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異世界召喚に便乗して復讐  作者: ネリムZ
8/12

小さき魔王

 ここは胡桃が入院している病院の一室、胡桃のいる所だ。


「あ、あー、あ、あああ」


 掠れた声で何かを喋る胡桃。


「どうしましたか?」


 胡桃の検査や介護、その全ては女性で交代制で24時間胡桃は世話をされている。

 特に問題を起こしていなかった胡桃の看護は看護師に取っては楽で良いと思う者とやり甲斐が無いと思う者が居たりする。

 どうして胡桃の様々な事が女性なのは男性に触れられるとヒステリックを起こすからだ。


「ああ!ああ、あああああ」


 空に手を向けてひたすら何かを喋る。


「ど、どうしましたか!」


 看護師も今までに無かった胡桃の態度に驚きを隠せないでいた。

 何かを掴むようにただ何もない青空に手を差し伸べる。


「あぁあぁぁぁあぁぁぁぁ」


 ボロボロと涙を零しながら手を差し伸べ、ベットから立ち上がる。

 宛もなくただ空に向かって歩き出す胡桃を看護師は抑えるが、胡桃は抗う。


「だ、誰か!誰か!来てください!薬を、薬を!」

「どうしたしたか!って、大丈夫ですか!どこですか?」

「棚の中に」


 ベットの横にある棚に新たに来た棚にある注射型の薬を出して胡桃に刺す。


「あぁ」


 胡桃は薬に抗う事が出来ずに眠る。


「一体何が会ったの?」

「わ、分からないわ。でも、かなり強い睡眠薬だから当分寝ているでしょうね。先生の方に連絡してきます」

「着いて行くは」

「ありがとう」


 胡桃をベットに寝かして看護師は医者の方に連絡しに部屋を出る。


 胡桃のベットに青色の光が現れ、部屋全体を包み込む。

 光が収まるとそこには、胡桃の姿は無かった。


 ◆


『ま、魔王様の召喚は成功した!』

『本当か!』

『ああ、そろそろ来るぞ!』


 祭壇のような所に角の生えた一見青年に見える人(?)とシワシワ白ひげの爺さんが魔王の召喚は成功したと声を荒らげる。

 魔法陣のような物が祭壇の台座の上に現れ、そこから1人の少女が落ちてくる。

 重力を無視したゆったりとした降り方で現れた少女は何かしらの物で眠っている様子だった。

 少女にしては発育が良いが、身長は低めで痩せ細っている。


『これは、とりあえず部下の者に万能蘇生薬エリクサーを持ってこさせよ』

『む?いくら寝ているからと言ってそこまでの物を出す必要があるのか?魔法で良いだろう?』

『この方は心が壊れている。全く!見てわからんか?分かったらさっさと行け!』

『ぐぬぬ、はい!』


 角の生えた青年は悔しいそうにしてから祭壇から出て行った。


回復ヒール


 爺さんは片手を軽く掲げてから魔法を発動させて少女を起こす。


「ぁ、ああ?あああああ!ああ!あ!あ!あ、あ!」

『お、落ち着いてくだされ!』


 少女は爺さんを見た瞬間に台座から転げ落ちるのも気にしないで後退る。

 立つ事はしないで手や足、腰を使って後退る。


『これは、恐怖か?』

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


 爺さんが片手を伸ばしながら腰を下ろして成る可く目線を合わせるようにして宥め用途するが、寧ろ逆効果なようだ。


『も、持ってきましたよ!て、何襲ってるんですか!』

『誤解だ阿呆!急いで持ってこい!』

『はい』


 爺さんは青年から万能蘇生薬エリクサーと言われている薬を受け取り、蓋を適当に開けてから無理矢理少女の口に突っ込む。


「ん!(ゴクゴク)、⋯⋯こ、ここは?」


 虚ろの怯えた目に徐々に光が戻っていき、ここは何処か聞く。


『ここは⋯⋯』


 爺さんはここは少女の居た世界では無いと言う事、助けて貰いたく召喚した事、心を治した事、ここが魔族領な事を話した。


『まずはこれを』

「これは?」


 石版みたいな物を少女が受け取ると、石版は光って文字を表す。


 ・齋藤胡桃

 ・能力: 『謙譲』『慈悲』『忍耐』『勤勉』『救恤』『節制』『純潔』『検索』


「なに、これ?」

『それは、魔王様の能力でございます。今はまだ整理が着いておりませんようでして、お部屋に案内致します。何かあればお呼びを』


 胡桃は流させるままに部屋に行き、そこに会ったベットに腰を下ろして記憶を辿る。


「確か、パパとママが仕事をクビになって、その前⋯⋯私は⋯⋯ッ!」


 思い出てきた胡桃。自分が何をされたか、自分がどうなったかを。


「私の記憶の私よりも成長している?」


 胡桃は色々な疑問を思い浮かべる。

 そして、自分に会った能力についてある物を思い出した。


「そうだ!検索!検索を使う」


 ・検索内容:


「検索内容は⋯⋯まず、ここは何処か!」


 胡桃はまず、爺さん達に言われた事を確認し、そこから色々と派生して聞いて言った。


「鑑定、アイテムボックス、異世界言語翻訳ねぇ。でも、基本出来て目に見えないから異世界言語翻訳は広くは広まって無いと⋯⋯あくまで翻訳だから読む事は出来ない。あのステータスプレートは自分の名前と自分の能力、文字が分かったのは自分の1番馴染みのある文字になるのか⋯⋯色々といたせりつくせりだね。それに勇者、か。私や勇者が帰る方法は『世界の調和の達成』。魔王と勇者達の強力は絶対。⋯⋯どうでもいい!⋯⋯と、言いたいけど、パパとママとお兄ちゃんとまた暮らしたいしなぁ〜」


 胡桃は勇者は何かを色々と調べてみる事にした。


「お、お兄ちゃん?お兄ちゃん勇者なの?!ひ、ぐす、はは、お兄ちゃん⋯⋯ここに居たの?」


 涙を沢山流す胡桃。


「私の方針は決まったよ。お兄ちゃんと一緒に帰ってまた、家族4人で暮らす。⋯⋯お兄ちゃんなら私を襲って来た奴ら分かってるのかな?お兄ちゃんにそいつらの名前を聞いて、⋯⋯殺してやる!もごたりしく、生きて来た事を後悔させるような死に方を!」


 色々と検索をして、どうしたら良いのかを決めた胡桃。


「強くなって、復讐して、世界を調和にして、帰って、家族4人で暮らす!⋯⋯私、ここまで頭良かったけ?」


 胡桃は何故かと自分の能力に関する事を検索する。


「勤勉のお陰ね。なるほど、どれも便利そうだね。ははは!待っててねお兄ちゃん。強くなって、迎えに行くよ」


 うっとりとした目を点に向け、そして、暗い笑みを浮かべる。


「あいつらは絶対に許さない。パパとママを苦しめた奴も!私を襲った奴も!お兄ちゃんをいじめた奴も!私が全部!全部!ぶっ殺す!⋯⋯確か呼べば良かったんだけ?⋯⋯名前、分かんないよ」


 胡桃は今後の方針を決め、魔族達の味方になる事を言うつもりなようだが、呼ぶにしても名前が分からないようだった。

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