第27話「詩音先輩、校長インタビューで詩をぶつける」
今回は校長先生との対話劇(?)。
まさかの詩VS哲学おじさん、まさかの意気投合でした。
「今回の校内新聞では、“先生たちに聞いてみた!”という特集をやります!」
放課後の新聞部にて、部長・桐島が高らかに宣言した。
「先生たちにインタビューして、学校の裏話や想いを聞くのが狙いです」
「へぇ~、ちょっと面白そうじゃん」
「保健室の先生とか、家庭科の先生とか聞きたいな~」
そのとき――背後から、ぬっと現れる黒い影。
「ならば、わたくしが校長に詩をぶつけましょう」
「出たな、詩音先輩ーーーッ!!!」
「校長先生には、一度ちゃんと“言葉”で挑んでみたかったのよ」
「勝負じゃないからね!? 普通に質問するだけだからね!?」
そして翌日。
新聞部の面々と共に、詩音先輩は校長室を訪れる。
対応したのは、品のある白髪の紳士――通称:ミスター校長。
「今日はよろしくお願いします、夜凪さんですね」
「……詩音です。名は、音を詠む者――」
「ふむ、なかなか良い響きですね」
すると詩音先輩、いきなりスケッチブックを開き、朗読を始めた。
「あなたの背広には、いくつの季節が縫い込まれているのか。
生徒たちを見送る背中に、どれだけの光と影があったのか。
校長とは、空白を管理する仕事か、それとも――」
「いやインタビュー始まる前からポエム投げつけてるぅうう!!」
新聞部のこよりたちは焦るが、校長は微笑を崩さず、むしろ楽しげだった。
「……なるほど。これは“質問”ではなく、“問い”なのですね」
「さすがミスター校長、返しもポエム寄りだー!!」
詩音先輩もにっこりと応える。
「言葉とは、剣ではなく風。
でも時に、その風は扉を開けるものです」
「なんか会話がすごい高尚になってるけど、内容ゼロじゃない!?!?」
結局、インタビュー記事はこう締めくくられた。
校長の言葉:
「教育とは、答えを与えることではない。“考える時間”を与えることだと、私は思います」
夜凪詩音の詩(抜粋):
「問いの形に、正解は要らない。
ただ、心が動けば、それで充分」
新聞部の部長・桐島がぽつり。
「なんか……記事が“名言集”みたいになっちゃったけど……これはこれで、アリ?」
こよりたちはそっとつぶやいた。
「……つまり、今日も詩音先輩がやらかしてるってことでOK?」
今日の一句(校長ver):
「語り合う 二人が違い それが良い」
次回、詩音先輩――校内放送ジャックで朝の詩を朗読!?
一日の始まりが詩で始まる、それは祝福か混乱か――!




