異世界に召喚された
俺達は異世界召喚された。
思ったこと、『こいつらと一緒に召喚』された事だ。
「⋯⋯最悪だ」
◆◆
「んーん!んん!んー」
俺は紐みたいな物で口を塞がれていた。
喋る事も、抗う事も出来ない。
⋯⋯目の前で妹が犯されているのに。
無力、妹がこちらを向いて手を差し伸べてくる。
腕が机の足に縛られているので手を差し伸べれない。
机が重くて机ごと動く事も出来ない。
やめろ!やめろ、やめてくれ。
「フゥ〜いやーお前って本当に兄なのか?妹を差し出すとか?ははは」
「確かになぁ?あははははは!」
「はは、ロリ巨乳最高だぜ!」
「おい、そろそろ時間だ。たっく、家門限厳しい」
「はは、まあ、『警察長』なんだから仕方ないだろ」
「ささ、帰ろ」
靴の音が聞こえる。
こいつらは俺の中学の同級生だ。
「お、おに、おお、あ、ああああああああ」
俺は泣きじゃくる、絶望している妹を抱きしめる。
あいつらは帰る前に証拠を残さない。
そのせいで来た前と何も変わらない。
「胡桃ごめん。胡桃、くるみ」
掛ける言葉すら見つからない俺は兄失格だ。
妹を助けれなかった俺は屑だ。外道だ。
「おにいちゃああん」
涙が俺も、妹も止まらない。
妹はまだ小学5年生だ!何が、ロリ巨乳だ!あいつらに良心⋯⋯あったらこんな事はしないか。
ああ、この世はゴミだ。
妹の裸体の写真がラインで送られてくる。
液体塗れの、涙でぐちゃぐぢやの顔。
「お兄ちゃん。私、もう、嫌だよ」
妹の身体は同年代、20代と比べても大きい。
そのせいで⋯⋯。
「痛かったよ、辛かったよ、気持ち⋯⋯ぷ、ぼおえ」
思い出してしまったのか俺と胡桃の真ん中で吐き散らかす。
親が帰ってきてからこの事を警察に報告。
翌日、通報で動いた警察官は左遷、違う警察官は証拠不十分と言い張る。
防犯カメラがあるのに、だ。
沢山のお金が届いた。⋯⋯口止め料だ。
両親、俺達は受け取り拒否。
翌日、両親は仕事をクビ、濡れ衣を着せられ大量の借金。
口止め料を受け取り返済。
再就職、不可。
なぜ?
うちの同級生に水美とゆう両親の会社、ここら一帯を仕切る財閥的な大きな存在だ。
強力したのだろう。
あいつは俺が絶望する姿を見る為に色々とやってくる。
胡桃は精神を病んだ。寧ろここまで耐える事に出来た胡桃は凄いだろう。
胡桃は入院、男性の看護師が来るとヒステリック、嘔吐を繰り返す。
男性で胡桃に近づけたのは父と俺だった。
初めての胡桃との面会。
「胡桃」
「あ、あああ、あー、あ?あ!ああーああ」
かすれたような声を出しながら手を伸ばしてくる。
母は膝を崩して号泣し、父は慰める為に必死に涙をからえ、俺は怒りを募らせる。
多分、胡桃は『ママ、パパ?お兄ちゃん!』と言っているだろう。
何をした?俺達は何をした?
胡桃の顔には涙も、笑顔も、何も無い。無だ。
小学5にして胡桃の感情は壊れた。
引っ越しを考えた。不動産、引っ越し業者どれも門前払い。
車での逃亡、胡桃を入院させた事に寄って不可になった。
返してくれない。無理矢理取り返そうとしたら誘拐扱い。
俺達は逃げられない。
高校生に上がった。
口止め料が未だに残っている。
両親?両親は中3の時に家に帰ったら2人共浮いていたよ。
物理的にな。
胡桃は病院、両親は埋葬、俺は1人になった。
高校生でもゴミ共と同じ学校になって同じクラスになった。
ご都合主義かよ。クソが。
担任の女性も俺をイジメる。
幼馴染の女性がいるよ。
その子はなんだろうか?
とても人気で、可愛らしい人だよ。
なんかいい雰囲気?
質問、貴方は自分の幼馴染が自分の孤立し、絶望する姿を楽しむ幼馴染が好きですか?
俺は嫌いってレベルでは言い表さない。
そんな奴だ。
クラス全員がゴミ、復讐?出来ない。
なぜ?相手は何時も複数人で行動。当然俺は1人。
人は信用したい。したいのに相手に裏切られる。
でも、希望を持たないと心が壊れてしまう。
心が壊れてしまったら胡桃に対しても何も思わなくなってしまうかもしれない。
そんなのは嫌だ。
俺の怒りを、俺の悲しみを、胡桃の無くなった感情も、忘れてはいけない。
何時もの学校。何時もの風景。
両親をクビにした子供の娘、水美の顔を見ただけで吐いてしまう。
そんな何時もの風景が、今日この日を持って崩れた。
◆◆
異世界転移を誰が想像しただろうか?
俺はね、どんなに苦しくても辛くても、異世界に召喚した『異世界人』を憎む。
胡桃に会えない。
「勝手に召喚────」
魔王を討伐する為に召喚されたようだ。
クラス事する必要ある?俺呼ばれる意味ある?
魔王を討伐するまで帰れない?魔王を倒したら帰るの?
何処にそんな証拠が?この世は証拠すらあっても意味ないけど。
召喚された俺達には1つだけ特化した能力が備わっているらしい。
「え〜と、昔の逸話では召喚された者が『チートスキル』と読んでいるモノだ」
どんな世界観だよ。
場所は変わって教会。
世界観すら未だに分からない。
教皇と呼ばれる人がある小型の石版を持ってくる。
「それは身分証と共に、その人の能力を表す」
俺だけかな?こんな状態で流されてひたすら心中で戻れ戻れと言ってんの?
石版に触れると光を放って色々な文字が浮かぶ。
なんで運んだ時に光らないの?
理由は1人1個しか所持出来ないので持っている人が触っても意味ないようだ。
皆のチート呼ばれるスキルなる物を貰って喜んでいる。
ある者はこれなに?ってなっている。
俺の能力は
・斎藤翔大
・能力:ログ
これがこの世界の身分証と俺の能力だ。
ログ、なんなのこれ?
ゲームとかラノベ?とかやっている人なら分かるかもしれんが、俺にはクズ共の指示に従うためのラインしかない。
「ログ」
そう、ただ呟いただけだったけど、目の前に半透明な板?なる物が現れた。
幽霊?
当たりからは見えないようだ。
なぜわかるか?
だって、あからさまに光って中に浮いて急に出てきたら皆の気がつくよ?
・翔大はログを得た
こう書いてあった。
触れるか試すと触れる事に驚いたが、周りが騒いでるいので目立たない。
その後、才能を見る為に『ますいしょう』なる物に手を置くようだ。
「この『魔水晶』に手を当てますと自分の才能がある魔力の属性が分かります」
俺はアンカーになった。
皆、3種類は持っていて辺りが騒いでいた。
⋯⋯メイド服が皆のゴスロリな件に付いて。
「属性は⋯⋯ないようですな」
『え?まじ?』
『うっわ〜召喚したのにハズレなの?』
『最悪』
小声なのに普通に聞こえる使用人達の会話を無視する。
分かっている。俺が才能がないの。
もしも俺に才能があったら⋯⋯考えるのはやめよう。
それから部屋を1人1部屋王城に住めるようになったよ。
帰りたい。
翌日からまずは基礎訓練なるモノを受けるようだ。
1人ベットに座って考える。
「どうしてこうなった」