第18話「詩音先輩、静かに騒ぐ」
今回は図書室での詩音先輩!
本来なら静かで平和な空間が、文学の暴風で予測不能に。
でもなぜか結果オーライなのが、詩音先輩クオリティ。
「はぁ……静かで落ち着く……」
こよりが図書室の奥で、そっと本を開いたそのとき――
「――ああ、ページをめくる音すら詩……」
「出た!!」
静寂を破ったのは、もちろん夜凪詩音先輩だった。
「なんでここにいるんですか!?」
こよりが目をひらく。
「今日から私、**図書委員になったの」
「えっ!? 勝手に!?」
まどかとさつきが駆けつけると、すでに詩音先輩は
“勝手に選んだ”図書委員腕章(手作り)を巻いて、カウンターに仁王立ちしていた。
「文学を愛する者に、籍など不要。私がいるべき場所に、私はいる」
「えっと、それ普通に“不法侵入”って言うんじゃ……」
とはいえ、図書委員の先生は「真面目に整理してるからいいか」となぜか黙認。
そして、その数分後。
「見て。私の選書コーナー、作ってみたの」
見ると、そこには――
『世界名作文学 〜泣けるお弁当シーン全集〜』
『青春と消しゴム』
『漢詩で学ぶ昼休みのマナー』
「どれも存在しない本だよね!?」
「なんで“お弁当シーン全集”とか特化してるの!?」
「ていうか、これ全部詩音先輩が表紙描いてる!!」
さらに、カウンターには**“貸し出しに一言添えるポエムカード”**が設置されていた。
例:
借りる本:数学問題集
→ 添えられた詩:「数式は 私を裏切らない唯一の友」
借りる本:図鑑
→ 添えられた詩:「図解され なおも謎な 人の心」
「いや、重たいって!!」
その日、図書室の空気は、
文学的な意味で“やや湿度が高め”になったらしい。
だが、帰り際。
普段無口な図書委員男子が、ふとつぶやいた。
「……なんか、図書室っぽくていいかも」
「えっ……なんか納得しちゃったよ!?」
今日の一句(図書室ver):
「本棚に 並ぶ静けさ 心ざわめく」
次回、詩音先輩――家庭科の授業に手を出す!
エプロン姿の文学少女が、今度は味覚に詩を求める!




