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短編小説たち

真綿の愛

作者: 津久美 とら

あなたはわたしを愛している。

わたしもあなたを愛している。



あなたは、わたしが他のひとに近付くと嫌がるわ。

わたしもそうしたい。

だけど、わたしはやらないの。

あなたの自由が無くなってしまったらいやだもの。


あなたは、十分おきにぜったいに連絡をくれるわ。

わたしもそうしたい。

だけど、わたしはやらないの。

あなたの大切な時間を奪ってしまったらいやだもの。



あなたは、わたしを真綿で抱きしめてくれる。

力いっぱい、抱きしめてくれる。

力いっぱい、愛してくれる。

真綿はどんどんわたしにくい込んでいくみたい。

ちょっと苦しいけど、嬉しいわ。

あなたはわたしを愛してくれてるの。

この真綿は、あなたの愛の証ね。



ああ

くるしい。うれしい。しあわせ。あいしてる。

ずっと。ずっと一緒よ。

ああ

あなたに抱きしめられている内に、眠たくなってきたわ。

瞼が自然と閉じちゃうの。目の前が暗いわ。

くるしい。うれしい。しあわせ。あいしてる。


でも、もうあなたの顔を見られない事だけは、悲しいの。

首の真綿は、ぜったいにほどかないでね。

これからも、ずっと、ほどかないでね。



ああ

あなたはわたしを愛している。

わたしもあなたを愛している。

くるしい。うれしい。しあわせ。あいしてる。

ずっと。ずっと一緒よ。

透明になったわたしのことも愛してね。


一生離れないわ。

一生離さないで。

やくそくよ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 揶揄的な直球が分かりやすく突き刺さります。 恋愛をしたのなら、誰もが一度は考えるであろう気持ちですね。 体裁を取り繕わず、相手を鑑みず、自身の欲に身を任せられたらどれだけ幸せなのだろう。 …
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