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献血心情

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

献血が嫌い過ぎて、性癖を捻じ曲げた狂人の話です。

あ、私ですね。


こんなノリが延々と続きます。不条理ギャグです。

「今日はねぇ、健康診断だから、献血があるのよ」

女は嬉々として診断書を鞄に捩じ込んでいる。まるであの舞台の観客席に立ったら、演者がしこたまファンサしてくれるのよ。と言わんばかりのテンションの高さである。

だから平たく、当たり障りなく答えておく。

「嬉しそうだな」

「え、何言ってるの? 嬉しい訳ないでしょ。針ぶっ刺されるのが嫌で体ごと逃げ腰になったら『体ごとこっち向いて下さいね〜』って二回言われるくらい大嫌いだわ。んでもって油断して、腕を見たらまだ針ぶっ刺さってて『は?』『はい』『うん?』『はい』という看護師さんとの謎なテレパシーが常時行われるくらい嫌いだわ」

マジ此奴面倒臭いな。

「でもいい事が一つあって、この時しか、やわ肉を針で貫かれた痛みと言うのは形容できないのよ。つまり、吸血鬼に吸血鬼される事はこの世界では不可能だけど、疑似体験は可能なのよ」

「良かったな?」

「良くは無いね」

本当、此奴面倒臭いな。


と言う訳で、死ぬほど嫌いだけど、死ぬほど貴重な体験が出来る献血の時間がやって来た。順番を呼ばれて、丸椅子に座る。担当の看護師さんは、バッサリした御前でテキパキと私の関節にアルコールを塗る。

聞かれるのはまぁ何時もの事『採血の時に気分が優れない事は?』『アルコール平気ですか?』等のやり取りが行われる。因みに針が肉を貫通するよりも、この時間が大層嫌いである。

死刑宣告を受けて、最後の晩餐を行い、処刑場へと案内される時の方が、実際死ぬ時よりも酷な気がする。そんな事をされるくらいならば、すれ違い様に殺してくれた方が気が楽だ。

何かを馬鹿にして言ってるつもりはなく、此方は本当に大真面目。だから早く針をぶっ刺して欲しい。

そうしてコールと言うか、死刑宣告が成された。『チクッとしますよ』という宣言の後、全身がぞわりと粟立つ。背筋が伸びる。僅かな痛みの薬が全身に回って、軽い混乱を引き起こす。『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。けど、気持ちいい』。自分が思っている以上の悦楽。吸血鬼の牙というのはこの様なものなのだという疑似体験。あぁ、堪らない。

看護師さんの忠告をなされると、もう針が抜かれて終わったのかと思った。安心しきった顔で腕を見る。そこにあるのはやはり無惨な現実だった。

透明な試験管に何ミリもの血液が溜まり、どろりとした赤黒い光を灯す。お世辞にも綺麗とは言い難い赤に、思わず真顔になった。看護師さんを見る。素知らぬ顔で見つめ返された。

そんな事を繰り返す事早三回。『引き抜かれる時もチクッとしますよ〜』という忠告を受ける。そうして感じるのは、あの、皮膚の幕を突き破った痛い快楽だった。

皮膚の表面に穴が出来る。それだけが私の勲章とでも言うように。

『チクッとしますよ〜』は死刑宣告と同じなんです。

下手な心構えをするので、一思いに突然バッサリとやって欲しい気持が無きにしも非ず。

※なんとも面倒な患者です。


そうして滅茶苦茶献血が嫌いなので、逃げとして性癖(本来の意味)を破壊しときました。

これで怖いものはなくなりましたが、狂人への道が一本深まりました。


私は何を書いているのでしょう。


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