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文学少女、またなんかやらかしてる  作者: たむ


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29/50

第29話「詩音先輩、保健室で“癒しの詩”セラピーを始める」

今回は保健室で“詩の処方”。

静かな詩音先輩のやらかしが、今回はじんわり効く系でした。

体育のあと、軽く転んで膝をすりむいたこよりは、保健室へ。


「すみませ〜ん、ちょっと消毒だけお願いしま〜す……」


がらりと扉を開けると、そこには白衣の保健室の先生と――


「……深呼吸して、心の扉を開けてください。

 この言葉が、あなたの痛みに寄り添うように――」


「詩音先輩またいるーーーっ!!?」


しかもベッドの隣には、やや顔色の悪い男子生徒。


「頭が痛いって来たら、詩音先輩が詩で治してくれるって言い出して……」

「詩は薬。副作用は多いけど、時に効能もあるのよ」

「こえええ!! 詩を副作用って自覚してるぅぅ!!」


保健室の先生は、苦笑しながら説明した。


「実はね、最近“癒しの言葉を聞くだけで落ち着く”って子が増えてて……

 それで、夜凪さんに協力してもらってるのよ」


「つまり、詩によるカウンセリング!?」


詩音先輩はスケッチブックを開き、静かに詩を紡ぐ。


「風の音を聴いて。

それは世界の呼吸。

焦らなくていい。眠るように、生きていけばいい」


……なんか、効いてるっぽい。


男子生徒「あ、頭痛、ちょっとマシになったかも……」

こより「え、ほんとに!?」


詩音先輩はにこりと微笑む。


「人は、“わかってもらえた”と思うだけで、少し元気になれるのよ」

「なにその正論、詩人のくせにやけに実用的!?」


しかも――


その日から保健室の前に、「癒しの詩・受付中」の小さな立て札が立ち、

訪れた生徒たちが順番に「詩セラピー」を受けていくように。


「うわ、なんか本格的に始まっちゃったよ……」


だが、帰り道。


「……今日の詩、なんかすごく沁みた」

「“焦らなくていい”って、誰かに言われたかったのかも」


そんな声が、あちこちから聞こえてきた。


「……やっぱ詩音先輩って、ただのヤバい人じゃないのかも」


いや、やっぱりヤバいけど。

でも、ちょっとだけ優しいヤバさなのかもしれない。

今日の一句(保健室ver):

「副作用 あるけど効くよ 詩セラピー」


次回、詩音先輩――美術部に乗り込み、“言葉の絵”を描き始める!?

筆じゃなくて詩で描く、キャンバスに広がる“謎の世界”とは!

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