序章・それは死体です、大切に扱ってください
何かおかしい!手前の角を曲がって左側の道に魔物が潜んでいる気がする。直感だけど、ダンジョンみたいな場所では直感を信じるべき。どんな魔物だろうと今の私には勝てない…だろう。せいぜいゴブリンかスライムくらいなら、単体ならなんとか…だけど、ゴブリンは単独行動しないし、スライムがこの階にいるわけがない。
幸いにも一人じゃないし、ハハハ。ゴブリンだろうがスライムだろうが、今回はお前ら終わりだ。ハハハハ!
角を曲がり、そっと顔を覗かせると、案の定ゴブリンが7匹いた。一緒に覗き込んだ先輩たちの顔がパッと明るくなった。だって、入って15分くらいで成果があったんだもの。学校は冒険者1日分の費用を支払っている。学生だから半額だけど。
半額ってケチじゃない?いや、そんなことはない。今日は私と一緒に行動した奴には追加の点数があるから。こんなにも多くの人を誘導できたのは、カトリーナ先生のおかげだ。あの抜け目のない商人め。
魔法使いが火球を放ち、びっくりした。止めようとした時には、他の3人もすでに攻撃を始めていて、止められなかった。
火球は2匹のゴブリンを焼き尽くし、灰になってしまった。残りの2匹は、斧の一撃で胴体が真っ二つになり、上半身が地面に倒れ、不承不承の表情。騎士は盾で1匹を吹き飛ばし、壁に激突させて気絶させた。そしてもう1匹の首を斬り落とす。首はしばらく空中を飛び回り、全てのゴブリンが死んでから地面に落ちた。最後のゴブリンは双剣でバラバラにされた。一瞬の出来事で、ゴブリンは自分が死んだことすら気づいていなかった。
……
まさか…冗談だろ。ダンジョンに入る前に、死体を大切に扱うように何度も言っておいたのに!
怒りを抑えながら外に出ると、彼らは得意げに立っていて、満面の笑みを浮かべていた。
「あの2匹は真っ黒焦げになって使えない」
地面に広がる焦げ跡を見て、
「実際、半分に切られていようが、4、5つに切られていようが、使えないものは使えない。
「これは骨が全部砕けている」
実演として、盾で倒されたゴブリンを死霊術で起こそうとした。ゴブリンは地面を這いずり回り、その姿に先輩が吐きそうになった。
「分かった?」
彼女は口を手で覆い、何度も頷いた。魔法を解いた。
唯一使える首なしゴブリンに魔法をかけ、指を上に動かす。すると、首なしゴブリンは立ち上がった。
「あと4匹必要だ!頑張ろう!」
顔を曇らせた先輩たちに、胸の前で拳を握りしめ、励ますポーズを取った。反応がない?おかしいな、前世ではアイドルとして成功したのに、私の可愛さが足りないのか?
「何でこんなに面倒くさいんだ」
斧を使った先輩が不満そうに言ったので、私は言い返した。
「当たり前だろ、坊や。面倒くさくないと単位が取れないじゃないか。」
単位のこと、そして彼らが学校で置かれている立場を考えると、他の仲間が斧を使った先輩を必死に説得した。
「チッ、暗属性の奴らはみんな面倒くさい。」
面目を保つためにそう言った。
まあ、入学したばかりの頃は、自分が暗属性であることを気にして、そのせいで傷ついたこともあった。でも今は違う。死霊術師だっていいじゃないか。私は自分の価値を創造できる!暗いのは属性だけで、心じゃない!私みたいに女性好きな女の心が黒いわけないじゃないか!