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君の兒  作者: 左澤喰種
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変化

君の兒

第一章  変化


1、君との出会い


思い出す時がある。

温かい声で

「直斗起きて!学校に行く時間よ!」

というお母さんの姿を。

そんな姿は、もう見れないけれど。




ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ 

アラームがいつものように鳴った。この音を聞くと

ああ、今日からまた学校か。と頭がズキンといたくなる。

自分の体より大きなドアを開けて階段を下り下に降りる。いつものようにお父さんが朝食の準備をしてくれていた。

目玉焼きとスクランブルエッグ、ウィンナーに味噌汁の良い香りがする。

お父さんはIT関係の仕事をしていて、生活には困っていない。穏やかな性格をしていて人に怒るなんてことは絶対にできない。

僕もお父さんに似て人に怒ることが苦手だ。

お母さんは僕が小さい時に交通事故で亡くなった。僕の記憶に残っているお母さんは髪型は俗にいうロングでまるで女優であるかのように顔が整っていた。そんなお母さんは普段は優しいが、お父さんとは違い怒ると怖かったのを覚えている。


「おはようお父さん。    今日学校休んじゃだめかな、、、」

朝からそんなこと言うのは自分でも馬鹿だってことはわかっている。それでも学校に行きたくない。

あいつらがいるから、、


「直斗、もう高校2年生じゃないか、学校ぐらいしっかり行きなさい」

そう、こう返事が帰ってくることは最初からわかっていた。実はこれで100回目の失敗なのだ。


「そうだよね、、ごめんね」

悪いのは自分じゃないとわかっているのに謝ってしまう。そんな自分が嫌いだ。。


「困っていることがあるならお父さんに言いなさい」

そう言いながら木でできた食卓にご飯を並べてくれた。


お父さんの作るご飯はそこら辺のレストランより美味しいのだ。

そう思っている時

「そうだ直斗、今夜食事にでも行かないか?お父さん久しぶりに直人とゆっくり話がしたいんだよ」

最近の僕の様子を見てお父さんは心配してくれていたんだなとわかる。

少し胸がホッとした。僕をわかってくれる人もいるんだなと。


僕は食卓に並んだご飯を口いっぱいに詰め込みながら

「ありがとうお父さん。でも、、今夜は友達と遊ぶんだ。だから行けない」

と言った。本当は友達なんていないけれど。


そうこうしているうちに学校に行く時間が近づいていた。

「もう8時じゃん!!行かなきゃ!行ってきますお父さん!」

急いでランニングシューズを履いて玄関のドアを開けた。

眩しいなあ。今日は何か壮大な事が起きる。そんな予感がした。

「行ってらっしゃい、気をつけて。」

お父さんが笑みを浮かべながら手を振ってくれた。



僕は都立美川高校の2年生だ。家は学校から15分程度の場所にある。山に挟まれた坂を登って川をまたぐ橋を渡った先にある煉瓦でできた2階建ての家に住んでいる。


急いで橋を渡り坂を下った。自転車のタイヤが

ごおおおおおお

と今にもパンクしそうな音を出している。

美川高校は20分には着席していないと遅刻とされる。

「あああ、あと20分しかないよお。僕の教室なんて3階なのに!」


キーンコーンカーンコーン

学校のチャイムが聞こえる。

遅刻だ。

校門を通り下駄箱横にある駐輪場に籠のついた自転車を止めた。

「遅刻遅刻!!早く行かなきゃ!」

汗だくなのに今から3階まで登ると考えると頭の中が爆発しそうだ。

そうこう考えながらもクラスについた。先生が出席確認をしている途中だった。

2ー2組。ここが僕のクラス。

「遅れてすみません先生!ちょっとトラブルがあって、、」

咄嗟に嘘をついてしまった。

「小林くん。君が遅れるなんて珍しいねえ、何かあったのだろう?後で職員室に来なさい。いいね?」



「はい。。」

初めての遅刻だったので少し心が痛む。。

そう思い詰めている時、いつものあの嫌な餓鬼大将の大将のような声が後ろから僕の耳の近くで聞こえた。背中にゾッと嫌気がさす。。

たける達だ。佐藤武尊 彼はクラスのリーダー、中心人物という立ち位置にいる。僕とは似ても似つかない存在だ。その周りにはいつも5人いる。

「よお直斗遅かったじゃねえか。今日の放課後体育館にこいよな!!」

周りの奴らがケラケラ笑っている。

「う、うん」

そう言うしか僕はできない。抵抗したらどうなるかわからないんだ。怖い。

武尊とは高校1年生の時初めて同じクラスになった。最初は普通の接してくれていたんだけど、、いつの間にかいじめの標的へと変わっていった。


僕ってなんのために生まれてきたんだろう。そう考えることなんてしょっちゅうでもはや気にしていない。

生きるのって辛いことなんだね。そう思う。


とそんなことを考えていた時!!


『あなたは一人じゃないわ!私がついてるんだもの!!』

後ろから声を振り返るとそこには

白いワンピースに麦わら帽子を被った可愛らしい女の子が立っていた。

彼女はまるで太陽のような人で星のような瞳をしていた。


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