第15話「詩音先輩、川柳コンテストに殴り込む」
今回は「川柳コンテスト」に挑む詩音先輩!
5・7・5の世界に詩音節が炸裂!……すると思いきや、予想外の“共感”方向に全力投球。
結果として“刺さる”川柳の数々が誕生しました。
ある日、廊下に貼られた一枚のポスターが、まどかたちの目に留まった。
「“校内川柳コンテスト開催中”……だって」
さつきが読み上げる。
「テーマは“学校あるある”! 優秀作品は職員室前に掲示されます!」
こよりが補足。
「へぇ~、これなら詩音先輩も、ちょっとマイルドに……って、あれ?」
視線の先――
すでに応募箱の前に仁王立ちしていたのは、当然のように夜凪詩音。
「私は……この瞬間を待っていた……!」
「詩音先輩!? 川柳ごときで、なんでそんな戦闘態勢!?」
「“五七五、校舎を駆ける我が詩よ”」
「もう韻踏まなくていいから! 川柳だから!」
まどかの突っ込みが切れ味抜群。
詩音は早速、川柳を数枚提出したらしいが――
その数日後、掲示された優秀作品を見た一同は、ざわついた。
【最優秀賞】
《忘れ物 取りに戻れば 消える友》
【佳作】
《チャイム鳴る 先生だけが 知らぬ顔》
【夜凪詩音・特別賞】
《教室に 咲いた絶望 椅子がない》
「……なんかだけ、重くない!?」
さつきが言った。
「しかも“特別賞”ってなに!? 詩音先輩だけ別枠なの!?」
「詩音先輩の川柳、ちょっと文学的すぎて、笑えないやつ混じってたもん……」
まどかが震える。
ちなみに、詩音の応募川柳の中には――
《ロッカーに 教科書無いの 昨日まで》
《体育着 家にあっても 意味はない》
《弁当が 親のセンスで 文化祭》
など、“心に刺さる系”が多かったため、
先生たちが「これはこれで面白い」と特別賞を設けたという噂。
その日の昼休み。
「……ようやく、学校という舞台に我が句が咲いた」
詩音先輩は、職員室前で川柳を見つめながら満足げだった。
「……うん、まあ……ある意味、伝説にはなったよね」
まどかはそっと目をそらした。
今日の一句:
「共感と 混ぜた詩心 重たすぎ」
次回、詩音先輩がついに“短歌”に手を出す!?
五七五七七の新世界、開幕なるか!?




