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神となった異世界人は、異世界の知識をもって世界を繁栄させる。  作者: 千寿
第一章 異世界の国エルドラ王国編
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密会

眠すぎたので本日は一話投稿です?(作業時間が前日の夜になるので)

 オオヅチから魔導機関車に揺られること、六時間半。

 午後四時半には王都へ着いていた。


 そのままの足で騎士団詰所にて依頼書を見せ、この日は宿で休むことにした。

 明日には依頼書の確認が終わるとのことで、昼頃にまた来て欲しいと言われた。


 さすがにすぐに会えるとは思っていなかったので、思いのほか早く宿で休めることが出来てよかった。


 いくらたった六時間半とはいえ、することも無く座り続けるのは疲れる。

 最近、お偉いさんとの遭遇率も高く、精神的疲労もそこそこ溜まってきている。

 唯一、平気そうにしているのはダリアだけだ。

 本当は老師に帰ってきたことを報告したかったが、それは明日に回すことにした。


 宿は依頼の品物があることから、セキュリティがしっかりとしていて信頼がある所を選んだ。

 部屋は二人部屋と一人部屋を借り、品物はミリスとダリアに預かって貰っている。

 実力のこともあるが、部屋を完全に開けないようにするには人数が多い方がいいからだ。


 そしてハヤトは一人部屋で寛いでいた。



「はぁ……、もっと簡単だと思ってたけど、行く先々でこうも問題ばかり起こるとは……。呪われてるのかな?この世界だと実際にありそうだし。」



 己の悲運を嘆いていた。





 翌日


 午前は休み、早めの昼食を終わらせ詰所に来ていた。

 中に入ると、昨日対応してくれた騎士がいた為、もう一度説明という面倒なことをしなくて済んだ。



「やぁ、待っていたよ。確かに依頼書は本物だと確認が取れた。渡す荷物とやらは持ってきているかい?」


「はい、一応持ってきてますよ。」


「うん、なら今から移動しても大丈夫そうだね。」


「今から移動ですか?」


「さすがに私どものような一般騎士に預けられるようなものでもないでしょ?だから今から上の人がいる所に送るから、直接渡して欲しいんだ。」


「またお偉いさんですか……」


「どうかしましたか?」


「いえ、最近こういう機会が多くて……」


「あぁ、なるほど。それは慣れてないと辛いですね。」



 対応してくれている騎士は同情し、納得してくれる。やはり、視察とかが来る時に説明をさせられることもあるのだろう。



「でも、これも仕事なんでね。無事にたどり着いて貰うよ。」



 同情されても、職務には忠実だった。

 裏口から出された三人は、待機していた騎士団の馬車に乗り込み、品物を渡すべく上の人の元へ向かう。



 連れて来られたのは、詰所から馬車に揺られること十分程度だった。

 途中壁を越え、第一門区街に入っていた。

 これなら歩いてもたいしてかわらなかったのではないだろうか。



「着きましたよ。」



 御者をしていた騎士が到着を告げる。

 馬車が止まると三人は馬車を降り、御者を務めていた騎士に案内されるまま、いかにもお貴族様が住んでいそうな豪邸に入っていく。

 庭はあまり広くはないが、敷地を門や柵で囲っている。

 建物自体は三階建てで、両端は塔のような形になっている。



 御者は見張りをしている騎士に何やら暗号のような文言を交わし、そのまま建物の中に通される。



「では、私はここまでと言われておりますので失礼します。後のことは中の者に聞いてください。」



 一階にある、とある部屋の前で御者をしていた騎士は来た道を立ち去る。



「せめて、中に入ってから帰って欲しかったなぁ……。とても入りにくいよ。」


「あの騎士は命令に従っただけですから、ここまでのこと以外は聞かされていないのでしょう。」


「その言い方だと増々、ノックしずらいね。」


