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異世界幸せ生活  作者: osagi
第一
6/41

<サクラの特訓>

 タマルの長話もあって俺が帰ったころにはすでに昼過ぎであった。


 「あー、お父さんやっと帰ってきた」

 「少し遅くなったかな」

 「すっごく遅いよ」


 どうやらマリアとサクラは昼食も食べずに特訓を続けていたようだ。育ち盛りであるサクラはよく食べるし、朝からマリアの特訓を受けていて腹ペコだ。


 「それじゃあそろそろお昼にしましょうか」

 「わーい」


 マリアの言葉に小走りで家の中へと駆け込んでいくサクラの姿は無邪気で可愛らしく、俺とマリアは目を合わせて二人静かに微笑んだ。


 そして、いつもよりも量の多い昼食をサクラはモリモリと食べていく。もう少しゆっくり食べたほうがいいと思い、俺はサクラに話しかける。


 「それで、朝から何をしていたんだ?」

 「ん~とね。いつもの手や足で相手を打つ以外に投げ飛ばしたり締め付けたり、目を瞑ったまま音だけで周りの状況を判断したりいろいろやったよ」


 マリアの教育方針としては広く浅く教えてそれを深めていくというものなのだろう。一方で俺はそんな格闘ができるわけでもないし、ウサギの獣人としての文化を知っているわけでもないので特にサクラの教育に関しては完全に任せている。


 それどころか種族だけの言葉やその特性を利用した技術などは俺を遠ざけたうえでマリアに教えているほどであり、俺の方もそういったことを知ろうとは思わない。別に俺とマリアの間に何かが起こるわけでもないしお互いの信頼関係を築いていく上でのルールだ。


 「ごちそうさま」


 そしていつの間にか腹ペコだったサクラは食べる手も止めずにいつも以上にあったはずの食事を平らげていた。満足そうな顔をして可愛いものである。だが、サクラはこの後に待ち受けている試練があるとは知る由もなかった。



・・・・・



 マリアは俺がタマルの長話を聞かされることを見越したうえで送り出し、そのうえいつもの量以上の昼食を用意していたのだ。


 「うぐぅ・・・」


 そして現在、満腹状態のサクラはマリアの厳しい特訓についていくのがやっとである。いくら空腹だからといって満腹まで食べるのは場合によっては命取りになるのだ。十分に動けなくなるのは体力がなくなった時だけではない。すべてはそれをサクラの体に教え込むためのマリアのスパルタ教育だったのである。


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