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神となった異世界人は、異世界の知識をもって世界を繁栄させる。  作者: 千寿
第一章 異世界の国エルドラ王国編
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鍛冶師の街オオヅチ

眠過ぎて誤字っていたらすみません。

 蒸気機関車に乗り、三日目の昼には鍛冶師の街と言われているオオヅチ駅に着いていた。



「大変お待たせしました。当列車はオオヅチ駅に到着しました。この列車は南方方面行きの為、点検、補給を行い、三時間後に出発致します。お降りのお客様は速やかに移動願いますよう、よろしくお願い申し上げます。尚、忘れ物に関しましては責任を取りかねますのでご確認の程、よろしくお願い致します。当列車は―――……」



 車内アナウンスにより、オオヅチに到着したことが告げられ、速やかに荷物をまとめ部屋を出る。

 三日ぶりに車外に出ると、駅員や商人、雇われた冒険者が積荷の確認や運搬をしていた。

 客車からは多少距離があるので巻き込まれることは無いが、次に列車が出発するまでに積荷を降ろし、また新たな積荷を入れなければならない。

 それは時間との勝負になる。

 もちろん早ければいいという訳でもなく、中には傷つきやすいものや、割れ物なんかもある。

 当然、食糧なんかもある。

 それらは商人達の貴重な商品であり、決して安くないお金を払って運んでもらった資産でもある。

 駅自体は倉庫の役割も果たしているようで、かなりの広さがあり、商人や雇われた冒険者はひとまずそこに積荷を移動させる。

 その間でも、駅員や工員による蒸気機関車の点検作業も行われている。


 黒煙の排出や空気の入れ替えのための魔道具の立てる音が地下駅内に鳴り響く。

 積荷に引く台車の車輪の音や人々の声、さながら野戦病院のようだ。



 そんな光景を脇目に見ながらハヤト達三人は列車を後にする。

 駅の作り自体は王都にあったものと似ているが、王都のようにレンガを使ったデザイン的なものではなく、無骨というか、機能性重視というか、飾りっけがなくシンプルな造りになっている。

 所々天井に鉄骨がむき出しになっている部分すらある。



「賑わってるねぇ、王都の時はこんな感じじゃなかったのに。」


「あれは最後の方に私たちが乗ったからね。荷物は積み終わってるし、他の客も既に乗ったあとだったから。」


「そうだったんだ。そういえばここって地下なのにすごい広いんだね。上にある建物とか大丈夫なのかな?」


「それはこの空間を作る時、魔素を含む金属を使い、支えにしている鉄骨自体を魔道具として利用しているので、定期的に魔素を流し込めば崩れてくることはありません。万が一の時は、上にある建物の方を壊すことになっているので、ある意味この街で一番安全な避難場所とも言えます。」


「この空間を支えているのか……、消費魔力が凄いことになりそうだなぁ。」


「そうでも無いですよ?以前、訓練として一度魔素を流し込んだことがありますが、鉄骨自体が魔素との親和性が高いので供給をサボらない限りは少し汗をかく程度で済みますね。」


