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神となった異世界人は、異世界の知識をもって世界を繁栄させる。  作者: 千寿
第一章 異世界の国エルドラ王国編
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パーティー名

 鉱山の麓から馬車に乗り、冒険者組合オオヅチ支部に戻ってきた三人は受付にて渡された手紙を渡し、詳しい話をするために支部長の部屋に通されていた。



「つまりは、宝石(ジュエル)級が人型に成りかけてたってことか。わかった、この件は俺の方から騎士団に連絡しておく。念の為、鉱山への立ち入り制限をすることになると思うが宝石級を倒したお前たちなら問題ないだろう。もう下がっていいぞ。」


「では、失礼します。」


「あぁ、そうそう。明日にはお前たちのパーティーのランクを一つ昇格させるから受付に顔を出せよ。」



 報告を終え、支部長の部屋を後にし三人は組合を後にした。


 外に出ると空は茜色に染まり、街は人の波を作っていた。



「さっき支部長が言ってたパーティーのランクって言うのは?個人のなら聞いたけど。」


「端的に言えば、個人のランクのパーティー版ね。パーティーの場合、メンバーの数や相性とかか絡んでくるから昇格基準は公表されてないのよ。今回みたいに唐突に言われるわね。」



 冒険者組合には二種類のランクがある。

 一つは個人ランク。

 これは個人で受けた依頼の難易度や達成率、損耗率から計算され、最後に人格に問題がなければランクが上がっていく。

 昇格基準はある程度までは公表されているので、目標にしやすい。


 もうひとつはパーティーランク。

 これはパーティーメンバーの人数や、その個人ランク。メンバーの依頼への参加率、達成率。また損耗率や難易度で決まる。

 団体評価の中に個人評価も加えられていることは組合員にしか知らないことである。

 これらのことからパーティーランクは、個人ランクと違って上がりにくいと言われている。


 ランクの評価は以下の通り、


 特級

 上級

 中級

 初級者

 駆け出し(個人ランクのみ)



 上のランクに行けば行くほど審査は厳しく、特級と言われる人は全世界で百人も居ないと言われるほどしかおらず、冒険者やそうでない人にまで尊敬と憧れの目で見られる。


 とある出版社が独自に出した冒険者強さランキングという本が毎年ベストセラーになるほど人気がある。



「確かに、パーティーランクは審査内容が分からなかったら上がらないのは当然だよね。個人評価が入るなら、仮に一人でも個人評価が低い人がいれば上がらないってことでしょ?」


「まあそうなるね、複数人で行動するということは一人で動くよりも難しいもの。協調性がないやつが一人居るせいで、パーティー全体が危険にさらされたり、時には死ぬ事だってある。それを防ぐための審査基準かな。」


「冒険者は成果主義だと思ってたけど、そういう訳でもないんだね。」


「あくまで組織だから、人が死ぬことを良しとしている訳ではないからね。でも、冒険者は自由な生き物でもあるから、せめて審査基準で実力ごとにランク分けしてるってわけ。」


「無茶な依頼を受けて、はい死にましたじゃ依頼を出した方も斡旋した方も済まされないよなぁ。」


「それをわかってくれない人も少なくないから、組合員は苦労するのよ。大した実力もないのに、もっと金のいい依頼を回せだの。最後には決まってこう言う、お前のような女に俺の実力がわかるわけが無い。」


「それはまた……」


「でもその度にしごいてやったら、顔を真っ赤にして逃げていくのよ。意地も実力も無いくせに、プライドだけは無駄に高い。どっかの貴族みたいよ。」


「あはは……、組合も貴族も大変なんだね。」


「ダリアはどうなの?騎士の中に変なやつがいたりとかしないの?」


「私ですか?そうですねぇ……、私の場合は特にそういうことはなかったですね。入団当時、騎士団長との試合を繰り返していたら周りに誰もいなくなっていましたから。」


「それ、絶対引かれてるわよ……。」


「……?早く確実に強くなるためには、騎士団長に稽古をつけてもらうのがいいでは無いですか。何より私は強くなりたかった、その為にドレアスで騎士になったのですから。」


「あーはいはい、そうだったわね。あなたは天然脳筋だったわね。」


「そこがダリアのいい所でもあるんだけど、さすがに天然がすぎると言うか……。」


「うっ……、何もそんな目で見なくとも……。」





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 変異種についての報告を済ませた次の日、三人は組合の窓口にてパーティーランクの昇格を果たした。

