第25話「詩音先輩、応援団長に詩で挑む」
体育祭の応援団長=声出し役じゃなかった!
詩で鼓舞するという新機軸を打ち出した詩音先輩。なぜか周囲の心を掴んでしまうのが本当に困る……!
「今年の体育祭、各クラスで応援団長を選出してくださいねー」
ホームルームの声に、教室が一瞬ざわついた。
「応援団か~、大声出すの得意じゃないしな~」
「そういうのって、やる気ある人が立候補すべきだよね~」
その瞬間、
**“しゅっ”**と手がまっすぐ挙がった。
「……わたくし、夜凪詩音。応援団長、やらせていただきます」
「え、待って。詩音先輩、絶対体育祭向きじゃないタイプでしょ!?!?」
「応援とは、“魂を震わせる詩”であるべきだわ」
「そんな定義、初めて聞いたよ!!」
そして迎えた体育祭当日。
赤組・白組が並び、熱気に満ちたグラウンドにて、
応援合戦が始まる――!
白組の元気なエールのあと、赤組応援団長・夜凪詩音がマイクを手にする。
「耳をすませ、君の鼓動は太鼓のように響いている。
走るとは、魂が肉体に伝える詩の断章……
いま、風を追い越し、心が勝利を歌う時――!」
「詩始まった!!」
「体育祭なのに観念的すぎる!!」
だが――何ということか。
詩音先輩の詩の応援に、意外にも感動する生徒が続出した。
「なんか……やる気出た……」
「自分でもよくわかんないけど、走らなきゃって気がした……!」
そして100m走、リレー、大玉ころがし……
応援席で詩音先輩がマイクを握るたび、選手のやる気がみなぎっていく。
こよりたちは口をそろえて言った。
「……なんかもう、詩音先輩のポエム、もはやドーピングだよね?」
詩音先輩、走り終えた選手に一言。
「あなたの足音は、今日という日を刻んだ詩だったわ」
「やっぱりちょっとウザいけど、なんか沁みるのやめて!?」
今日の一句(体育祭ver):
「応援が 詩になったら なぜか泣け」
次回、詩音先輩――文化祭で一人詩劇を企画!?
観客参加型? むしろ巻き込み型!