「ダリアは結構魔力高い方だと思うんだけど、それで少し汗をかく程度ということは、普通の人ならきついんじゃない?」


「訓練隊にいた時の話ですので、あの頃は周りにいた人たちと魔力は差ほど変わりませんでしたよ。」


「何言ってんのよ、あんたあの当時から駆け出しの魔法士くらいの魔力あったじゃない。」


「それはすごいね……、もしかしてその訓練って魔力を限界まで使った感覚を覚えるためのものだったんじゃない?」


「確かに、教官はそのようなことを言っていたような気がします。」


「これだから努力を努力と思ってない天才は……。」



 駅の構造から昔話をしながら一同は地上に出ていた。


 ちなみに、人の出入りと荷物の出入りは別になっているので事故で荷物の下敷きに……なんてことにはならない。


 久々に浴びる太陽光にポカポカしながら深呼吸。



「さて、まずは冒険者組合に顔を出しましょ。依頼が依頼だからその方が確実だろうし。」



 駅から10分ほど歩いだ場所に組合はあった。建物の造りは王都にあるものと全くと言っていいほど同じものだ。

 これは、どこの国のどの組合所にいっても間違えなくするために全て統一されているのだ。


 建物に入り、受付にて今回の要件を告げる。



「すみません、王都から依頼で来たんですがオオヅチさんにいつ会えるか分かりますか?」


「依頼書の方を確認させていただきますね。」



 依頼書を渡すと、受付嬢はそのまま奥へ下がった。

 数分した頃、受付嬢が細身の男性を連れて戻ってきた。



「お待たせしました、詳しい話は支部長が聞きますので。」



 すると後ろにいた細身の男性が手招きをしながら話しかけてくる。



「すまんがこっちに来てくれんか。静かなところで話したい。」



 どうやらこの人が支部長らしい。


 手招きされるままカウンターの奥へ入り、二階にある来客室へ通される。



「今少し人手が足りなくてな、それに今回の依頼のことは今朝知ったんだ。騎士団ももっと早く話してくれればこっちも楽なんだがな。」


「それはご苦労様です。」


「あぁ、ありがとう。それでオオヅチ氏の事だが、いまうちの職員を鍛冶師組合に走らせてるから少し待て。」



 細身の男性だと思っていたが近くによく見ると、程よく筋肉があるのが分かる。

 冒険者組合の支部長をやってる事から只者であるはずがないのだが、人は見かけによらないというやつだ。



「それと、今回の依頼を大っぴらに喋ったりはしてないな?」


「え、えぇ。依頼書を受けて直ぐに列車に乗りましたから。」


「ならいい。それにもしそんなことをしていたら、そこにいる組合員はクビになってただろうがな。久しぶりだなミリス。」


「お久しぶりですわ、おほほほほ……」


「全く、どの面下げて冒険者に戻ったんだか……。俺があの時どれだけ引き止めたと思ってやがる。」



 ミリスは冒険者時代この街でも活動していて、支部長とも顔見知りである。

 そして、冒険者を辞めて組合員になる時に引き止めたのがこの支部長だった。

 彼曰く、有能な冒険者に事務仕事をさせる事は損失だ。という。



「今回は上司の命令で一時的に戻っただけですから……。」


「ふん、まぁいい。異世界人ハヤト、ある程度の情報はここにも届いている。これからも今回みたいな厄介な依頼が来ると思うが、できる限りでいい受けてやってくれんか。」


「僕にできることでしたら、仲間と相談して受けますよ。」


「そうか、決して無茶だけはするな。始めたばかりの若い冒険者は実力問わず死ぬことがある。それは覚えていてくれ。俺は有能な者がだらけているのと、若いやつが死ぬのが嫌いだ。この街に冒険者としている限り、俺から嫌われないことだな。」


「ミリスさんの反応からしてめちゃくちゃ怖い人だと勘違いしてました。」


「ふん、俺は嫌いな奴には容赦しない。ただそれだけだ。俺からの要件は以上だ、あとは適当な時間に依頼書を持って受付に行ってくれ。そのうち遣いに行かせたやつが戻ってくるだろう。」



 部屋をあとにした三人は、先に宿を確保することにした。

 駅や組合と隣接する大通り沿いにある宿を二部屋借り、三十分後には組合に戻って来た。


 ミリス曰く、冒険者組合と鍛冶師組合の建物はそこそこ近い距離にあるのでもう戻っても大丈夫だろうと。


 受付に行くとミリスの言った通り、遣いに行っていたという青年から話を聞くことが出来た。


 最巧の鍛冶師、オオヅチ。

 彼は昨日取り掛かった仕事に入っているため、明日の昼頃なら工房を訪ねても問題ないだろうと確認が取れた。

 今代のオオヅチは、先代の父親の才能を超えると言われており、先代亡き後すぐにはオオヅチの名を引き継いだ。

 オオヅチは世襲制ではないので彼の実力は本物である。

 また、オオヅチとなった時はまだ二十代であり、最も若くしてオオヅチとなった男とも言われている。


 そんな彼に、明日会いに行く。

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