調査依頼
本日は一話投稿です。
(時間無い+煉獄さん決めてきます)
パーティー名を決め、身分証明書をゲットした三人は受付嬢から指名の調査依頼が来ていることを告げられる。
「それと、皆さんに支部長からの指名依頼が来ています。」
「昨日言ってたヤツじゃない?」
「だね。それって、調査依頼ですか?」
「はい。鉱山及び、その周辺地域の魔獣魔物調査です。皆さんに担当していただくのは今は使われなくなった廃坑の方ですね。その他は騎士団が担当するそうです。」
「わかりました、その依頼受けます。」
「はい、ありがとうございます。出発が本日のお昼となりますが問題ありませんか?」
「それってどれくらいの時間がかかりそうですか?さすがに数日と言われると今の装備じゃ心もとないので。」
「そうですね、長くても二日でしょうか。今回は緊急のものとなるのである程度の食事などは用意されるので、ご安心下さい。」
依頼を受け、出発する昼になるまでまだ時間がある。
三人は早めの昼食を済ませ、装備類の点検確認を済ませた。
「それにしても、また廃坑に入ることになるとは。あそこ暗いし、あんまり無茶出来ないから戦いずらいのよね。」
「確かに、火魔法とか使えたら魔物相手でももっと楽に戦えるとは思う。変に火力の高い魔法使って崩落とかシャレにならないし。」
「魔法使いであるハヤト様には厳しい場所ですね。何より狭いので、騎士はあまり向かないですし。」
騎士達は基本的に個人で行動しない。
街の巡回でも数人で回るし、こういった時の任務の時は隊で動くことになる。
これは騎士が国が違えば兵士となるからである。
戦争のとき、平氏一人ひとりが突撃しても意味が無いように、集団で行動するのと同じである。
騎士は攻めることより、守る事に重点を置かれているという点で、団体行動は必須となる。
例外があるとすれば、この国最高戦力である十一騎士くらいであろう。
「確かに騎士は廃坑とかよりも、開けた所の方が動きやすそうだね。それに、そういうのは冒険者の方が慣れてるだろうし。」
「この国は他国よりは冒険者が少ないですからね。これでも国軍として優秀な方ではあるんですけどね。」
「二人とも、そろそろ馬車が来るから準備してね。組合員に聞いたけど騎士団はもう出発したみたいね、さすがは十一騎士直轄部隊ね。」
「規模はどれくらいか分かりますか?」
「んー、詳しくは分からないけどかなりの人数を動かしたって噂がたってるわ。」
「騎士団長は動いてないんですか……」
「ダリアどうかしたの?」
「いえ、オオヅチを治める十一騎士である彼女は、かなり好戦的というか……。」
「あー、つまり今回みたいな時に出てこない方が不自然だと?」
「そうなりますね。ドレアス騎士団長と同じ人種と言えばわかりやすいかと。」
「それなのに、戦闘が少ない内地にいるもんだから嬉嬉として出しゃばってくると……。騎士団と言っても色々とあるのね。さ、そろそろ馬車に乗らないと。」
「とりあえず、鉱山に向かいますか。向こうに着けば騎士団長が来てるかどうかもわかるでしょ。」
昨日と同じく、馬車で揺られ三十分。
ハヤト率いる冒険者パーティーリアンと同じように、指名依頼を受けたであろう冒険者パーティーが複数確認できた。
「冒険者諸君、突然の指名依頼ではあるが受けてくれたこと感謝する。私はオオヅチ第一騎士団、副団長のガイルだ。今回は本部にて私が指揮を執ることとなった、冒険者である諸君らには指揮下に入ってもらうつもりはなく、良き仕事仲間として情報共有等をしていきたいと考えている。早速だが、現在の状況を説明する。」
本日早朝に鉱山へ向け出立し、既に周囲の調査を行っているという。
予想していたよりも動きの早い騎士団に、他の冒険者たちも感心の声を上げる。
「まさか、こんなにも早く動いてとはね。」
「私も正直、驚きました。」
冒険者達がひとしきり静かになるのを待ち、副団長ガイルは説明を続ける。
午前中に始まった周辺調査だが、三交代でもって進められていた。
今回の直接の原因となった鉱山の周辺の魔素の森には今のところ異変はなく、変異種が現れたのは鉱山内だけ。それも人の出入りの少ない廃坑だけだと予想される。
派遣された騎士団達は引き続き周辺の調査を続け、仮に冒険者から要請があれば即座に対応出来るように一部は控えるらしい。
「という訳だ、冒険者諸君にはいつものように依頼をこなして欲しい。欲しい情報や、もしもの時の救援は遠慮なく使ってくれ。何事もないことを祈っている。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オオヅチ鉱山、廃坑内。
ハヤト達、冒険者パーティーリアンは改めて宝石級の人型変異種が現れた廃坑を調査していた。
「まさか昨日と同じ場所を調査することになるとは。」
「一応、変異しきってないとはいえ宝石級の人型変異種の討伐実績があるからね。それに、一度入っているから魔物もその分少ないし、いいんじゃない?」
「その代わり、また変異種が現れる確率が高い事は否定出来ませんが。」
「要は、楽だけど潜在的な危険度は一番高いという事ね。最悪逃げればいいから今回は楽よ?」
「何事もないことを祈っているよ。」
「それにしても、ちょっと魔物の数少なくない?」
「確かに、いくら昨日倒したとはいえかなり少なく感じますね。」
「そうなの?少ないことはいい事だと思うけど。」
「それはもちろんよ?でも、ここは変異種が現れた鉱山。しかも魔素溜りの上にあるから普通より魔物の核と成りやすい鉱物類が豊富な場所。勝手に増えることはあっても減ることは無いの。嫌な予感しかしないわ。」
「その通りです。ここは一旦戻って報告した方がいいでしょう。何事もなければ杞憂で終わりますし。」
「そうね、ハヤトくんそれでいい?」
「二人の方が冒険者としても先輩だし、詳しいからそうしよう。」
ハヤト達三人は、来た時よりも気持ち早足で戻った。
冒険者による廃坑調査開始から二時間が経った。