お菓子よりも甘い夢
暖かい貴方の腕に包まれて眠る
トクン…
トクン…
貴方の鼓動が聞こえる
こんなにも安らかな気持ちになったのは初めてなの
「なぁ?俺、こんなに落ち着くの初めてなんだけど。」
貴方の声が耳に響く。
「…私もだよ。」
背中に回した腕にギュッと力を込めた。
私の髪に口づける柔らかい感触に耳が熱くなった。
あぁこの時間がずっと続けばいいのに…
ピピピピ…
ピピピピ…
ピピピピ…
「ん…う〜ん。」
体を伸ばしてスマホのアラームを止めた。
「あれ?どこ行ったんだろ。」
ベッドに座り目を擦りながら辺りをキョロキョロと見回す。
隣で寝ていたはずの彼の姿がない。
「…あ、夢?ずいぶんとリアルな夢だこと。」
頭を掻きながら「はぁ〜っ。」とため息をついた。
出来るなら続きを見たかった。
これが正夢になったらいいのにな…。
そんな事を考えていたら突然スマホが鳴る。
「こんな朝早くに誰だ〜?」
スマホを手に取り、画面を確認して顔がニヤける。
「あっ!彼からだ。」
慌てて電話をとる。
「…もしもし?うん。起きてた。……おはよ。」
急だけど今日会えないかって。
もしかして、もしかしちゃう?
この間、一目惚れして買ったお気に入りのワンピースとヒールでオシャレしてネイルも頑張っちゃお。
貴方の為に頑張る私。
そんな私が最近好きだったりするよ?
きっと…これが恋の始まり。
「お待たせ!待った?」
「…ううん。さっき来たとこ。」
貴方の笑顔が見たくて頑張ったの。気づいてる?
「なぁ?今日、なんかいつもより可愛くない?」
「えっ!ほ、本当に!?えへへ…嬉しい。」
頭をポンポンッと撫でてもらって思わず顔がニヤけた。
「あ、そうだ。これあげる。」
彼から小さな紙袋を渡される。
「ん?なぁに?」
「食べたいって言ってたお店のお菓子。マカロン好きだったろ?」
「覚えててくれたの!?え〜っ!ありがとう!!」
キラキラの包みにテンションが上がる。
「あとで食べな?」
「一緒に食べよ!」
「おう。じゃ、行くか。」
「うん!行こっ!」
スッと繋がれた手に胸が高鳴る。
本当に正夢になるかも…?
二人で半分こして食べたお菓子は甘くて美味しくて、何故か切なくなって涙が出そうになった。
これからもずっと貴方の隣にいたいな…こんなワガママ言えない。
だけど、お願いだから伝わって!と繋いだ手にギュッと力を込めた。
「これからも一緒にいたいな。…好きだよ。」
頬を赤くして恥ずかしそうに目をそらしながら言った彼に私は泣きながら答えた。
「…私も好き。」