「ちょっと意味わかる自分が怖い……」
雲の形、流れ方、光の反射――
詩音先輩は空を見て、そのひとつひとつに“名前”と“詩”をつけていく。
「うすあおの毛布」
→ 今日の空は少し眠たい。あなたも昼寝推奨日。
「わすれた宿題型」
→ あのモヤモヤ、どこかで見覚え。たぶん、提出物。
「となりの席の笑顔雲」
→ 気づいたらそこにいる、そんな安心感のある雲です。
「これ天気予報っていうか、心のバロメーターじゃん……」
「ちなみに、現在の空模様は“なぜか泣きそう雲”です」
「いや、なんか私も泣きそうになってきたからやめて!」
その場にいた生徒たちも、スマホで空を撮りながら参加しはじめた。
「これは“給食カレーのにおいを思い出す雲”!」
「俺のは“推しが尊すぎて無理な気持ち雲”!」
「詩人、増えてない!?」
気がつけば屋上は、雲を見上げる“空の詩サロン”になっていた。
「みんな、空を見てるだけでこんなに笑ってる……」
こよりがふとつぶやくと、詩音先輩はにこりと笑う。
「空はいつも、私たちの心に“詩の余白”をくれますから」
その日、学校の天気は晴れ。
でも、生徒たちの心には、ふわふわと雲の詩が浮かんでいた――
今日の一句(空ver):
「雲の名を つけるそのたび 空近く」
次回、詩音先輩――理科室で“詩×化学反応”の即興実験を開始!?
言葉と試薬、どっちが爆発するかわからない回です!




