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神となった異世界人は、異世界の知識をもって世界を繁栄させる。  作者: 千寿
第一章 異世界の国エルドラ王国編
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武具屋

 魔道具屋店主のアイリーンから逃げるようにして近くの武具屋にやってきた三人は、顔もガタイも(いか)つい男と睨み合っていた。

 ハヤトとの身長差、およそ30cm。

 身長168cmのハヤトに対してその男は138cm。




 超絶ムキムキマッチョメンを無理やり低身長にしたかのような違和感。

 武具屋店主、ゴリアス。

 果たして人なのかとハヤトは苦笑いしながらその男の目から視線を外せなかった。



「うむ、はやり皮素材の胸当てと手足、あとはローブにブーツでもあればいいだろう。武器はそうだなぁ……、メイン武器の杖に護身用の短剣か?杖だが、値段気にしねぇならロザリオタイプや指輪タイプもあるぞ?」


「いや、そこまでお金残ってないので最初のやつでお願いします。」


「そうか……なら仕方ねぇな。」


「申し訳ないです……。」


「なぁに、謝るこったねぇ。ただその代わり、なんかあったらまたうちで買ってくれや。うちで買ったもんなら修理も受け付けてるからよ。」


「それはもちろん、よろしくお願いします。」


「それじゃあ、さっきの装備一式でいくらくらいになります?」


「んー、まあ今回は特殊なものはないし兄ちゃんミリスちゃんの友達みたいだしな!胸当て3シルバー、手足四つで4シルバー、ローブはサービスして4000ブロンズ、杖が売れ残りのもん買ってもらってるし半額の4500ブロンズで。護身用の短剣は鞘とベルト込で1シルバと2000ブロンズだな。合計が、9シルバー500ブロンズだな。」


「えっと、ダリア手持ちあといくらだっけ?」


「生活費を除くと4シルバー5000ブロンズくらいですかね。」


「いいわよ、ダリアどうせお金使わないんだからあんたも半分出しなさいよね。」


「それはいいですが、今は手元にありません。銀行へ行かないと。」


「ほんとにお金を持つこともしないのね……。まあいいわ、ここは私が立て替えとくから。」


「本当に出してもらってすみません。」


「いいのよ、ハヤトくんならこれくらい直ぐに稼げるようになるから。」


「ったく、羨ましいな兄ちゃん、両手に花ってか!」


「おやっさん、さすがにそれは二人に失礼ですよ。」


「まぁなんだ、確かにお代は受け取ったぜ。素材が皮だからな丁寧に使ってやってくれや。」



 魔道具と武具で既に17シルは使っているが、ハヤトはいい買い物をしたと言う気持ちでしかない。

 彼はこの王都で暮す人の月の生活費が一人あたり6~8シルと知った時、それだけのお金を持たせてくれたドールに改めて感謝した。

 この場合の一人あたりとは、一人暮らしと言うのではなく、複数家族の人数割から求められた数字である。



「おかげで道具と装備一式揃えることが出来ました。」


「いいのいいの、これから同じパーティーでやっていくんだから。後輩の世話をするのも先輩の役目だしね。それと、今日買ったのはあくまで最低限のものだから、あとは自分の好みや必要なものを買い揃えていってね。しばらくはお金無くて無理だとおもうけど。」


「この辺でサクッと終わる依頼とかないですか?」


「んー、掃除の代行とか、お使いとか、そういう子供が小遣い稼ぎするような依頼しかないわよ?正直ハヤトくんくらいなら魔獣退治を受けて欲しいし、金額的にも足りないよ?」


「でも、この辺りって魔獣とかいるんですか?こっちに来た時全くと言っていいほど見なかったですけど?」


「多分、街道通ってきたからじゃない?人が通る場所は頻繁に循環してるから。王都の近くにも辺境程じゃないけど魔素溜まり、魔素の森はあるわよ?」


「一応いるんですね、それならお金は何とかなりそうかな。」


「でも、この国じゃ大体騎士の訓練もそこで行われるから、絶滅させたりしちゃダメよ?持ち運べる量も決まってるし。」



 魔素溜まり、通称魔素の森。場所によっては魔素の海や湖と呼ばれるものもある。

 辺境にある魔素の森とは、ハヤトが発見された場所であり、この国の東側一体をこれが占めている。

 魔素の森では、大気中にある魔素が何故か一箇所に留まり続ける場所に魔素の影響を受け、木々が急激に育ったり、そこにいる生き物が変異する。

 中には木が変異し、魔木となったり、薬草が毒草に変わっていたりと普通ではないことが起こることがある。

 しかし、魔素が無限にある訳でもなく、魔獣が無限に湧いてくる訳では無いので、規模には寄るがその気になれば魔素の森を絶滅させることも出来る。

 しかし、それにかかる時間や人的、コストを考えれば適度に間引き、管理した方が安全で安上がりなのだ。


 過去に帝国では小規模の魔素の森を攻略しようと、魔獣を狩り尽くし、森を焼いたが、溜まった魔素が森という器を無くしたことで暴走し、辺り一面が砂地になったという。

 数百年だったとされる現在でも、その場所に緑が戻る様子はなく、少しずつだか魔素が集まり濃度が濃くなっているという。


 魔素の森で討伐した魔獣に関しては基本狩った人間が所有権を得るが、その一割をその場所を管理している者に納めなければならない。

 また、魔素の森が魔獣の死体を取り込もうとするのでいらない部位は土に埋めれば数日で跡形もなくなっているという。

 魔獣討伐の証として、魔獣事に証明部位があり、特に使える部位が無ければ、これと魔石だけを回収することになる。

 また肉に関してはごく一部のもの以外はとてもじゃないが食べられるものでは無いという。食べ過ぎに関しても体調が悪くなる恐れがあるので非常時以外は勧められていない。

 また依頼によっては特定部位を納めることもあるため、急所を一撃で仕留める必要が出てくる場合がある。

 特定部位は皮や骨、牙や爪などといったものや、珍しいものだと内蔵や血もある。



「なるほど、色々決まりがあるんですね。」


「最初のうちは私やダリアがやってみせるし、それを見てだんだんと覚えていけばいいよ。解体も冒険者の仕事だからね、血が苦手なら克服しなけりゃならないし。」


「血ですか、正直やってみないとわからないですね。」


「間違っても、火で焼き尽くしたり、滅多刺しにしたりすると証明部位無くなったり、むしろ解体がきつくなるからそこは気をつけてね。まぁ、その場合はダリアに任せれば今みたいに黙ってやってくれるだろうけどね?」

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