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神となった異世界人は、異世界の知識をもって世界を繁栄させる。  作者: 千寿
第一章 異世界の国エルドラ王国編
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老師

 道具や武具を揃え、魔素の森について詳しくレクチャーを受けた次の日、組合長の紹介により老師と呼ばれる人と会うことになっている。



「ここが老師の家……?ですか。家と言うより屋敷ですよね?」



 冒険者組合から第一門の近くまで進み、そこから壁沿いに十五分ほど歩いた場所にその屋敷はあった。



「まぁ、元は大通り近くに住んでたんだけど、やらかしたヤツらのせいでね。静かに魔法研究がしたいって。それでこの土地と屋敷が用意されたって訳。」


「でも、そうだとしてもこんな屋敷を用事してもらえるなんてその老師って人凄いんですね。」


「まぁ、異世界人の最後の弟子と呼ばれているし、この国でもかなり尊敬されている人だからね。この国にいて欲しいのよ、色々とね。」


「うーん、政治は分からないなあ。」


「ハヤトも異世界人だし、そのうち巻き込まれそうだけどね?」


「二人とも、そろそろ行きましょう。老師をあまり待たせては」


「よし、それじゃぁいこうか!」



 勝手に入っていいのか分からない門を開け、噴水のある庭を通り過ぎ、屋敷の入口へと歩いた。



「すみませんー!組合長の紹介で来ました、ハヤトって言います!」



「あれ、これでいいんですよね?」


「この時間に来ることは伝えてるはずなので大丈夫だとは思いますが、一応ベルを発動させますか。」



 扉の横に取り付けられているタイプの魔法具ベル。

 魔力を込めると外のベルからの魔力派を受信した取り付け型受信具が鳴る仕組みである。



 屋敷に余り物がないのか扉の中からジリリリリとベルの音が聞こえてくる。



「出てきませんね……。どうします?ミリスさん。」


「うーん……、中に入ってみますか。一応、何度かお会いしたことあるので大丈夫だと思いますし。」



 試しに扉を押してみると、鍵がかかっていないのかそのまま扉は開いた。



「開いてますね……。中に入ってみますか。」



 中は閑散としてると言うか、余計なものがないというのか、その広さに対して中身が足りていない感じがした。



「老師ってここに一人で住んでるんですか?」


「屋敷の管理と料理人など何人かは近くから通っているらしいけど、人の気配がないわね……。ダリア一応警戒しておいて。」


「では、私が先行します。ハヤト様は私より前には出ないでください。」


「分かった。」



 ダリア→ハヤト→ミリスの順番で屋敷内を探索することになった。


 物が少なく静かな屋敷は、物音がよく響くのでより神経がすり減る。


 一階二階と探索を終え、三階の寝室を調べてる時にそれは起きた。


 三人が不自然に開かれた窓の近くに移動した瞬間、ダリアがハヤトを庇うように後ろに周り、ミリスが入ってきたドアに向かって走り出した。



「っ!?」



 二人の突然の行動に動揺したが、振り返った時にそれに気づくことが出来たハヤトは息を飲んだ。


 駆け出したミリスはドアの手前で急停止し、バックステップで戻ってくる。



「こ、これは、魔法……?」


「恐らく老師の仕業でしょう。」



 ハヤトとダリアがいまだ警戒する中、ミリスはため息しドアに向かって話しかけた。



「老師、イタズラが過ぎますよ……。何かあったのではと本気で心配しましたよ。」


「ふぉっふぉっふぉっ、ワシをどうにかしたければそこらへんのゴロツキ程度ではどうにも出来んよ。それに、お師匠様と同じ魔法適性の高い異世界人とやらが気になってのぉ……。」



 空間からするりと布が落ちるようにその老人は姿を現した。



「それで、ハヤトくんはどうでしたか?」


「うむ、悪くは無い。なにより、実践を経験せぬうちにワシの気配と言うか魔力に気づけたからのぉ。磨けば宝石じゃろて。」


「そこまで分かりますか。」


「当然じゃ、してハヤトとやら。お主はこの世界へと来て、何を望む?」


「望み……ですか?うーん、強いて言えば色々見てみたいですね。あとは色んな魔法を使ってみたいし作ってみたいです。」


「ふむ、大した欲はないのぉ。本当にそれだけか?元の世界でやり残したことをしたいとか。」


「元の世界での記憶もまだ半分くらいは思い出せてないと思うので何とも言えないですね。それに、せっかく別の世界に来たんですから、この世界を楽しまないと損ですよ。」


「そうか、あいわかった。お主に魔法とは何かを教えてやってもいい、お師匠様のこともじゃ。ただし、いくつか条件がある。」





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「それにしても、良かったの?確かに老師に教えて貰えるのは名誉な事だけど、あんな条件まで呑んで。」


「良いんですよ、特に嫌という訳では無いですし。ずっと冒険者として働ける訳でもないですから、定職に就けると思えばむしろラッキーです。」


「まぁ幸い、時間はたっぷりあるみたいだけど……。」


「ダリアが止めないってことは、別にそうしてもいいってことでしょ?」


「その通りですハヤト様。」


「いや、この子ハヤトくんにかなり甘いだけだからね?はぁ……、まあ誰も損はしないのは確かだけど。」

また今度、用語とかそういうのまとめたいと思います。

分からないとかよく理解出来てないことがあれば教えてください。m(_ _)m

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