独断と偏見による 心のコントロール
三角帽子の特徴的な喫茶店では、今日も四人はいそいそと勤しんでいる。
アメリーは空いたグラスをトレーに置いては、少しふてくされた顔をしながらカウンターに戻ってきた。
「どうしたのぉ?何かあったの?」
あじゃはアメリーの顔を見ては側に近寄り話しかけた。アメリーはその声に“ハッ”とした表情をしては「ちょっとね」と顔を横に振ってはため息をついた。
「なぁに?どうしたの?何かあったんでしょ?」
あじゃは意味ありげな浮かない表情をするアメリーに今一度話しかけた。アメリーは「そうね」と何から話せば良いのかと、順を追って口を動かした。
「あのね、この前さ、人前で自作したものを披露することがあってね」
「自作?自分で作ったの?すごいじゃん」
「うん、、ありがと。。でもね、、、」
アメリーはゆっくりと口を閉じては鼻で息をつき、頭を下げては横を向いて話始めた。
「自作って言っても、そんなたいそうなものじゃなくて、ちょっとしたものなんだけどさ」
「うん」
「誉められたくて作ったんじゃないけど、、、隠れてこそこそと、“あれはないんじゃない”とか“下手くそ”だとか話してるの聞いてさ」
「なにそれ?酷くない?」
「うん、、、別に評価されるよなものじゃないけど、、隠れて言われるとね」
アメリーは俯いてはため息をつき、いつものはつらつとした姿とは一風変わって陰をついていた。あじゃはアメリーに何を言って良いのかとわからなく、頷くだけしかできなかった。
「あら?どうしたの?アメリーもあじゃも深刻そうな顔をして」
俯く二人を見てはヨークが話をかけてきた。
「あ、ヨーク。あのね、、、」
あじゃはヨークの声を聞いては顔を上げ、掻い摘むように聞いた話を伝えた。
「そうねぇ。隠れて言われるのは辛いわよね」
ヨークはアメリーの隣に来ては同情するように背中をさすった。
「ねー、ヨーク?何で隠れて言うのかな?面と向かって言ってくれても良いんじゃない?その方が、言われる側としては“まだ”気分が良いわ」
アメリーは隣にいるヨークに思いの丈を伝えてはまた、顔を横に振った。
「確かにそうよね。言われる側としては、隠れて話されてるのを聞くより目の前で言われた方が、少しは楽よね」
「そうだよ。何で隠れて言うんだろうね?」
ヨークの言葉にあじゃは賛同するかのように繋げた。
「そうねぇ。目の前で言うってことは争うことになるからじゃないかな?」
「良いじゃん。喧嘩したって。隠れてこそこそと言われる方が、後腐れなくて良いよ」
「確かにね。けどちょっと考えてみて。陰口と悪口ならどっちが嫌?」
あじゃとアメリーは、少し考えては同時に声に出した。
「悪口ー」
「陰口」
あじゃとアメリーは違う言葉を出しては互いに「なんで?」と顔を見合わせた。
「フフフ。二人とも違うわよね。でもね、悪口も陰口も同じなんだけどね」
「なにそれー」
「悪口も陰口も、相手を下に見る言い方。それは、言う人が“自分のが上”って思っているの。でも、目の前でそれを口に出せればの話だけどね」
「どーゆーこと?」
あじゃはアメリーの顔を見てはヨークに聞き返した。
「それはね、自分が上って思っている人は“自信”を持っているのよね。言い争うとしても何やるにしても、その人と同等か、もしくわそれ以上の事が出来るってね。けど、出来ないのに言う人もいるけど、それとは少し違うけどね」
「違う?」
「そうねえ。。何も出来ないのに言ってくるって事は、ただ単に“言いたいだけ”。“言ってしまうだけ”なのよね。それと、その人に“期待”しているってのあるわよね。“やってくれるよね?”って」
「そうなのかなぁ」
あじゃはヨークの話に首を傾げては相槌をうった。
「それじゃ、二人は期待していない人に言うこと出来る?」
「うーん、、言わないかも」
「そうよね。“言えない”わよね。それじゃ、何で隠れて言うのか?それはね、、」
ヨークの話に二人は背を伸ばして聞き耳を向けた。
「隠れて言うってことは、その人が相手に対して“劣等感”を持っているのよ。それと“諦め”ている。その二つよね」
「劣等感と諦めかぁ、、、」
アメリーはカウンターの棚に手をついては「うーん」と小さく呟き何かを考えるように下を向いた。ヨークはそんなアメリーの背に手を置いては話を続けた。
「“諦め”って言ったけど、何も相手に対してだけじゃないのよ?」
「えっ?」
アメリーはヨークの言葉に体を起こしては声にだした。ヨークはその動きに合わせるように一歩下がり、微笑むようにアメリーを見ては言葉を繋げた。
「自分に対してでもあるの。何も言えないなってね。ある意味“認めた”ってことよ」
「。。。」
「フフフ。そうなると、隠れて言ってるってことは、その人に対して“羨ましい”ってことと同じなのよね」
アメリーは話終わるヨークの顔を見ては満面な笑顔に、いつもの調子に戻っていった。
「やっぱり?ワタシの作品は良いんだーいえーい」
「ちょっと、そんなにはしゃがなくても、、実際嫌な事を言われてる、、って聞いてないわね」
はしゃぐアメリーを見ては、まだ話が終わってないと伝えようとしたが、いつものアメリーには、言っても伝わらないと苦笑いをしては、F.りかに声をかけた。
「今ので“良い”のよね?」
F.りかは、仕込む手を止めてはヨークに切り返した。
「友を思うなら、案ずるが産むが易しだね」
今日も四人のアルバイトは、明日の準備に腕を奮っている。