 と言っても、なにか特別なことをする訳ではなく、組合側で保管されている資料に登録され直すだけである。

 強いて言えば、パーティーランクが中級となったことで、組合発行の身分証明書が渡される。

 これは、組合がその者の身分を保証するもので、今までのような検問などが簡略的になる。



「では、こちらが組合発行の身分証明書となりますので消して無くさないようにしてください。」


「気をつけます。」


「こちらの身分証明書はパーティーランクによるものですので、正式なパーティー名があれば登録しますがどうなされますか?」


「えっと、それは絶対に無いとダメですかね?」


「そうですね。なくても問題は無いですが、パーティー名で呼ばれる時は全員の名前がパーティー名として使われることがあるので、その時くらいですかね?」


「ミリス、これってマジ?」


「……すっかり忘れてたわ。組合の身分証明書持ってるけど、個人ランクのやつしか持ってないから忘れてた。」


「では、今から名前を決めますか?」


「そうしよう、さすがにパーティー名で名前を呼ばれるのはちょっと。」


「単純にハヤトパーティーでもいいんじゃない?」


「ミリス、それ自分に置き換えて考えてみてよ……。自意識過剰に思われて恥ずかしい。」


「そういわれると、そうね……。ダリアはなんか思いついた?」


「私はハヤトパーティーいいと思いましたが……、残念です。」


「出来れば全員の特徴とか、目標とかそういうのにしたいよねぇ。そうだ、アンタッチャブルってのはどう?」


「アン……?それはどういう意味なの?」


「触れてはいけないとか、そういう意味だったと思う。僕達は本来、触れるというか、出会うことすらできない存在同士だからいいかなって。」


「なるほどね、一理あるわね。でも、意味を知られたら誰も寄ってこなくなるかもしれないわよ?触れてないけないとか、そういう噂が流れて。」


「それは……、良くないね。」


「このパーティーの目標とかってなにになるんだろ。」


「特に無いわね、ハヤトが老師との約束を果たすならこのパーティーもその時に解散になるだろうし。」


「んー……、それじゃぁ……。リアンってのはどうだろ、どっかの国の言葉で繋ぐとかそういう意味だったと思うんだけど。」


「響きも悪くないしそれでいいんじゃない?」


「私に異論はありません。」


「なら、そうしようか。考えても思いつかないし、ちょっと捻りが足りないとは思うけど……。」


「では、パーティー名リアンで登録して大丈夫ですか?」


「あ、はい。それでお願いします。」


「はい、では少々お待ちを。」



 そう言うと、三人分の身分証明書を持って奥へと下がった。

 しばらくして戻ってきた受付嬢は、改めて身分証明書を手渡す。


 身分証明書と言っても手のひらサイズの金属板。

 表面にはパーティー名やランク、個人名や登録した組合の名前といった簡単なことが彫られていた。

 しかし、裏側はツルツルで膨らんだり穴が空いたりとして居ないのでどうやったのかは不思議だ。



「ちなみちですが、その身分証明書に魔力を流すと本物かどうかが分かるようになっているので、変に傷つけたり折ったりしないでくださいね。もし、そうなってしまった時は直ぐに近くの組合支部で再発行してください。折れたりしてもしばらくの間は魔力が残っているので、比較的早く再発行出来ますので。」


「もし、すぐ出来なかったらどうなるんですか?」


「再発行時に、発行した支部と冒険者登録した支部に問い合わせて確認をとる事になるので、最悪一ヶ月はかかると思ってください。ですが、折れたりしなければ組合での特典などもあるので大切にしてください。」

今までのハヤトは依頼を受ける度に、窓口で本人確認をされていました。

組合発行の身分証明書(カード)が手に入ったので、これからはSuicaのようにスイスイです。

(決済機能は有りません。)

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