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神となった異世界人は、異世界の知識をもって世界を繁栄させる。  作者: 千寿
第二章 セントリア魔導学院編
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適性チェックと定期考査

投稿予約忘れてました。

 一癖も二癖もあるゼミ見学から1ヶ月。


 学院での生活や勉強に慣れ始め、クラスもまとまり始めている。


 一時停学処分となっていたエリュシェンは先週、停学を解除されすっかり大人しくなっている。

 時々イラつきを発散するかのように壁を殴ったり、訓練場で魔法をぶっぱなしたりしているが、以前のことを考えるとかなり丸くなったと言えるだろう。



 基本的に授業で行う実験や実技は成績順に班分けされることもあって、授業以外でも班で行動することが多い。

 それ以外での仲のいい友達同士で出かけたり、遊んだりしている人もいるので人それぞれだ。



 そして今日は学院生活にも慣れ始めたこともあり、それぞれの適性が公表される。

 これは学院のカリキュラムによって導き出されたひとつの指標で、毎回おなじものになるとは限らない。

 生徒が将来、何を学び何になるのか生徒自身に考えさせ、選択させるための行事である。



「今日は午前中全てを使って自身の適性と向き合い、これからどうするのかをよく考えて欲しい。必要なら訓練場や図書館も使用して良いので、それぞれが有意義な時間を過ごすように。何度も言うが、この指標は参考程度であること。自らの将来は自らで選び勝ち取る、このことを忘れないで欲しい。」



 ハヤトのいる特進クラスの担任ジークは、1人ずつに適性が書かれている紙を渡して教室を去っていった。



 ハヤトは自分の適性を確認するとこのように書かれていた。




 ハヤト(17)


 属性:火・水・土・金・木


 適性:純魔法士・純魔道士


 備考:魔力が高く、干渉力やイメージ力は学院でもトップクラス。

 特にイメージ力はずば抜けており、今までにない運用の仕方やアプローチはその優秀さの表れである。

 どの魔法系機関であろうとも活躍できることは確実で、戦闘職であっても同じ。




 そこには、こう書かれていた。


 ここに書かれている純魔法士・純魔道士の純というのは、近接戦を想定しない純粋な魔法士・魔道士のことを指す。

 本来、魔法士及び魔道士は弱点となる近接戦を補う形で武器を扱うことが多い。

 しかし、ハヤトのようなタイプはその必要がないと言うこと。

 つまり、魔力が高く魔法の発動速度早いことから弱点にはならないと判断されている。

 これはとても名誉なことで魔法のみの才能、技能がトップクラスと認められたということだ。

 まだ学院に入学して2ヶ月経たない1年生に対する評価としては滅多にない。



「ハヤト、なんて書いてあった?」


「コウキ、それは個人個人に渡されたもので軽々しく人に話すものではないと思うのだが?」


「おっと、そりゃ悪い。ちなみに俺はこう書いてあったぜ。」



 コウキがどうだと言わんばかりに見せてきた紙は先程配られたものだった。




 タケミカヅチ・コウキ(18)


 属性:火・水・金


 適性:魔法士・魔法戦士


 備考:火属性、特に雷の適性が高く反応速度や瞬発力が高い。

 魔法戦士であれば、最前線での撹乱や一騎当千の活躍ができるだろう。

 魔法というより、魔法で強化された近距離格闘及び近距離戦闘の適性が高い。




「あなた、やっぱり盾よりもちゃんとした武器の方がいいんじゃないか?」


「いや、そこはほらこれからも頑張ると言うことで。」


「あんまりこだわりすぎると、戦場じゃ直ぐに死ぬで?」


「物騒なこというなよ。大体俺は人を殺すための勉強に来てるんじゃない、誰かを守るための勉強をしに来てるんだぞ?」


「でも、守るだけじゃ助かる人も助からんで?敵を殺してでも味方を守る、攻撃は防御になってもその逆はないで?」


「アイシャの言う通りだね。盾もいいけど、武器もちゃんと訓練した方がいいよ。チームならまだしも、1人で出来ることは限られてる。」



 エリス、アイシャ、ハヤトから正論を言われコウキは何も言えなくなっていた。

 と言っても、現状この世界は比較的平和で人同士の戦闘は数える程しか行われていない。

 代表的な例は帝国とエルドラ王国。

 どちらも魔導師を抱える大国である。

 数年に1度、帝国がエルドラ王国に対して仕掛けているのであって、王国側には自国防衛のための戦闘行為をしているに過ぎない。

 この戦争は世界屈指の攻撃力・突破力の帝国を王国が上手く防衛し続けているので統治権や採掘権と言ったものは一切変更していない。

 これ故に帝国は、『子供の喧嘩』と影で揶揄されている。


 噂では、帝国の皇帝でもある火の魔導師の絶対的な力の代償なのでは無いのかと囁かれている。


 魔導師にはそれぞれが(ことわり)を司り、世界の法則に縛られている。

 魔導師個人が理に引っ張られて変質することはないのだが、それに近い者が魔導師となることが多い。

 どのような理を司っているのかは、強さでもあるが弱点にもなり得るため誰かに語られることは無い。

 だからそこ、様々な噂が飛び交う。


 魔導師本人が人同士の戦闘行為に干渉することは禁じられているので大国同士が小競り合いとはいえ、戦争をしていても平和と言われている。





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「それにしてもよ、昼までどうする?」



 気を取り戻したコウキはいつものメンバーであるエリス、ハヤト、アイシャにどうするかを問う。


 同じ班であるはずのエリュシェンはどこかへ行ってしまったので、既に教室には居ない。



「そうだなぁ、私は特にすることはない。2人はどうだ?」


「僕も特にないかなー。」


「うちはどうでもええなぁ。元々、家にいるのが嫌だったからここに来ただけやし。将来なんて考えたくもないわ。」


「となると、午前いっぱいすることなしか。」


「何を言っているのだ?やれることならあるではないか。」



 エリスの言葉にハヤトは頷き、コウキとアイシャは首を傾げる。



「2人とも……、あと10日もすれば定期考査だよ?勉強しなくても問題ないのなら何も言わないけど、最初の考査で成績が落ちたとか恥ずかしくて言えないよね。」


「ぐっ……、思い出したくもないことを……。」


「あー、せやせやそんなもんあったなぁ。」


「人のこと言えたたちじゃねぇけど、そんなんで大丈夫なんか?」


「ん?うち?うちは別にいい点取りたくてとったんじゃないで?いい点取れたから5番目なだけ、別に順位にこだわりとかないしな。」


「うわ、まじかよ……。はぁ、どうも座学は苦手なんだよな。」


「そんなこと言っても、定期考査はすぐそこまで来てるよ。」


「しゃーねぇ、勉強するか……。」



 こうして、定期考査の勉強会が開かれることになった。

 勉強会といっても各々が勉強し分からないところがあれば質問するだけで、座学が苦手と言ったコウキですら学年2位と頭の出来はかなりいい。

 座学だけで見ても1桁台にいることは間違いない。


 勉強会は特に解けない問題にみんなで立ち向かう訳もなく、粛々と行われる。


 コウキにとっては頭が痛くなる、残り10日の勉強会が始まったのだ。


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