お別れ~また、会う日まで~
包帯男が消えたあと、しばらくして天青は目を覚ました。
ショックだったのだろう。
自分が包帯男に乗っ取られ、私を襲ってしまったことが。
天青は震えていた。
何も言わず、逃げるように小屋から出ていってしまった。そして今、自分の部屋に鍵をかけている。
「瑠璃ちゃん、怖い目に合わせてすまない」
お父さんが謝る。
「私はいいんです。でも、天青が……」
「たぶん、落ち着いたら、部屋から出てくると思う。今は、そっとしておこう」
お父さんはそう言っているけど、どうしても心配だった。
天青の部屋の前。
何も音は、聞こえない。
「天青、ごめんね」
閉じられた扉に向けて言う。
「分かってる。天青が私のこと見たら、夜のこと思い出しちゃうことぐらい。だから、私のことを見たくなくて、声も聞きたくないのも分かってる。でも、これだけは言わせて」
扉に手を当てる。
「ありがとう。天青は、あのとき、ずっと頑張っていた。『助けて』って言ったとき、天青はちゃんと助けてくれた。だから、そんなに落ち込む必要なんてない」
手を離す。
「あのね、私、近いうちに天青に会える気がする。そのときはまた、よろしくね」
私は部屋をあとにした。