独断と偏見による コンプレックスか劣等感か
三角ぼうしの屋根が特徴な喫茶店。いつもより忙しかった店内も時間と共に落ち着きを取り戻し、常連客のお客さんだけが残っている。
「はぁ、ヨークって良いよねぇ。頭良いしスタイル良いしさぁ」
「えっ、な な 何よ急に?」
あじゃはヨークの顔を見ずに思いの丈を口にした。
「別に恥ずかしがることじゃないじゃん。本当にそうなんだからさぁ」
あじゃは棚にトレーを置いては、その上に肘を立て前屈みに顔を支えた。
「だってさぁ ヨークは綺麗で美人だし、アメリーは活発でスポーティーでしょ?それにF.りかも冷静沈着で格好いいし」
話しながら肘から顔をおろし、棚の上に倒れ込むように体を崩した。ヨークはそんなあじゃを見てはどうかしたのかと、心配に側に寄った。
「いったいどうしたの?何かあったの?あじゃだって良いところ沢山あるじゃない」
「何があるの?どこが良いの?こんなんだし。。。」
あじゃはヨークの声に体を起こしては、頬に力を入れて言い返してきた。ヨークは熱り立つあじゃの体を触るように落ち着かせようと口を動かした。
「ねぇいったいどうしたっていうの?誰かに何か言われたの?」
「別に何も言われてないけどさぁ 何となく比べちゃうじゃん?」
「比べる?何のために?誰と?」
「う うん、、」
ヨークは黙るあじゃを見ては少し頭を抱えた。
「あれ?どうしたの?二人揃って頭かかえてるなんて珍しいー」
「あ 良いところにきたわね。アメリーちょっときて」
ヨークは奥からトレーを片手に歩いてくるアメリーを見ては、手にもつトレーを両手で奪い取るように受け取りあじゃの隣に並ばせた。
「何々?いったい何よ?」
「ねぇあじゃ。アメリーと自分を比較したことある?」
「えっ うん ある」
「どういう風に?」
「どういう風にって言われても」
「ちょっとちょつとー、何?いきなり何 なのこれ?」
「アメリー、ちょっと待って」
アメリーはあじゃとヨークの会話にヤキモキと体を揺さぶっては二人の顔を見た。
「もしかしてあじゃは 自分の弱い部分を比較対象にしてるんじゃない?」
「う うん。。そうだけどさぁ」
「 だから 自分を卑下して見てしまうんじゃない?」
「ちょっと待って ちょっと待ってって いったい何なのよ 教えてよ」
アメリーはヨークとあじゃの話に地団駄を踏んでは、我慢できないと会話に割って入ってきた。
「いったい何なのよ ワタシが何かしたって話?ワタシが何かやっちゃった?」
「してないしてないよぉ」
「それじゃなんなのよいったいー」
アメリーは感情を表にヨークとあじゃの間に入っては二人の顔を交互に見渡した。
「うん そうよねそうよね。うん 説明するわね」
「本当よ まったく で、何なのいったい?」
アメリーは鼻で息をはいては頬を膨らまし、腰に手をつけてはヨークの前に仁王立ちした。
「あのね、あじゃが自分の弱い部分、、、コンプレックス 。。。そ そうコンプレックスよ。 そのコンプレックスによって自分を卑下して他人と比較してしまうって話をしてきたのよ」
「はぁ?何よそれ?誰だってあるじゃんそんなの ワタシだってあるよー。 でもそれが何よ?そんなの全部含めてワタシなんじゃない でしょ?」
アメリーは手を広げては「違う?間違ってる?」と二人に言い寄った。
「間違ってないわ 間違ってないわ アメリーはアメリーの考えがあるのよね」
「そうよ ワタシはワタシよ」
「そうよね アメリーはアメリーよね。ねぇ 、あじゃ?あじゃは何でコンプレックスを恥じてるの?」
「そうよ 何でよあじゃ?」
「う うん だってわたしだけ何も良いところないし」
「何よそれ?ワタシだって頭悪いよ?大雑把の楽天的よ。だけど、それが悪いとは思わないけど?」
