表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界幸せ生活  作者: osagi
第六
31/41

<強く美しく>

 昼食後、俺とマリアは後片付けも終わって二人仲良く椅子を並べて窓の外を見ていた。窓の外ではユキノとシノブがそれぞれ木刀を持って打ち合っているのだ。


 「二人とも元気だな」

 「二人とも狩りをしながら生きていくには十分だもの、あとはサクラのように強くなるだけよ」

 「そういうもんなのか?」


 ユキノとシノブも10歳になり、サクラと同じようにもうマリアよりも大きくなっている。だがあの二人はサクラのように旅に出ることはない。そう考えれば今の狩りができるだけでも十分だと思うのだが・・・。


 「今そんな必要ないのにって思ったでしょ」


 マリアは俺の心の中でも見えるのだろうか、マリアは俺の思っていたことを言い当てるとさらに続ける。


 「私たちウサギの獣人は強く美しく生きるものなの」

 「強く美しくか、あの二人だってマリア以上じゃないがすでになかなかなものじゃないか?」

 「あら、自分の娘たちに鼻の下伸ばしてるの」

 「なんだ嫉妬してるのか」


 いつも通りの会話を交わしながら、いつも俺が負ける言い合いが続く。


 「いいえ。私が育てた私達の子供たちですもの、どこに出しても恥ずかしくないし、いずれ私以上になるのは当然だから別に嫉妬なんかしないわ」

 「そうか」

 「でも、まだ私以上じゃないから私以上になってから手を出してね」

 「そもそも手なんか出さないよ。それにあの二人が今のマリア以上になったって俺はマリアだけを見ているよ」


 そう言って俺はマリアの腰に手を回す。ここまで来るとただの本心である。


 「あら、ユキノが私と同じぐらいの身長の時にどっちかわからないでユキノを抱いていたのに?」

 「ふあぁ!いや!そんな!」


 俺は驚きのあまり声を上げるが、マリアは笑いながら俺の様子を楽しんでいる。


 「冗談よ、冗談。もしそんなことがあったら私がユキノから奪い返してるわ」

 「もう、お母さん!変なこといわないでよ!」


 まったく、冷や冷やさせられるものである。そしてこちらの話を盗み聞きしながら打ち合っていたユキノは俺と同じようにマリアの嘘に引っかかりシノブに一本取られた。


 「まったく、そんなことで負けるなんてまだまだよ」


 マリアがそう言ってユキノとシノブの打ち合いは続く。するとマリアは俺に寄りかかり俺の腰へ手を回す。


 「強く美しく生きるというのはね。自分自身と大切な人を守れることも言うのよ」

 「それならマリアは最強だな」

 「ええそうよ。私は最強なの」


 そう言い切った瞬間、マリアは俺逃がさないと言わんばかりに俺の腰を強く引き寄せたのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