「ですが、あまり中にいる人を待たせるのもまずいのでは?」


「それもそうかぁ……」



 コンコンコン、と三回のノック音。



「入っていいよ。」


「失礼します。」



 部屋の中にいたのは、オオヅチに向かうことになった依頼を出した(と思われる)近衛騎士団長のヘルメス・エル・アードゥルだ。

 その他には一人だけ、ヘルメスの座るソファの後に騎士が立っている。

 それ以外には誰もいなかった。



「お疲れ様、とりあえず座りなよ。」


「はい、失礼します。」


「あぁ、彼のことかい?まぁ、護衛みたいなものだと思ってくれればいいよ。信用できる相手だから情報漏洩の心配もないよ。」



 ハヤト、というよりはダリアに対して説明する。



「失礼しました、見かけない騎士鎧でしたので。」


「ん?あー、そうか。これは今新しく作っている物だよ。」



 騎士であるダリアが見かけないと言った()()()は、所属を表す紋章(エンブレム)がなかった。



「そうだったのですね。」


「うん。話が逸れたね、早速依頼の品を見せてもらおうか。」



 ハヤトが布に包まれたまま、目の前のテーブルに置くとヘルメスの護衛が丁寧に布を広げる。

 広げられた中には、淡い虹色が光る刀と騎士剣。

 光の当たる角度によって光具合も変わっていく。


 中を確認した護衛とヘルメスは頷き、また丁寧に布につつみ直す。



「うん、確かに受け取ったよ。ついでと言っては何だけど、少し付き合ってくれるかい?」


「えぇ、特に予定は無いので問題ないですよ。」


「他の二人もそれでいいかい?」


「異論はありません。」


「大丈夫です。」


「うん、なら行こうか。着いてきて。」



 ヘルメスはソファから立ち上がると、後ろにある暖炉のレンガに触れると「ガコン」と言う音と共に、階段が現れた。



「少し低いけど、中は普通の高さだから入口だけ気をつけてね。」



 そう言うとヘルメスは先に階段を降り始め、ハヤト達が慌ててついて行く。

 ヘルメスの護衛をしていた騎士は最後に階段を降り、壁にある何かを操作することで、入ってきた暖炉の入口を元に戻した。



「先に説明しとくと、ここは避難する時のために作られた地下室への通路だよ。今はもう使われていないんだけど、事情があってね。君たちもあの戦いに参加していたのならわかると思うんだけど。」



 ヘルメスの言うあの戦いとは、オオヅチで起きた異形型の魔者の出現によって起きた戦いである。

 早期の発見と、対応により限りなく被害を抑えることが出来たと、王国内はその話題で持ちきりになっている。



「その時にね、公表はされてないんだけど、オオヅチの領主でもある十一騎士の一人がかなり酷い状態になって、治療ためここに運ばれているんだ。あ、これは君たちだから教えてるだけで、他言は無用に願うよ。」


「分かりました、誰にも言いません。」


「うん、素直でよろしい。それで、持ってきてもらった刀はその子に渡すものでね。君たちはオオヅチ氏にも気に入られているようだし、それがどういうものか見ても問題は無いだろうと思ってね。」



 しばらく階段を下りていると一つの鉄扉があった。


 ヘルメスは三度、鉄扉をノックする。



「はーい」


「ヘルメスだ、開けるよ。」


「いいよ、てか私動けないんだけど。」


「はっはっは、それもそうだね。それと客人と俺の護衛がいるけど変な気は起こすなよ?」


「どういうこと……?」


「まぁ、見ればわかるさ。さ、みんなも入った入った。」



 ヘルメスに急かされるまま、残りの四人は鉄扉の中へと入っていく。


 部屋の中にはソファや棚といった家具といった人が住めるような作りになっていた。

 奥には(とばり)に囲われたベッドがひとつ。



「今そっちに行くから先に座ってて。」


「無理はしなくていいからね?まだ完全に治ってはないんだから。……ということだからみんな座ってようか。」



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