「アメリーはそれでいいのかもだけど、私はアメリーみたくなれないよぉ」
あじゃとアメリーは互いに不貞腐れるような顔をしてはいがみ合うように顔を合わせた。
「まぁまぁ二人とも待って。ちょっといい?あのね、そもそもなんだけどコンプレックスってどういうことか知ってる?」
あじゃとアメリーは口を尖らしては小難しい顔を作り「どういうこと?」と聞いてきた。
「そうね。コンプレックスって一言で言っても沢山の意味があって、いくつもの含みがあるの」
「えっ?」
「それは沢山あってどれを指すかは人それぞれだけど、コンプレックスには劣等感と感情の抑圧からなるものがあるの。劣等感はわかるわよね?」
「うん。なんとなく」
「ま、他人と違うことに比べるってこと?」
「うん そうね。劣等感情って他人と自分の違いに係わるものなんだけど、それだけじゃコンプレックスとは言わないのよね。例えば友達と一緒に何かを買ったとするじゃない?その時、周りからは友達のを誉められて自分のは誉めらないとするわね。その時、何で友達だけなの?って感じるわよね?何で私は言われないのって事を思うわよね?それが劣等感なのよ。自己嫌悪のようなものね」
「それわかる。この前それあったよ。ワタシが着てる服には何も言わないのに色違いの服を着てる子ばかり誉めてんのよ」
「その時どう思った?」
「え?そんなのムカつくじゃん。ワタシのが、似合ってるしって」
「でも、それに対して何も思わなかったんでしょ?」
「うん。だってワタシのが似合ってるし」
「 フフ アメリーらしいわね。ただそれは劣等感じゃないわよ。劣等感っていうのは、その人より自分を下に置いて自己嫌悪に陥ってしまうことだから。」
ヨークの話しに納得出来ない表情をしては話を聞いた。
「それでね、コンプレックスって言うのは、その劣等感に足して自分を抑圧させてしまうことなの。悲しいとか辛いとか、後は、、怒りとかね」
「どういうこと?」
「劣等感によって作られたモノがあるわよね?さっきの話なら、服よね。同じ服なのにって、それだけならまだなんだけど、その服に対して強く感情が働いて、あの服があったら、あの服さえあればって。そのモノに対して執着しては自分を抑圧させていくの。抑圧していくと、自分は駄目なんだとか、あれがないと意味ないんだって、どんどん自分に制限的なものをかけていくの。自らそのモノに抑え込んだ感情を入れては、自分には無理と決めつけてそれを卑下しては比較してしまう感情になってしまうのよ。それがコンプレックス。って言っても、私の考えよこれは。私のね」
アメリーは二人に自分の“考えよ”と伝えては、あじゃは聞いてきた。
「なら、どうすればいいの?」
「そうね。まずは、比較するようなことはしないことって言っても難しわよね」
ヨークはあじゃの言葉に喉を詰まらせては、アメリーが口を開いた。
「なら、比較してしまうようなモノを見ずに、自分の好きなようにすればいいんじゃない?だって、あじゃはあじゃでしょ?それ以上でもそれ以下でもないじゃん。ワタシ達があじゃをそのまま見て受け入れてるんだから、変に自分から比較しなきゃいいことじゃない。もっと自分に自信持ちなさいよー」
「うん。。。でも」
「でもじゃなーい。あじゃはあじゃ。なんなら、そんなあじゃにコンプレックス持っちゃうぞー」
「やだー」
アメリーはあじゃに襲いかかるように抱きついては「何も比較するようなモノはないんだよー」と笑いながら話しかけた。
ヨークはそんな二人を見ては、洗い物をするF.りかに話しかけた。
「コンプレックスってなんなんだろうね」
「ん?要は、着飾るからでしょ?それが嫌なら、ドレスで舞踏会にでもいけば?」
今日も四人のアルバイトは、明日の準備に腕を奮っている。




