表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/50

第1話「ロッカーの中の詩人を救え!」

今回の主人公は文学少女・夜凪詩音。彼女の暴走を止めるべく、頼れる3人組が大活躍(?)します。

さあ、この「詩的事件簿」を一緒に楽しんでね!

県立さくら坂高校の2年生、夜凪詩音は今日もどこかへ消えた。

いや、正確には「ロッカーの中にこもった」というのが正しい。


「詩の揺籃ようらんを育む聖域…こここそ、我が魂の籠る場所よ」


そう言い残して文芸部部長は、学園の片隅にある自分のロッカーに閉じこもったまま、微動だにしない。

窓の外では新緑が風に揺れ、いつもの平和な昼休みだというのに。


「……詩音先輩がロッカーから出てこないって、またかよ」

背後で呆れ声が響く。高校1年生の佐倉まどかがスマホを片手につぶやいた。


「もはや“事件”の域よね。情報処理部として、これは対応せざるをえない」

まどかの隣で風見さつきが拳を握りしめる。


「詩音先輩の詩はマジでカオス!ロッカーにこもってるだけならまだしも、前回は廊下で火を焚いてたし!」


「そして今日も、その事件は始まったばかり……」


まどか、さつき、そして天然癒し担当の白鳥こよりの3人は、詩音の“聖域”に挑むべく集合していた。


「詩音先輩、外に出てください! これ以上校内に煙を漂わせるのは風紀的にもアウトです!」

まどかが冷静に言うが、ロッカーの中からは声が返ってこない。


「きっと今、魂を詠っているんだよ。詩人の聖なる時間なんだよ」

こよりはぽわんとした声でつぶやく。


「いやいやいや、そんなことしてたらあんた詩音先輩が窒息するわ!」

さつきが慌ててロッカーのドアをノックした。


だが、ロッカーは鉄の壁のように閉ざされたままだった。


「何か使えそうな道具は……」

まどかはスマホを操作しながら言う。


「よし、外から開ける方法を調べるよ!」


30分後、情報処理部のプチ作戦は開始された。


「ロッカーの上部にある小さな鍵穴を、ピッキングじゃなくて電子ロック解除でやるのが正攻法」

まどかは冷静に指示を飛ばす。


「よーし、まかせて!」

さつきは文芸部のロッカーに向かい、工具を取り出す。


一方、こよりはあたりをふわふわ歩き回りながら詩音のために小さな花を集めていた。


「お花……届くといいなぁ」


ピンポン、とロッカーが開いた瞬間、詩音が目を細めてゆっくりと現れた。


「詩の揺籃より解き放たれし我が魂、今ここに再び躍動す」


「ああ……もうやめてくれ……」

さつきが倒れこむように言う。


「詩音先輩……詩的すぎて意味がわかんないです」

まどかもあきらめ顔。


こよりはにこにこと詩音に花束を渡しながら言った。

「またなんかやらかしたけど、先輩らしくていいと思うよ」


それから昼休みの校内に、4人の笑い声が響くのだった。

今日の一句:

「ロッカーに 籠る詩人に 昼休み」

…なんていうとちょっとカッコよく聞こえるけど、実際は迷惑千万だったりして?

次回もどうぞよろしく!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